表参道の『Dior』や金沢の『21世紀美術館』の設計者で名をはせている建築ユニットSANAAの一人、西澤立衛がいろいろと語っているのをまとめた本。
とは言っても雑誌で既出のものがほとんどで、読んだことのある人には内容の新鮮味に欠けるかもしれない。
しかし、今まで断片的だった内容を再度通して読んでみることで、彼の思考しているものがより鮮明に浮かび上がってくる。
本書の中では、『ウィークエンドハウス』、『船橋アパートメント』、『森山邸』、『金沢21世紀美術館』が取り上げられているが、それらについての解説から、彼が常にこれまでにない空間の創造に一番関心があることが如実にわかる。
以下に文章の抜粋。
<建物の仕組みや成り立ちが、明るく透明であるようなものを目指している。また、つくり方ということが、言葉の説明によって理解されるものではなくて、実際の建物によって示される。建物を訪れるとそのつくられ方が経験できる、というものを目指している。>
つまり、これまでにない空間を創造するために設計の原則を探し出し、その原則を活かすために素材・構造が大きく寄与していて、素材・構造を検討するには周辺環境との関係から考えられていることを再認識させられる。
そして、こうした彼の思考は彼の空間体験に深く根ざしているものであり、それを言葉ではなく、空間にまで表現できているのが大きな特徴であろう。
今後、世界中で彼が関わっている建物が竣工してくる。
できれば雑誌ではなく、現地にいって彼の空間を体験してみたいものだ。
