狭小地でも日当たりは確保できるのか?
都市部の住宅地でよくある悩みのひとつが「日当たり」です。
両隣に家が迫っている、建物の高さ制限がある、土地が細長くて奥の方まで光が届かない…。狭小地で家づくりを検討している方の多くが、「きっと暗い家になってしまうのでは」と心配されます。
確かに、広々とした敷地に比べれば、狭小地は採光条件が限られてしまうことは否めません。
けれど、ここで大切なのは「土地の条件を嘆く」のではなく、「光をどう取り込むかを工夫する」ことです。
たとえば、建物の中央に吹き抜けを設ける方法。
家の真ん中に光の井戸をつくることで、上下階に光を届けることができます。また、狭小地ならではの“縦の広がり”を感じられ、開放感も増します。
さらに、隣家との距離が近い側には大きな窓を設けず、光が入る可能性のある方角に窓を集中させるのも効果的です。
南側に十分なスペースがない場合でも、東や西からの光を上手に取り込めば、想像以上に明るい室内空間がつくれるのです。
もうひとつの工夫は「高窓」や「天窓」を活用すること。
道路側や庭側から視線が入る位置ではなく、目線より高い位置に窓を配置すれば、プライバシーを守りながら安定した採光を確保できます。
特に天窓は、直射日光ではなく拡散した柔らかい光を落としてくれるため、リビングやダイニングに心地よい明るさをもたらします。
狭小地でありがちな「1階が暗い」という問題も、中庭やライトコートを設けることで解消可能です。
建物の一部をくり抜くように小さな空間を設けると、そこから自然光と風が流れ込み、家の奥まで快適さを届けてくれます。小さなスペースでも、植栽を施せば暮らしに潤いが生まれるのも魅力です。
さらに、壁や床、天井の素材選びも光を活かすポイントになります。
白や明るめのトーンを基調にすると、限られた光を室内で反射させ、空間全体を明るく見せる効果があります。単純に“窓を増やす”だけではなく、光をどう室内に広げるかという視点も重要なのです。
私たちナイトウタカシ建築設計事務所では、これまで数多くの狭小地住宅を手がけてきましたが、「この条件でこんなに明るい家になるのか」と驚かれることが少なくありません。
狭小地だからといって暗い家になるわけではなく、むしろ工夫次第で「光とともに暮らす」上質な空間を実現できるのです。
もし今、「この土地では日当たりが心配」と思われているなら、どうぞ安心してください。
設計の工夫で光は取り込めます。
むしろ“限られた条件をどう乗り越えるか”が、唯一無二の住まいを生み出すきっかけになるのです。
狭小地や変形地で家づくりを考えようとしている方は、ぜひこちらをご覧ください。