[MUSE HiFi] ME1 レビュー : 価格を超える高性能と高級感を持つハイブリッド | arceloのイヤホンレビュー

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1。 外観及び構成品

 

 

- かなり大きいサイズのハウジングでALL軽量メタルハウジング(材質はマグネシウム

orアルミ合金と類推)にサンディング+アノダイジング処理された高級感のある外観、

SHARK GILL(フカヒレ)と命名されたセフィーオープン構造。

 

- ケーブルはプラグ交換式で個人的に好むOCC(6N)+OCC銀メッキの組み合わせで

これまで経験した基ケーブルの中で品質と性能のすべての面で最上級と判断されます。

 

特にイヤーガイドのチュービングが薄膜なので曲がりやすく位置づけやすいです。

この程度のクオリティなら別売りしても最低30ドルの価格帯の製品と見られますね。

 

- イヤーピースは  A.やや小口径のバランス型  B.最近中国のイヤホンに多く提供

されてる安価なショート タイプ ワイドボアの高音域拡張型   C.低音域ブースティング

2重イヤーピース   D. AET07系の標準型を提供。

 

- ポーチは同社POWERイヤホンに提供されているものと同。

 


2。 SPEC 32オーム / 感度108dBで駆動に制約はないが

ポータブルDACが追加されるとより快適

 

 

3。 周波数特性テスト (IEC711イヤーシミュレーター + サインウェーブテスト)

 

 

1) 同梱されているAET07系イヤーピースで測定および実聴音テストを行いました。

提供されるイヤーピース別に測定上のFRは大きく変わらない方ですね。

 

2) 低音域~中低音はFR上では量感が多い方ですが、実聴音上では実際の量感が

大きく感じられません。これは当該音域を担当するドライバーの速い反応速度と

減衰に加えセミオープンによる飽和度が極めて少ないためと考えられます。

 

3) 中高音域~高音域は適切なディープを入れながらハーマン ターゲット追従性が

良好な方で、共振点である8K以上~超高音は急激なディープと半波長共振なしに

徐々にロールオフされる特性を持っています。 おかげでかなりの高音~超高音の

鮮明度と解像力を見せてくれます。これは好みによって高音~超高音を楽しむ

人なら両手を挙げて歓迎すべきチューニングですが、反対の場合なら好き嫌いに

なる可能性がありますね。

(経験上の鋭さはSHUOER S12や7Hz DIOKOよりはやや低い程度)

 

4) MUSEが以前発売した平板型製品であるPOWER比較すると低音は

ブースティングされ、中高音域は深いディープを抑えハーマン ターゲットに

より近づけながら10Kの深いディープと超高音域もターゲットにより近く

チューニングさせたとみられます。

 

 

4。音の表現力

 

 

- 音像(ボーカルの中央焦点) : 良好

- イメージング(定位を含む) : 良好

- サウンドフィールド1(左右のステージ) : 優秀

- サウンドフィールド2(上下の拡張) : 良好+

- 分離度(解像度を含む): 優秀

- 残響 : やや少ない

 

 

 

5。 MUSE HiFi ME1はこんなイヤホンです。

 

1) MUSE HiFiから平板型POWERに続いて発表した1DD+ノルズ1BAを採用した

ハイブリッドイヤホンです。 FR測定の前にサインテストと実聴音をいつも先に

するのですが、ME1ではどこかで見慣れた感じがしましたが 記憶を振り返って

みると中高音~高音域はアクスチューン系製品の特技である3K前後と6K前後の

ポイント ディープを与えたような感じで、8K共振以上ではゼンハイザー系製品で

感じられる10Kディープのない鮮明さを合わせたようなチューニングの感じですね。

 

2) FR上では低音域がターゲットに比べて大きく膨らんでいる形なので、もし

チューニングが下手な製品だとベースの飽和感が大きくピッチが伸びることに

よってマスキングができたり負担になったりしますが、ME1はセミオープンの

長所に速い反応速度と減衰でこれを克服し、ベースのパンチ感も確保すると

同時にボーカルにも影響を与えず前方によく引き出してくれる方だと思います。

 

3) 最近発売されるDD+BAハイブリッド製品は異質感に対する心配はしなくて

いいほどよくチューニングされているだけにME1も異質感はなく、ノルズBAの

特技である左右に広いステージも十分に繰り広げられます。

 

4) 8Kの頂点から10Kの谷間にポン!と落ちないチューニングのおかげで、

ME1の場合ゼンハイザーの一部の製品でしか聴けない超高音域まで倍音が出る

楽器(代表的にシンボル、ハイハット、バイオリンなど)の隠された(あるいは

聞き取りにくい弱い)音が隠れることなく出てきます。 そしてハーマン 

ターゲットの中音域を追随しながら超高音域までしっかりチューニングされた

(あるいは意図した)機器は経験上初めて体験するのでぴりっとした気分ですね。

 

5) マスタリングの状態によってあるいは高い圧縮で多く劣化した音源の場合、

その音源の短所が素顔を現しながら鋭さと少し上がってくる歯擦音などが

気になる場合もあるし、前述のように高音域~超高音域を抑制したことが

好きな人には疲れるチューニングかもしれませんが、高級機器の特技を

あれこれ取り、その機器の物足りなさをよく補完した独特なチューニングを

持つ機器だと思います。おすすめです。