【第10回】20年前の県政まで掘り返された―

―490億円の借り換え問題と、点と点は本当につながるのか

 

NHKについて調べ始めた。

そこから、

立花孝志という人物に行き着いた。

 

立花氏を追っていくと、

兵庫県知事選挙に行き着いた。

 

兵庫県政を調べ始めると、

告発文書。

百条委員会。

不信任決議。

竹内英明元県議。

SNS。

警察。

そして、

日本の刑事司法制度にまで話が広がった。

 

正直、

最初にNHKについて調べ始めた時、

ここまで来るとは思っていなかった。

 

しかし、

兵庫県について調べていると、

さらに別の数字が出てきた。

490億円。

しかも、

これは斎藤元彦知事になってから発生した借金ではない。

 

話を遡ると、

約四半世紀前。

2000年度の兵庫県政

まで戻ることになる。サンテレビ


■ そもそも「490億円」とは何なのか

まず、

ここを整理しないと何も分からない。

 

問題になっているのは、

公共用地先行取得等事業債。

 

略して、

「用先債」

と呼ばれる地方債である。

 

道路や公共施設などの事業を行う場合、

行政は土地を取得しなければならない。

 

しかし、

事業が本格的に始まってから土地を買おうとしても、

地価が上がったり、

取得に時間がかかったりする。

 

そこで、

将来必要になる土地を、

あらかじめ取得するために使える地方債が、

用先債である。

 

兵庫県は2000年度、

この仕組みを使って、

約490億円

の土地を取得した。

 

監査結果によれば、

当時、総務省から認められた償還期限は30年以内。

 

その30年を3分割し、

10年ごとに借り換える仕組みだった。兵庫県

 

つまり、

最初から2030年度まで返さなくていい、

という意味ではない。

 

10年ごとに、

その時点の状況を踏まえて借り換えていく。

そんな仕組みだった。


■ 2010年度には490億円を全額借り換えた

最初の10年。

2010年度。

 

この時点では、

土地売却による返済財源が十分に生まれていなかったため、

490億円を全額借り換えた。

 

そして、

次の満期が2020年度。

ここまでは、

大きな問題にはなっていない。

 

問題は、

その10年間に状況が変わったことである。サンテレビ


■ 2020年度までに338億円分の土地が売れていた

2017年度から、

県有環境林特別会計などを通じて土地の買い戻しが進められた。

 

その結果、

2020年度までに、

約490億円のうち、

約338億円分について土地売却収入が発生していた。

 

残っていたのは、

およそ152億円。

 

単純に考えれば、

こうなる。

490億円の借金。

↓

338億円分の土地が売れた。

↓

その338億円を返済に使う。

↓

残った152億円だけを借り換える。

 

ところが、

実際にはそうならなかった。サンテレビ


■ 490億円、全額をもう一度借り換えた

2020年度。

兵庫県は490億円全額を再び借り換えた。

 

つまり、

土地売却収入が発生していた約338億円分についても、

借金を残した。

 

では、

土地を売って得た338億円は、

どこへ行ったのか。

 

消えたわけではない。

使途不明金になったわけでもない。

ここは非常に重要である。

 

その338億円は、

県債管理基金に留保された。

 

県債管理基金とは、簡単に言えば、

将来の県債返済に備えるための基金である。

 

したがって、

「338億円が消えた」

という話では全くない。兵庫県


■ では、何が問題なのか

問題はお金がなくなったことではない。

借金を返せるお金があったのに、借金を残したこと。

ここである。

用先債は、

公共用地を取得するという目的のために認められる地方債である。

 

ところが土地を売却した時点で、

その部分についてはすでに取得した土地が存在しなくなる。

 

総務省は2026年、

兵庫県に対し、

土地売却収入が発生していた約338億円部分まで

用先債として借り換えたことについて、

地方財政法第5条第5号に抵触するおそれがある

と指摘した。兵庫県

 

ここは言葉を正確にしたい。

 

総務省が、

「地方財政法違反である」

と最終確定したわけではない。

 

兵庫県監査委員も2026年9月18日に公表した監査結果で、

この点を明確にしている。

「抵触するおそれがある」という指摘であって、

「違反である」と断定されたものではない。

この違いは大きい。兵庫県


■ さらに興味深い資料が出てくる

今回、

最新の監査結果まで読んでいて、

私が最も引っ掛かった部分がある。

 

2019年2月。

 

つまり、

斎藤元彦知事が就任する、

2年以上前である。

 

当時は井戸敏三知事の時代。

 

監査結果には、

当時の関係職員への聞き取りによって確認された事実として、

次の経緯が書かれている。

 

2019年度当初予算の知事協議で、

県債管理基金の積立不足率が悪化する見込みであることを説明。

 

その後、2020年度に、

用先債を全額借り換える。

 

そして、

土地売却収入については、

2030年度まで県債管理基金に留保する。

 

そうするよう、

指示があったというのである。兵庫県

 

これは、ネット上の噂ではない。

 

2026年9月18日に公表された、

兵庫県監査委員の監査結果に記載されている。

 

ただしここから、

「井戸前知事が違法行為を指示した」

とまで書くことはできない。

 

監査結果によれば、

関係職員は、

当時この借り換えが地方財政法に抵触するとの認識はなかった、

と説明している。兵庫県

 

ここも、

分けて考える必要がある。


■ なぜ338億円を返済しなかったのか

では、なぜそんな処理をしたのだろう。

 

監査結果に書かれている理由を見ると、

ある事情が見えてくる。

県債管理基金の積立不足率。

つまり、

借金返済に備えた基金の状態を、

悪化させたくなかった。

 

土地売却収入の338億円を、

そのまま借金返済に使えば、

 

当然、

基金に置いておけるお金は減る。

 

一方、

490億円を全額借り換え、

338億円を基金に残せば、

基金残高を確保できる。

 

監査結果では、

2019年2月の知事協議において、

基金の積立不足率が悪化する見込みを説明した後、

全額借り換えと土地売却収入の基金留保を行うよう指示があった、

と整理されている。兵庫県

 

私はここを読んで、

なるほどと思った。

 

単なる事務処理ミスではなかった可能性がある。

 

少なくとも、

基金残高をどう見せるかという財政運営上の判断が背景にあった

ことは監査結果から読み取れる。


■ ただし、338億円を残したことで「県が338億円損した」わけでもない

ここも、

非常に重要である。

 

借金を余分に残せば、

当然、利息や手数料がかかる。

 

では兵庫県は、

その分だけ丸々損をしたのか。

 

監査委員は、

そこまで単純ではないと判断した。

 

338億円は基金で運用されているため、

運用益も発生する。

 

監査結果では、

借り換えに伴う338億円部分の利息・手数料は、

最大で約6.1億円と試算。

 

一方、

基金に留保された338億円について、

低い方の運用利回りで試算しても、

2026年8月末までの運用益は、約4.7億円。

 

さらに今後については、

現在の普通預金金利などを踏まえると、

将来的に借り換えによる利息負担を上回る運用益が得られる見込みもある、

としている。兵庫県

 

そのため監査委員は、現時点で、

借り換えによって具体的な財産上の損害が発生しているとは認められない

と判断した。

 

そして、

当時の知事や幹部職員に損害賠償を求めた住民監査請求について、

「理由がない」と結論づけた。兵庫県

 

ここは、

今回の記事では絶対に書いておく必要があると思う。


■ 「違法の可能性」と「損害」は別問題

つまりこの問題は、

非常にややこしい。

 

総務省。

「地方財政法に抵触するおそれがある」

 

監査委員。

制度運用上、検証を要する事項はある。

 

しかし、

現時点で具体的な財産上の損害は確認できない。

 

そして、

地方財政法違反と最終確定したわけでもない。兵庫県

 

私は、ここを一緒にしてはいけないと思う。

「法に抵触する可能性がある」

ことと、

「338億円を失った」

ことは、まったく別の話である。


■ ところが、兵庫県の財政自体は厳しくなっている

一方、兵庫県の財政状況そのものは、

現在かなり厳しい。

 

2025年度決算で、

実質公債費比率の3か年平均が、

19.2%。

 

18%を超えたため、

兵庫県は起債許可団体へ移行した。

 

そのため県は、

2026年8月27日、

「公債費負担適正化計画」を総務省へ提出した。兵庫県

 

これは、県が明らかにしている公式の数字である。

ただし、ここでも注意が必要だ。

 

現在の財政悪化を、

「490億円問題だけが原因」

とすることはできない。

 

県自身の適正化計画では、

実質公債費比率が上昇した要因として、

阪神・淡路大震災の復旧・復興に伴う財政負担。

 

過去の高い投資水準。

長期金利の上昇。

臨時財政対策債の償還差の縮小。

などを挙げている。

 

用先債問題は、

現在の兵庫県財政を考える上で重要な問題の一つだが、

すべての原因ではない。兵庫県


■ そして2026年、検証が始まった

兵庫県は、この490億円の借り換えについて、

外部有識者による、

「財務検証部会」を設置した。

 

第1回は、

2026年9月8日。

 

目的は、

2020年度に行われた490億円の借り換えについて、

原因を究明し、実効性のある再発防止策を策定すること。

会議自体は非公開。

 

当時の関係者へのヒアリングも行われる予定である。兵庫県

 

つまり、

この原稿を書いている2026年10月現在、

この問題は、まだ検証の途中なのである。

 

ここで結論を出すことはできない。


■ そして私は、ここでこの連載の最初を思い出した

ここまで読んで、

あることを思った。

 

この連載は、

NHKから始まった。

 

なぜNHKだけ、昔に作られた制度が、

今も巨大な組織として残っているのだろう。

そこから始まった。

そして兵庫県を調べていくと、

今度は、20年以上前に始まった地方債。

10年ごとの借り換え。

基金。

特別会計。

複雑な財政処理。

そんなものが、

2026年になって問題として表面化している。

 

私は、

NHKと兵庫県の490億円問題が、

直接関係していると言いたいわけではない。

 

もちろん何の関係もない。

 

しかし共通して見えるものがある。

 

一度作られた制度や仕組みは、長く続けば続くほど、

外から分かりにくくなる。

 

そして、

中にいる人にとっては、

それが、

「普通」

になっていく。


■ では、告発文書問題と490億円問題はつながっているのか

ここまでこの連載を読んできた人なら、

当然、一つの疑問を持つと思う。

 

斎藤知事になって、

それまでの県政を見直す動きが始まった。

 

その後、

告発文書問題が起こった。

 

百条委員会。

不信任決議。

失職。

出直し選挙。

 

そして今度は、

井戸県政時代の財政処理が検証されている。

 

これらは、何かつながっているのではないか。

私自身調べていて何度もそう思った。

 

しかし――。

現時点で私は、

「つながっている」と書くことはできない。

 

なぜなら、その証拠がないからである。


■ 「動機がありそう」と「実際につながっている」は違う

例えば、もし旧県政の中に、

外へ出てほしくない問題があったとする。

 

新しい知事が、その仕組みを変えようとしていたとする。

そうなれば、新しい知事を排除したいと考える人物がいても、

不思議ではない。

 

これは物語としては成立する。

 

しかしそれだけで、

現実にそうだったとは言えない。

 

必要なのは、

証拠である。

 

誰が、いつ、

490億円問題を知ったのか。

 

その人物は、

告発文書問題の関係者だったのか。

誰と連絡を取っていたのか。

どんな指示があったのか。

文書はあるのか。

メールはあるのか。

証言はあるのか。

 

そこまでつながって初めて、

「点と点が線になる」。

今は、

そこまで確認できていない。


■ むしろ今回、私が一番驚いたのは別のことだった

2026年6月23日以降。

報道機関から、

490億円の借り換えについて、

兵庫県財政課へ問い合わせが入った。

 

県は、それをきっかけに、

この処理について疑義を認識したと説明している。兵庫県

 

2000年度に始まった地方債。

2020年度に全額借り換え。

2021年に斎藤知事就任。

 

そして・・・2026年。

問題が表面化するまで6年。

 

現在、

「県内部ではもっと前から問題意識があったのではないか」

という指摘も出ている。

 

斎藤知事自身は、

一連の経緯について報告を受けたのは、

2026年7月6日だったとしている。

 

一方、

県内部でいつから問題を認識していたのかについては、

財務検証部会で調査するとしている。兵庫県

 

つまり、ここもまだ分かっていない。


■ 分からないものを、分からないまま残す

今回の連載を書いていて、

私は何度も同じところに戻ってきた。

 

渡瀬康英氏の告発文書。

公用パソコン。

百条委員会。

不信任決議。

竹内英明元県議。

「逮捕予定」という情報。

立花孝志氏の長期勾留。

 

そして、

490億円の用先債。

 

どの問題にも確定している事実がある。

その一方で、まだ分かっていない部分もある。

 

私はそこを無理につなげる必要はないと思う。

 

むしろ、

分からない部分を「分からない」と書く方が大事なのではないか。


■ それでも、今回の兵庫県問題から見えてきたもの

この10回を通して、

 

一つだけ、

かなりはっきり見えてきたものがある。

 

それは、

情報を持つ側と、情報を受け取る側の差

である。

 

行政は膨大な情報を持っている。

 

議会も、

一般の県民には見えない情報を持っている。

警察も持っている。

検察も持っている。

テレビ局も持っている。

新聞社も持っている。

 

そしてSNSの発信者も、

独自の情報源を持っている場合がある。

 

私たち一般の人間は、

その一部しか見ることができない。

 

だからこそ情報を持つ側には大きな責任がある。


■ そして、ここでNHKに戻る

この連載の最初のテーマ。

NHK。

なぜ、私がNHKについて調べ始めたのか。

 

それは単純な疑問だった。

 

テレビを見ない人が増えた。

YouTube。

Netflix。

Amazon Prime Video。

TVer。

好きな時に、

好きなものを見る時代になった。

 

それなのに、

テレビ受信設備を置けば、

NHKとの契約義務が発生する。

なぜなのか。

 

そこからこの連載は始まった。


■ 「公共」とは誰のためにあるのか

NHKは自らを公共放送と位置付けている。

 

行政も、

公共のために存在する。

議会も、

警察も、

検察も、

裁判所も、

すべて、

公共のための制度である。

では公共とは何なのだろう。

制度を維持することが公共なのか。

組織を維持することが公共なのか。

 

それとも、

その制度によって利益を受ける、

国民や県民のためにあるのか。

 

私は、今回この連載を書きながら、

ずっとそこが引っ掛かっていた。


■ 76年前の制度も、20年前の財政処理も

第2回で書いた。

 

現在のNHKの受信契約制度の基礎となる放送法は、

1950年に作られた。

 

そして今回の兵庫県の490億円問題。

 

始まりは2000年度。

時代も、制度も、まったく違う。

 

しかし、どちらにも共通する問いがある。

「昔そう決めたから、今もそれでいいのか。」

制度には、

作られた時の理由がある。

用先債にも理由があった。

NHKの受信料制度にも理由があった。

 

だから昔の制度だったというだけで、

否定するべきではない。

 

しかし逆に昔から続いているというだけで、

今も正しいとも限らない。

 

必要なのは、今の時代に、もう一度、

検証することなのではないだろうか。


■ そして最初の問いへ戻る

テレビの時間に、

人間が生活を合わせていた時代。

 

テレビは家庭の中心だった。

情報源はテレビと新聞だった。

その時代に作られた公共放送。

 

そこから、

76年。

私たちは今、

スマートフォン一つで、

世界中の情報を見ることができる。

 

災害情報も、

ニュースも、

国会中継も、

教育コンテンツも、

インターネットで届けられる。

 

それでも現在の規模のNHKを、

現在の受信料制度で維持する必要があるのだろうか。

 

あるいは、

災害。

報道。

国会。

教育。

福祉。

ラジオ。

 

本当に公共性の高い部分へ絞り、

もっと小さな公共放送にする方法はないのだろうか。


■ 「NHKをぶっ壊す」の意味

第4回で、

立花孝志氏について書いた。

 

私は、立花氏のやり方を、

全面的に支持するつもりもない。

 

今回の名誉毀損事件についても、

裁判で判断されるべき問題である。

 

しかし、

一つだけ考えなければならないと思う。

 

なぜ、

「NHKをぶっ壊す」

という言葉が、

あれほど多くの人に届いたのか。

 

立花氏という人物がいたから、

それだけだろうか。

 

それとも、

NHKの受信料制度に対して、

長年積み重なっていた違和感が、

もともと社会の中にあったからなのか。

 

2019年の参議院選挙で、

NHKから国民を守る党は比例代表で約98万票を得て、

国政政党となった。

 

少なくとも無視できない数の人が、

その問題提起に何らかの意味を感じたことは事実である。


■ 私が10回調べて出た結論

私は今回の連載で、

誰が正義で、誰が悪だった、

という結論を出したかったわけではない。

 

むしろ、調べれば調べるほど、

簡単には決められなくなった。

 

斎藤元彦知事。

渡瀬康英氏。

片山安孝元副知事。

奥谷謙一委員長。

竹内英明元県議。

立花孝志氏。

兵庫県議会。

兵庫県警。

検察。

そして、

NHKを含むメディア。

 

それぞれに、

それぞれの立場がある。

 

それぞれが持っている情報も違う。

 

だからこそ、

一人の発言だけを信じるのではなく、

資料を見る。

 

反対側の説明も見る。

日付を並べる。

数字を確認する。

 

そして、

確認できないものは、

確認できないまま残す。

 

今回、私が一番学んだのは、

それだったのかもしれない。


■ 点と点は、本当につながるのか

NHK。

立花孝志。

兵庫県。

斎藤元彦。

告発文書。

百条委員会。

不信任決議。

竹内元県議。

兵庫県警。

長期勾留。

490億円。

 

並べると、

一つの巨大な物語に見える。

 

しかし、

物語としてつながって見えることと、

事実としてつながっていることは違う。

 

今の段階で私に言えるのは、

ここまでである。

点は、確かに存在する。

しかし、

その点と点を結ぶ線のすべてが、確認されたわけではない。

 

だから、これから新しい資料が出れば、

また見方が変わるかもしれない。

それでいいのだと思う。


■ 最後に

第1回。

私は、

「昔、私たちはテレビの時間に合わせて生きていた」

という話から始めた。

 

そして、

第10回。

なぜか、

兵庫県の20年以上前の地方債まで調べることになった。

 

随分遠くまで来た。

 

しかし最後に、

私はやはり、最初の疑問へ戻りたい。

公共とは、誰のためにあるのか。

行政も。

議会も。

警察も。

司法も。

そして、

公共放送も。

 

制度を守るために、

国民が存在するのではない。

 

本来は国民のために、

制度が存在するはずである。

 

ならば、

時代が変われば、

制度も変わっていい。

 

むしろ、

変わらなければならないものもある。

 

だから私は、

この10回を調べ終えた今、

もう一度、最初の問いを投げかけたい。


NHKという公共放送が、令和の時代に

国民にとって本当に必要なのか?

 

必要だとすれば、

どこまでが必要なのか。

 

そして、そのために、

私たちはいくら負担するのが妥当なのか。

 

私は、

「公共放送をなくせばいい」

という単純な話ではないと思っている。

 

災害。

ラジオ。

国会。

選挙。

教育。

福祉。

全国に確実に情報を届ける仕組み。

残すべきものは、

確かにあると思う。

 

だからこそ、

「NHKを残すか、なくすか」ではなく、

「令和の日本に必要な公共放送とは何なのか」

を、

一度ゼロから考えてもいいのではないだろうか。

 

76年前に作られた答えを、

そのまま使い続けるのではなく。

 

今を生きる私たちが、

もう一度、答えを出す。

 

それが本当の意味で、

「公共」を守ることなのかもしれない。

 

 


全10回 完

『公共とは誰のためにあるのか』

――NHKから始まり、兵庫県政と「人質司法」を巡って、再びNHKへ――