[TRi] STAR RIVER レビュー : 音色調節が可能な硬波の拡散音場イヤホン | arceloのイヤホンレビュー

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1。 外観及び構成品
 

 

- 軽量/中型級レジンシェルで着心地も良好、色合わせにはちょっとぎこちないが無難な品質の銀メッキケーブル、個人的に愛用している高音域及びステージ性能拡張用のTRi CLARIONイヤーピース(右)、高音域抑制用の中~小口径イヤーピース(左)、FRスイッチ調整用ピン、クリーニング布、活用性の良いポーチの構成です。

 

 

- TRiのシグニチャーロゴがあるフェイスプレートは宇宙シリーズラインナップらしく綺麗に表現されています。背面にはFR調整用スイッチが各位置します。 条件上は4つのFRで設定できるが···後述参考

- ノズル外径が大きい方なので耳穴が小さい人には圧迫感があるかもしれません。

 

 


2。 SPEC : 32オム/110dBで 駆動に問題なし。



3。 周波数特性テスト

STAR RIVERはクロスオーバー制御が可能なスイッチ方式の4モードの可変FRをサポートするといいますが......





- 各スイッチを操作してテストした結果、大きく2つのチューニングに分けられます。(それぞれのモードごとに若干の差はあるが類似のFR群内ではニュアンスの差程度)

- 基イヤーピースといえるCLARION基準で、低音域はハーマンターゲットをかなり良好に追従しており、中~高音域の場合最近にはやや見にくい拡散音場をベースに多少負担になる3Kを少し削ったチューニングです。

- スイッチ調節によるCASE Aの場合はボーカル(男女を分けると男性ボーカル側)をもう少し強調するチューニング、CASE Bの場合はハーマンターゲットに近づけながら女性ボーカル側をより際立って表現するチューニングに変わります。全般的に空気感は普通以上で、歯擦れがよく抑えられてるのはいいですね。



- 中~小口径イヤーピースの場合CLARIONに比べて高音域が若干抑制され、当区間に弱い人たちに有効性があると見られます。



4。音の表現力

 
- 音像(ボーカルの中央焦点) : 良好+
 

- イメージング(定位を含む) : 良好

- サウンドフィールド1(左右のステージ) : 良好

- サウンドフィールド2(上下の拡張) : 良好

- 分離度(解像度を含む): 良好

- 残響 : 適度

 

 


5。TRi STAR RIVER はこんなイヤホンです。

 

1) 2022年TRIが発売したIEMたちが(KAI、iONE)失敗したのか、2023年2月に発売されたSTAR RIVERは心機一転してきちんと作り出したようです。 可変FR機能を持つIEMの場合、ノズル交換式だと主に高音域中心に、スイッチを利用した電気的チューニング方式の場合、低音域中心にFRが変わることが多いですが(それも変化量が少ない方)、この機器の場合は「有効性のある」ボーカル区間にかなり大きな変化を置いたのが一味違います。

 

2) 2DDのIEMの場合、ドライバーチューニングをはじめとするクロスオーバーチューニングが中途半端だと、1DDよりぎこちなく、もじゃもじゃストレスを受ける音を出す場合が多いですが、STAR RIVERはハードウェア的にこれをうまくコントロールしておいたと思われます。 高音域を務めた6mmDDにはチタン、ベースを担当した10mmDDにはベリリウムの高剛性振動板が構成されており、ボイスコイルもかなり高級仕様を採用したおかげか反応速度と減衰力ともに価格を考えると欠点が見当たりません。 簡単に要約すると全帯域でかなりきれいに聞こえます。

 

3) 中·高音域~高音域帯にかけて気になる深いディープや高いピックなしでターゲットによってかなり線形的に落ちる形のチューニングはリスニングよりは拡散音場基盤の硬派のモニタリング性向に近い表現力を見せるため、中·高音域がおとなしいバランスに慣れているユーザーなら多少硬質的で強調されたボーカルに好ましくないかもしれませんね。

そこで!好き嫌いを減らす方法を発掘してみました。

 

 

基中~小口径イヤーピースや一部類似のイヤーピースも高音域を削るのに効果的ですが、ステージが多少狭くなる感じからいくつかのイヤーピースをテストしてみましたが、TANCHJIM T-APBT300Tイヤーピースの場合、CLARIONの広いステージ性能を確保しながらも、ユーザーによっては気兼ねする高音域をもう少し治めてスイッチ設定CASE 2のFRをハーマンターゲットにより近づけるのに有用だと思われます。

4) ハーマンターゲットのベース チューニング+硬派の拡散音場で高音域をチューニングした基本バランスをもとに、簡単なスイッチ操作で男女ボーカルの好みを簡単に選べる面白いイヤホンが登場して嬉しいですね。 おまけにイヤーピースマッチングをうまくさせれば、基本音響性能を維持しながらも、ハーマンターゲット追従性が良好な機器に変身させることもできるので、一つの機器で様々な音響特性を楽しめるコストパフォーマンスの良い製品だと判断されるため、買っても後悔しないものだと思います。