2012/08/03~05
屏風岩東壁ルンゼに挑戦してきました。
一年前から,S師匠+Kanで、暖めてきた挑戦です。
長いので,暇な方だけお付き合い下さい。

毎年,この時期に北アルプスに入っているが,天候が安定せずに結構雨で敗退する機会が多かったのに,今年は真夏の太陽ドピーカンで、逆に炎天下の日差しに体力を消耗することになりました。
S師匠とは,事前にアブミ練習を重ねて準備してきただけに気合いも充分といいたいところだけど,本来心配性の私は,体力の心配や,ルートファインディングの甘さを気にしてなかなか気持ちが乗らないまま、先に徳沢に入っているS師匠と合流。
上高地では,登山学校でお世話になっている校長と出会い,先週屏風の雲稜ルートを行ったことを聞き,渡渉の状況が確認できた。
S師匠が渡渉用のロープまで用意していたのだが、膝丈程度の水量なので、テントにデポしてもらうことにして、私のザックも30ℓのアタックザックに荷物を詰め替えて出発。9時30分
横尾で、水を一人6ℓ担いで渡渉点に向う、渡渉点の状況は,今までの経験で一番水量が少ない!用意してきたネオプレーンの靴下をはいて難なく渡る。
1ルンゼ押し出しを詰めるが,何しろ暑いので、水を積増したザックの重さに辟易としながらようやく屏風岩を眼前に見ることが出来た。

T4取付きに着いて、すぐ横にある岩小屋に荷物を詰めて今日の登攀の準備。
今日は,下部岩壁を登って、T3まで行った後、T4のカンテルートを下って岩小屋でビバークの予定だ。
T4取付きから右の急な草付きの斜面を踏み跡通りに降りて行くとすぐに東壁ルンゼの取付きに出る。左上するルンゼというか,かぶった岩壁があるので判りやすい。リングピンも二本程あるのでここが取付きと判った。
1P
私リード。3級程度で,30m

2p
S師匠
おそらく,今年初めて登るのが私たちという感じで,岩の上には,砂が浮いているし,ピンは隠れているしで,砂で浮いたスラブに苦戦しながら抜けて行く。
ルンゼを右に回り込んで抜け出し、きれいなスラブが広がるところまで。4級
3P
フリーで始まるが,すぐにアブミを出して登る。一段上がったところで,右にトラバース気味に進んで切る。みかずきレッジのような場所に惑わされた。3級A1

4P
S師匠A130m
5p
きれいなスラブを軸しかないピンにタイオフしながら登る。途中,下調べに読んだブログに書いてあったきれいなピンに出会った。ミカズキレッジとはこれかと言う感じの場所の手前に支点があった。なんで後2m伸ばさなかったのか?不思議なくらい安定したところなのに、、、
6p
S師匠
ミカズキレッジに振り子っぽくトラバース後、カンテに沿ってフリーまじりに登るルート。傾斜の緩くなったところまで。A1 35m
7p
草付きのスラブは,もうもうと生い茂った高山植物で埋め尽くされていてルートもへったくれもない!とにかく上に向って右往左往しながらロープを伸ばす。
右に寄って岩の割れ目のあるところでカムビレイ。

8p
S師匠。草付きとはいえ,途中に岩を乗っ越すようなところが混じる。とにかく支点が取れないので,気持ちが悪い。
ようやく,T3に辿り着く。
18時を過ぎていた。登攀時間6時間だが,草付きに随分時間を食った。
T3から、T4に残置ロープのある踏み跡をたどって行く。T4から,T4取付きま懸垂を2回。最後の懸垂は夜間登攀になって思う方向に降りることが出来ずに手こずってしまい。T4の岩小屋に着いたのが,21時。
ちょっと,つまらないアクシデントが多かった一日だ。
T4取付きの岩小屋は,二人なら最高に快適な泊地で、遅い晩飯を食い,アルコールも入って,正面の満月で月見酒。おっさん二人の夜。
8/4
朝は,3時に起床セットしていたが,私がちょっとぐずぐず。シュラフカバーの袋を探しまくってばたばたしているうちに,出発予定を30分遅らせてしまった。
T4のカンテを登り返すために、昨晩、懸垂ロープを残置していたが,なにしろ安全なところまで降りれずにありったけのシュリンゲを繋いで降りたものだからその回収に手間取り、T4下部の4級ルートを登ってT3に着いたのが,7時を過ぎてしまった。
東壁ルンゼ上部に取付いたのが,8時前で,今日はS師匠が先に行く。
1P
顕著なルンゼというか,かぶった岩のコーナー沿いに登って行く。かぶった岩の突き当たりまで行って終了。フリーまじりのAI 40M
2P
ハング下から、右にトラバース気味に乗っ越して,スラブに出るが,残置支点は折れたハーケンや,軸だけのピンに残置スリンゲが幾重にも巻かれたピンなど悪い悪い、タイオフするにもバランスの悪いムーブになって安心できない。
越えたところを少し上がると支点があったのでロープの流れを気にして切ってしまう。上を見たらまさしく東壁ルンゼの真っ正面のスラブ。しかし、いろいろな方向にピンが打たれて先が全く読めないのでS師匠に交代したのが本音。
A1. 10M
3P
S師匠。見える範囲で真直ぐ上がるルートが見えるので行けるだけ進む。上部に見えた懸垂支点まで行くと、右に岩や草に同化したリングピンの軸を発見する。
それに導かれて,ようやくルートが見えてきた。ひたすら支点にタイオフを繰り返して登るので,途中でS師匠「電気工事してるみたいや!」かなり直射日光にさらされ続けて二人とも消耗が激しい。
今回の為に、プラティパスの給水パイプを仕込んでおいて助かった。ビレイ中はザックも下ろせないで、時々ぱっと水を含む幸せを味わえるのはよかった。
4P
S師匠が私にとっておきのステージを与えてくれた。
2m程度だが,ルーフを乗っ越す。下から見ると、ルーフのピンに状態が判らない。近つくとかなりしっかりしたハーケンがきっちり決まっていて,いろいろ残置物が付いている。カラビナを直接掛けれるハーケンはこれのみだった。ハングを越えたところのピンは,リングのない軸のみで,残置もない。おそらくここだけは,皆しっかりした支点にしたいのだろう。腹筋を使ってタイオフに成功し,何とかルーフから脱出。次の支点は,噂のラープ。リスにしっかり効いているので不安はないが,ワイヤーは,ちょっと切れている。
本当は,そのまま真直ぐに上を目指すべきだったのに、右にある棚に載ってしまってそこの支点で切ってしまう。

5p
S師匠
またそこから、A1が始まる。途中左上するところで,フリーが混じり,アブミの回収が難しい。左上してルンゼを上がる時もフリーなら5.9ぐらいか?アブミになれているとフリーが思い切れないので結構苦労して登って行った様子。
横断バンドでピッチを切る。
ここで,15時になって予定での登攀終了時刻を迎えてしまった。
この上あと3p。への字ハングも見えているのだが、次のピッチでは,懸垂の可能性も減るので、ここで,降りることにした。
への字ハングを恨めしそうに見上げるS師匠。スタートの遅れ,登攀スピードの無さ、ルートファインディングの出来ない私。いろいろと原因があっての途中撤退。悔しいけれど無理は事故の元。
今日は,屏風岩に二人だけだったので、ここから降りても人為的な落石の心配は無いと判断し,東壁ルンゼのど真ん中を降りる。3pで,T3に着き、16:30に下山開始。来た道を辿ってT4取付きに急ぐ。
道具を纏めて、T4岩小屋を出たのが,日没の30分前。1ルンゼを急ぐが疲れているだけに二人とも慎重に降りる。
渡渉点に着いたときには薄明かり状態で,何とか行動予定時間+30分程度ですんだ。ろくに食べていなかったので持ってきたレーションをがっつく。
横尾で,ビールで乾杯。大休止してから,ゆっくりテントの待つ徳沢の芝生に向った。
屏風岩東壁ルンゼに挑戦してきました。
一年前から,S師匠+Kanで、暖めてきた挑戦です。
長いので,暇な方だけお付き合い下さい。

毎年,この時期に北アルプスに入っているが,天候が安定せずに結構雨で敗退する機会が多かったのに,今年は真夏の太陽ドピーカンで、逆に炎天下の日差しに体力を消耗することになりました。
S師匠とは,事前にアブミ練習を重ねて準備してきただけに気合いも充分といいたいところだけど,本来心配性の私は,体力の心配や,ルートファインディングの甘さを気にしてなかなか気持ちが乗らないまま、先に徳沢に入っているS師匠と合流。
上高地では,登山学校でお世話になっている校長と出会い,先週屏風の雲稜ルートを行ったことを聞き,渡渉の状況が確認できた。
S師匠が渡渉用のロープまで用意していたのだが、膝丈程度の水量なので、テントにデポしてもらうことにして、私のザックも30ℓのアタックザックに荷物を詰め替えて出発。9時30分
横尾で、水を一人6ℓ担いで渡渉点に向う、渡渉点の状況は,今までの経験で一番水量が少ない!用意してきたネオプレーンの靴下をはいて難なく渡る。
1ルンゼ押し出しを詰めるが,何しろ暑いので、水を積増したザックの重さに辟易としながらようやく屏風岩を眼前に見ることが出来た。

T4取付きに着いて、すぐ横にある岩小屋に荷物を詰めて今日の登攀の準備。
今日は,下部岩壁を登って、T3まで行った後、T4のカンテルートを下って岩小屋でビバークの予定だ。
T4取付きから右の急な草付きの斜面を踏み跡通りに降りて行くとすぐに東壁ルンゼの取付きに出る。左上するルンゼというか,かぶった岩壁があるので判りやすい。リングピンも二本程あるのでここが取付きと判った。
1P
私リード。3級程度で,30m

2p
S師匠
おそらく,今年初めて登るのが私たちという感じで,岩の上には,砂が浮いているし,ピンは隠れているしで,砂で浮いたスラブに苦戦しながら抜けて行く。
ルンゼを右に回り込んで抜け出し、きれいなスラブが広がるところまで。4級
3P
フリーで始まるが,すぐにアブミを出して登る。一段上がったところで,右にトラバース気味に進んで切る。みかずきレッジのような場所に惑わされた。3級A1

4P
S師匠A130m
5p
きれいなスラブを軸しかないピンにタイオフしながら登る。途中,下調べに読んだブログに書いてあったきれいなピンに出会った。ミカズキレッジとはこれかと言う感じの場所の手前に支点があった。なんで後2m伸ばさなかったのか?不思議なくらい安定したところなのに、、、
6p
S師匠
ミカズキレッジに振り子っぽくトラバース後、カンテに沿ってフリーまじりに登るルート。傾斜の緩くなったところまで。A1 35m
7p
草付きのスラブは,もうもうと生い茂った高山植物で埋め尽くされていてルートもへったくれもない!とにかく上に向って右往左往しながらロープを伸ばす。
右に寄って岩の割れ目のあるところでカムビレイ。

8p
S師匠。草付きとはいえ,途中に岩を乗っ越すようなところが混じる。とにかく支点が取れないので,気持ちが悪い。
ようやく,T3に辿り着く。
18時を過ぎていた。登攀時間6時間だが,草付きに随分時間を食った。
T3から、T4に残置ロープのある踏み跡をたどって行く。T4から,T4取付きま懸垂を2回。最後の懸垂は夜間登攀になって思う方向に降りることが出来ずに手こずってしまい。T4の岩小屋に着いたのが,21時。
ちょっと,つまらないアクシデントが多かった一日だ。
T4取付きの岩小屋は,二人なら最高に快適な泊地で、遅い晩飯を食い,アルコールも入って,正面の満月で月見酒。おっさん二人の夜。
8/4
朝は,3時に起床セットしていたが,私がちょっとぐずぐず。シュラフカバーの袋を探しまくってばたばたしているうちに,出発予定を30分遅らせてしまった。
T4のカンテを登り返すために、昨晩、懸垂ロープを残置していたが,なにしろ安全なところまで降りれずにありったけのシュリンゲを繋いで降りたものだからその回収に手間取り、T4下部の4級ルートを登ってT3に着いたのが,7時を過ぎてしまった。
東壁ルンゼ上部に取付いたのが,8時前で,今日はS師匠が先に行く。
1P
顕著なルンゼというか,かぶった岩のコーナー沿いに登って行く。かぶった岩の突き当たりまで行って終了。フリーまじりのAI 40M
2P
ハング下から、右にトラバース気味に乗っ越して,スラブに出るが,残置支点は折れたハーケンや,軸だけのピンに残置スリンゲが幾重にも巻かれたピンなど悪い悪い、タイオフするにもバランスの悪いムーブになって安心できない。
越えたところを少し上がると支点があったのでロープの流れを気にして切ってしまう。上を見たらまさしく東壁ルンゼの真っ正面のスラブ。しかし、いろいろな方向にピンが打たれて先が全く読めないのでS師匠に交代したのが本音。
A1. 10M
3P
S師匠。見える範囲で真直ぐ上がるルートが見えるので行けるだけ進む。上部に見えた懸垂支点まで行くと、右に岩や草に同化したリングピンの軸を発見する。
それに導かれて,ようやくルートが見えてきた。ひたすら支点にタイオフを繰り返して登るので,途中でS師匠「電気工事してるみたいや!」かなり直射日光にさらされ続けて二人とも消耗が激しい。
今回の為に、プラティパスの給水パイプを仕込んでおいて助かった。ビレイ中はザックも下ろせないで、時々ぱっと水を含む幸せを味わえるのはよかった。
4P
S師匠が私にとっておきのステージを与えてくれた。
2m程度だが,ルーフを乗っ越す。下から見ると、ルーフのピンに状態が判らない。近つくとかなりしっかりしたハーケンがきっちり決まっていて,いろいろ残置物が付いている。カラビナを直接掛けれるハーケンはこれのみだった。ハングを越えたところのピンは,リングのない軸のみで,残置もない。おそらくここだけは,皆しっかりした支点にしたいのだろう。腹筋を使ってタイオフに成功し,何とかルーフから脱出。次の支点は,噂のラープ。リスにしっかり効いているので不安はないが,ワイヤーは,ちょっと切れている。
本当は,そのまま真直ぐに上を目指すべきだったのに、右にある棚に載ってしまってそこの支点で切ってしまう。

5p
S師匠
またそこから、A1が始まる。途中左上するところで,フリーが混じり,アブミの回収が難しい。左上してルンゼを上がる時もフリーなら5.9ぐらいか?アブミになれているとフリーが思い切れないので結構苦労して登って行った様子。
横断バンドでピッチを切る。
ここで,15時になって予定での登攀終了時刻を迎えてしまった。
この上あと3p。への字ハングも見えているのだが、次のピッチでは,懸垂の可能性も減るので、ここで,降りることにした。
への字ハングを恨めしそうに見上げるS師匠。スタートの遅れ,登攀スピードの無さ、ルートファインディングの出来ない私。いろいろと原因があっての途中撤退。悔しいけれど無理は事故の元。
今日は,屏風岩に二人だけだったので、ここから降りても人為的な落石の心配は無いと判断し,東壁ルンゼのど真ん中を降りる。3pで,T3に着き、16:30に下山開始。来た道を辿ってT4取付きに急ぐ。
道具を纏めて、T4岩小屋を出たのが,日没の30分前。1ルンゼを急ぐが疲れているだけに二人とも慎重に降りる。
渡渉点に着いたときには薄明かり状態で,何とか行動予定時間+30分程度ですんだ。ろくに食べていなかったので持ってきたレーションをがっつく。
横尾で,ビールで乾杯。大休止してから,ゆっくりテントの待つ徳沢の芝生に向った。








