4-2-3-1―サッカーを戦術から理解する (光文社新書 343)/杉山 茂樹- ¥903
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Numberなどでお馴染みのスポーツライター杉山茂樹さんの書いた本です。
ここ15年ほどの世界のサッカー界における布陣や戦術のトレンドの変遷を、その流れを変えるターニングポイントとなったゲームや名監督の話を交えて解説し、サッカーにおいて布陣がいかに重要かを説いています。
その中で筆者が特に強調しているのはサイド攻撃の重要性です。
タイトルにもなっている4-2-3-1は、アタッカー色の強いMFを両サイドの高い位置に配置し、サイドバックと2枚でサイドから攻撃を仕掛ける布陣です。
中央のプレッシャーの厳しい現代サッカーではプレッシャーの少ないサイドからの攻撃がより効果的というわけです。
弱者が強者に対する場合は、なおさらです。
2002年のワールドカップ日韓大会でベスト4と大躍進したヒディンク・コリア。
このヒディンクが好んで用いる布陣も4-2-3-1。
パク・チソン、ソル・ギヒョンが両サイドの高い位置に広く展開し、そこを起点に攻撃を仕掛けるサッカーが印象的でした。
一方、日本代表はというと、サイドは基本的にサイドバックかウイングバックの1枚体制。
筆者は加茂ジャパンからオシムジャパンに至るまでの布陣の変遷を顧みて、サイドの問題を中心にそれぞれの布陣の弱点を指摘しているのですが、これがことごとく私がモヤモヤしていたポイントに合致しており、ある意味痛快でした。
テレビで、しかも一方のチームに肩入れしてみていると、どうしてもボールを追いかけてしまいますが、欧州サッカーなど、特にどちらのチームを応援するわけでもなく、誰に注目するでもなく、ピッチを俯瞰的に眺めていると布陣の面白さに気づくことがあります。
この本を読んで、そんな布陣の面白さを再認識しました。
これからワールドカップ予選の正念場を迎える岡田ジャパン。
一歩引いてその布陣と戦術に注目してみたいと思います。