後半スタート。

 

雲稜ルート1P

KJリード Ⅴ級

ヌンチャクは、15本でスタート。出だしは、フリーでないと抜けることが出来ないので

濡れた岩のフリクションに焦りながら乗り切っていく。

クラックの発達したチムニーはスタンス、ホールドも多いので快適なはずだが、岩に触るたびに手が濡れていくので、A0祭りになってしまい、予定のテラス手前でピッチを切る羽目に。

雲稜ルート1P目後半

KYリード

ハングをA0で越えて所定の終了点まで。

雲稜ルート2P

KJリード Ⅴ級(A0したらⅢ級?)

トラバースからのスラブだが、岩の濡れているに加えスタンスが細かく甘いので

A0.A0.・・なんだか別種のクライミング。ピナクルからは、左上して扇のテラスへ扇のテラスまでもう少し。

11

雲稜ルート3P目 35M A1

扇のテラスから見上げてみるとベッタリと垂壁。しかも、ルートはしっかり濡れていて、黒い壁。あぶみルートだけに膝が汚れるのでカッパを穿いてて良かった。雲稜3P目もうベタベタ

KJリード

荷物の重さに辟易とするが、RCCピンの新しいのが増えている。少し安心してあぶみを架けていく。途中フリールートと混じるとペツルの支点があるので安心だ。

斜度が緩くなるあたりから、フリー交じりの支点間隔。古いリングピンの軸に残地の細引きが掛かった支点が複数続くので使わずには登れない。補強しつつ怖々乗り込み前進し、ハンギングビレーの終了点へ。上からしたたり落ちる雫が雨の様に降ってきた。

このピッチで、1時間弱かかり、セカンドも40分。支点の見極めに時間がかかった。

1240

雲稜ルート4P目 35M Ⅳ級A1 

KYリード

出だしあぶみで直上するが、今にも剥がれそうなフレークと真っ黒く垂れ下がった古いシュリンゲがあるが、それを使って何とかハング下のテラスへ出て行った。

しかし、かなり状態が悪いので、フレークと古いシュリンゲは、使わずに登るべきだろう。

右にトラバース気味にルート取りをした方が良さそうだった。(こうも濡れていてはフリーで行けなかった。)

ハング下のトラバースは、被さる根っこが邪魔でバランスが悪いが、右へ渡りきるとルンゼに出る。ちょっと手前のテラスで切ったため、本来のピッチより短くなった。

 雲稜4P目.横尾まで見渡せる!

1330

雲稜ルート5P目 30M Ⅳ級A0?

テラスからルンゼを眺めるとベッタリと濡れている上にコケまでヌラヌラ。リングピンが見えるので、A1で前進する。でないと、懸垂支点に取り付けないので仕方がない。

全くフリーで登る気がしない濡れたスラブを右手の岩に沿って上り、これもピッチの途中の懸垂支点で弾切れになり、時間切れと判断。

1430分登攀終了。

本来、もう少し上が懸垂支点のはずなので、雲稜ルートは、完登ならず!残念!

でも、この濡れた岩での奮闘は、充実した登攀だったので、後は、安全に降りることに専念する。

リングピン3本の残地支点には、黒くなったロープが複数あったが、捨てロープで補強し、カラピナも残置して懸垂開始。

支点補強中

懸垂下降1P目40M

雲行きも怪しくなって視界がきかないなか、4P目の終了点まで。

懸垂下降2P目35M

懸垂点は、新しいロープで補強されカラビナもあるので、残置支点を利用させてもらう。

扇岩のテラスに降り、大テラスまでは、歩いて降りるが、大テラスの壁に乱打された懸垂支点は使わずに、少し外に向かったところにある新し目の懸垂支点を見つけそこまで移動。

慎重に行けばフリーで移動できる。

懸垂下降3P目50M

大テラスの新しめの支点も、比較的新しいロープと残置カラビナを利用させてもらい、T4に到着。16時。

懸垂3P目で、雲稜ルートの始点に戻る。

T4から、下部岸壁を降りて、途中3P懸垂し、T1に着いたのが、17時過ぎ。

ようやく安心出来るところまでたどり着く。

雲のヴェールをまとう屏風を背に1カット押さえて、Ⅰルンゼを降った。

 

テントには、1830分着

 

カンビールで祝杯をあげて、全身筋肉痛で悲鳴を上げながら眠りについた。

 朝の快晴が恨めしい。

装備:

ヌンチャク(60) 16セット、フリー用2セット、カム0,3(使用)0,50,751

ナッツ類(不使用)、あぶみ1セット

8.5mmダブルロープ50M×2

反省点

雲稜1P目は、ヌンチャク不足のために所定のテラスまでたどり着けずタイムロス。

4P目も、もう少し伸ばせたはずが、手前で切ってしまったので、その分最終ピッチを思い切れなかった。スラブの濡れ様はひどいので、恐らく登ってもA1でしか登れないが。

当初は、涸沢経由で帰ってくるつもりでいたが、このペースでは心許ない。

再挑戦必至である。

 

 

 

私が、初めてアルパインルートを経験したのは、8年前の屏風岩雲稜ルートだった。

リーダーは、今は亡き、O師匠。

小梨平から時間で、横尾まで、さらにノンストップで、徒渉を終え、1ルンゼを詰めたが、T1手前で、あまりに喉が渇き休憩を取らせてもらった。

その時、後続の友人パーティーに追い越され、二番手になった時、O師匠の表情の豹変ぶりは忘れられない。 (そう、彼は、大魔神と渾名されていた。)

その日は、最終の2 ピッチを夜間登坂して、最上部の一坪テラスにたどり着いた。

完登は嬉しかったが、O師匠への申し訳なさと、苦い記憶が残った。

 

 

あれから何度か屏風に来たが、チャンスに恵まれず,今回ようやく雲稜ルートに取り付くことが出来た。

 

922() 天候:雨

21時に大阪の自宅を出発。5時間30分で、あかんだな駐車場着 車中泊

923() 天候:雨のち曇り

天気予報では、今日一日状態が悪いので、予定を横尾とし、明日にかける作戦。

10時に上高地に入る。

久し振りの上高地、雨模様だけあって人出は少ない。ゆっくりと横尾までの道行きを楽しみながら徐々に屏風岩に近づいてゆくと、低く垂れ込めた雲で、屏風の頭は見えない。

明日の状態に不安を感じながら,横尾にテントを張る。

 

一服して、徒渉点の確認に出かけると、少し雲も上がり、雲稜ルートも全貌が見えてきた。

巨大な岩塊に懐かしさもあるが、その姿は、もうべったりと濡れ色の黒い岩である。

徒渉点は、先行者のケルンのお陰で間違いなく判る。少し安心して帰路についた。

 徒渉点のケルン

924() 3時30分起床

深夜に、またバラバラと雨音を聞く。もう、諦めようかと二人で話し合うが、行けるところまで行きたいとヨメ。意志が硬くて、リスクの上がった濡れ色の屏風岩へ向かうことにした。

430分 横尾発、

5時 徒渉点。

裸足になって,冷たい沢に入っていくが、以外に浅く、膝上程度で渡れたので二人で

ホッとする。

上手く選べば、膝上程度

610分 T1に到着。

誰もいないが、確かに岩は濡れている下部岸壁は、岩のフリクションが効くのでA0なら何とかなるだろうと思うが、ホント、出だしが悪い。

後続が上がってくるのが見える。東陵に行くそうだ。賢明な判断。

  屏風岩が近づいてくる!

630分登攀開始 

P目:KYリード  Ⅳ級

悪い出だしA0で切り抜け30M。

1P目終了点から、後続が見える。

P目:KJリード 40M Ⅳ級+

壁は立ってくるが、ガバなので怖くはない、とにかくよく濡れている。

ハーケンは、適度に残地されしっかりしているので、恐らく定期的に打ち替えられている様子だ。

  2P目終了点から、ペツルと、RCCで安心の終了点

P目:KYリード。泥付きの緩傾斜だが、ところどころ岩が立っているのでロープを伸ばしてもらって木でピッチを切る。40M Ⅱ級?

 

そこから少し歩き、テラスへ出て、T4まで最後のチムニーを登る。

 

8時 T4到着。 

ちょっと腹ごしらえをして、ここからが雲稜ルートだ。

 見上げる岩塊は、圧倒的なボリュームで迫る。扇岩がせり出しているのがよく見える。

いいところだが、前半はここまでです。

福島県の吾妻山系中津川を沢登りしてきました。
2013/8/9~8/13
会のメンバーK野師匠、永遠の14才W辺さん、ブルーのライフジャケットのーまさん、あとS×2の5人です。
大阪を9日19時に集合し、高槻高速バス停で一人を拾って、北陸道経由で10時間の運転です。
途中のSAで、仮眠をとって
翌朝10時に中津川レストハウスの到着。
吾妻連山は、優しい緩やかな稜線で関西の暑苦しいイメージと違って新鮮。
8/10
さて、レストハウスから中津川白滑八丁へは、登山道で直ぐに下りていける。川原はゴーロで、家族連れの子供たちが水遊びをしている横を上流へと向う。
$Archi-Alps Diary

直ぐに滑に変わってカール状の渓相。水量はK野さんによると以前来た時より多いそう。
久しぶりの沢靴にヘツリもヘッピリ腰でなかなか前に進まない。滑とはいえ、水量は多いし、沢芯は、グッと深くなって落ちると流される。へつり始めてすぐに前を行くW辺さん滑ってどぼん!
15m流されて戻ってきた。
$Archi-Alps Diary
$Archi-Alps Diary

白滑八丁は、870m続くと書かれていたが、なかなか終わらないし、途中渡れずに高捲きもして、結構時間がかかる。予定の関電取水口まで行けないで、滑が終わりゴーロが続く途中で、きれいな泊地を見つけたので3時過ぎに行動終了。
枝沢の滝も見れて、気持ちの良いビバーク地だ。

8/11
$Archi-Alps Diary-二日目出発

行動の予定は、中津川を詰めて、西吾妻山側の池塘へ抜けるつもり。
今日は、行けるところまで伸ばしていきたいところ。7:00行動開始
魚止めの滝(7:15)を右に巻き、しばらく行くとようやく東電取水口に到着。(9:30)
そこから、滑をヘツリ、高捲きもし、銚子の口(10:15)に出会う。ここは、右からヘツッテなんなく越していく。
$Archi-Alps Diary-魚止めの滝
$Archi-Alps Diary-東電取水口

遡行図は、ネットから入手していたが、滝と滝の間がとにかく長いのと、ゴルジュなのでヘツリも多く、泳ぎで突破するところもあった。5mの小滝と、観音滝を右から高捲き(13:00)巨岩ゴーロ帯に入っても、ペースは進まず、急流と格闘していた。
権現沢の出会いまでようやく来たのが、17:00
今日の行動はここまでと、周辺にビバーク地を探りにいく。
両岸切り立った崖だけに平地はほとんどないが、二股の上部にいくらかのスペースを見つけてビバークすることにした。後で聞いたら、その平地に熊がいたそうで、偵察に近づくと上部に逃げていったとのこと。熊にとっても快適な場所だったのに人間様が追いやってしまったようだ。
焚き火の出来るだけのスペースはなくて、3、2で、別れて寝る。

8/12
今日中に稜線に出る計画は権現沢の二股に居ては叶わないので、エスケープルートにしていた権現沢を詰めて、途中吾妻山神社から、その登山道を下ることとしたのだが、、、
ここからがアクシデントの連続で、予備日を使うはめになった。

権現沢は、顕著な枝沢で、権現滝が本流直近で落ちているので、ビバーク地の真横に見えていた。ビバーク地から尾根に向けて、藪漕ぎをし、権現沢の上部に懸垂下降。水量は少なくなって沢芯を歩き易くなった。1時間程ドンドン詰めて行くと硫黄のにおいがするところがあった。
$Archi-Alps Diary

さらに詰めていって水量も少なくなってきた。振り返ると、中吾妻山からの稜線が見えるが、稜線とほぼ同じ高さに来ている様子。さらに行くと矢印の形をした鉄板が、半分に折られて、打ち付けてあった。これが、登山道かと思いながら周辺を見ても、登山道らしき明瞭な道は見当たらない。高度計は、誰も正確に合わせていなかったので、数値に自信がない。二股からの高度差は300mくらいのはずが、既に3時間は歩いている。1/25000の地図と、1/50000の地図では、登山道の位置も違うし吾妻山神社の姿(K野さん曰く掛造りの社だそう)も見ていないので、さらに上に行く、コンパスで、神社の方向を決めて行動開始していた、K野さん既に通り過ぎていると判断し、二股に分かれるところがあったので、左にとって詰めていく。雨も降ってきて、藪漕ぎになって方向も怪しく完全に迷ってしまった。
雨で、視界が無く確かな情報がないので、位置が特定できない。もしかして携帯のGPSが使えるかとSヨメが、確認するとGoogleマップに権現沢と吾妻山神社が表示され、そのはるか高い位置を指している。しかし、どれほどの正確さか信用できないので、高度に対して鵜呑みにしなかった。とにかく元の沢に戻るために、トラバースしていくが、いくつかの涸れ沢を越していくが、地形が変化して斜面の方向が変わっていくので、沢を下ることにして、元の看板の位置まで戻る。看板は、かなり古いもので、何が書いてあるかは不明瞭、沢を渡る道らしいものは、何となくあるので、それぞれの方向に偵察に行くが道らしい踏み後は笹薮に邪魔されて見つからない。
山の中腹に渡る登山道を見出すことはかなり困難だし、笹薮の藪漕ぎトラバースで下山するには距離がありすぎるので、逆に今の看板のあるところを登山道の渡渉点(地図上では、1500m付近)と仮定して、真北に向えば、約1、6キロで、ヤケノママ周辺の本流に到達するので、真北の方向と、高度を決めて藪漕ぎ開始(5時30分頃)、笹薮に苦労しながら、日没までに行けるところまで進むこととしたが、高度に対する不安は消えないまま、沢筋に出たので地図から、ヤケノママ近くに流入する枝沢と判断し、その沢を下ることとしてビバーク地を探したが、緩斜面の地形は、笹薮が続き適度な場所が見つからなかったので沢筋の窪地を2カ所使ってビバークした。最後はヘッデンを着けての行動で、7時30分頃に行動終了。
奇跡的に、この深い山中で携帯がつながったので、大阪に下山遅れになる旨のメールを打つ。ちゃんと送信できたことは確認できたが、今回の最終下山連絡時刻は、8/14日AM8:00としていたので、どうしても連絡しておきたかっただけに一安心だ。
8/13
$Archi-Alps Diary-どこにいるのやら!

朝は、6:35から行動開始、沢を下っていく。しかし、ドンドン南の方向に下っている様子に不安の声、再度地図とにらめっこし、GPSで確認すると、明らかに想定している沢とは異なり、権現沢に流入する枝沢にいる様子。高度も1650m。まだ、山神社より高い位置だ。昨日のGPSの位置から行動したルートを再確認すれば、辻褄が合うし、山神社からそれ程離れていないことが判明した。
しかし、今日の予定は、ヤケノママから、沢を詰めることとしていたし、山神社からの登山道を見つけられなかった以上沢を詰める方が確実と判断して、今の位置から、ヤケノママに向けて、北進、藪漕ぎを開始した。2時間程、高度を決めて藪漕ぎしていくと中津川の本流が見えて、滝の音もする!地図上の高度とも合致するので、今度こそ間違いがないことを確信して進む。滑の枝沢にぶつかったところで本流に下りる。10;00を過ぎた頃ようやく迷走が終了した。
$Archi-Alps Diary

まあ、一日を費やして、本流を大高巻きしたと考えて、これからは予定の行動としよう。
枝沢から、ヤケノママはすぐに着いた。そこから、登山道を通って、藤十郎へ直登するルートもあるが、途中また沢と交差すること、登山道がかなり不明瞭なこともあり沢を詰める。
$Archi-Alps Diary-ヤケノママ付近上流を見る
1時間ちょっとで、ピンクのリボンのいくつかある登山道との交点に着いたが、藤十郎への道は、やっぱり不明瞭。距離としても遠回りになるので、中津川の源頭まで詰めて、大凹の地塘を目指すこととした。
ヤケノママからの沢は、こう配も緩く、浅瀬をドンドン詰めていく快適な沢歩き。次第に細くなる沢は、水が枯れること無く源頭の地塘まで続き、笹薮とハイ松の藪漕ぎの末、視界は大きく開け、美しい地塘の真ん中に出た。登山道着いたのが、1:15。
$Archi-Alps Diary-地塘の様子

皆、消耗していたが、ここから、4:00が最終のゴンドラに乗るため大急ぎで下山開始。地図のコースタイムの7掛けで行動。普段なら自信はあるが、消耗し切った体ではかなりきつい思いをした。4:00丁度にゴンドラ山上駅にK野さんが飛び込み、5分遅れて、全員が揃ったが、駅員は快く待ってくれていて、ゴンドラで下りれる幸福を味わった。
最終日は、非常食での行動だったので、かなり空腹の行動で、太ももの疲労は、膝が曲らないくらいになっていた。近年にない疲労を伴いながら、達成感もあったが、反省点を多く抱えたという思いも乗し掛かり、忘れられない山行となるだろう。
タクシーで中津川レストハウスまで移動し、ようやく車に戻り、岳温泉で4日間の垢を落とした。