先日、”特定外来生物被害防止法を巡る混乱”でも触れたように、最近ブラックバスなどの外来生物による生態系の破壊が社会問題となっていますが、ついこのあいだ届いたナショナルジオグラフィック日本語版 の3月号にもタイムリーに「外来生物」の特集が組まれていました。
最近は封も切らずに本棚行きになっているナショナルジオグラフィックですが、今回はテーマがテーマだけに封を切って読んでみました。
特集は米国編と日本編に分けられていましたが、私の想像をはるかに超える外来生物が世界中で被害を及ぼしているようです。
侵略的外来生物がもらたす経済的損失は米国だけでも1,400億ドルにもなるそうです。
日本ではブラックバスが目玉(笑)になっていますが、それ以外にも
”あらいぐまラスカル”でブームになったアライグマ、
夜店などでよく売られているミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)、
東京工業大学のイチョウ並木に群がるワカケホンセイインコ、
沖縄でハブの天敵として放たれたマングース、
米軍によって持ち込まれ小笠原の貴重な生態系を破壊するグリーンアノールというトカゲ、
トマト農家がトマトの受粉に利用するセイヨウマルハナバチ...
などなど実に多様な外来生物が問題になっているそうです。
これらの外来生物は食用・観賞用・ペット、害虫・害獣の天敵といった目的で意図的に持ち込まれたものもあれば、人間や貨物に付着・混入して、不可抗力的に持ち込まれてしまったものもあります。
海洋生物の場合、船のバラスト水(船体を安定させるために船体に取り込む海水)による外来生物の持ち込みが問題となっているそうです。
日本は海という壁によって守られてきた島国なので、生態系も非常にひ弱で外来生物の影響を受けやすいようです。
日本国内での生物の移動ですら問題を引き起こすことがあるそうです。
こういう現状にようやく政府が動き出して、できた法律が特定外来生物被害防止法 ということになるのですが、実効性のある法律になるのでしょうか...
とりあえず、一般市民としては、こういった外来生物がどのようにして持ち込まれ、定着してしまうのかという問題を理解し、生物を移動させるということに対して細心の注意を払うべきでしょう。
夜店で子供に買ってあげたミドリガメや野池で捕まえた外来魚を、かわいそうだから自然に帰してあげようと川や池に放してやる...なんてことはいかにもよくやりそうなことですが、こんな些細な善意からも外来生物は広がっていくのですから。