この間「うちにミニカーの中にフランス車が殆どない」とか書いたのにそれからひと月ほどでフランス車、それもルノーばっかり入ってくるのはどういう事か?
殊に今回のはその中でも変わり種です。
国産名車コレクションの「日野ルノー」
字面だけだと単にメーカー名がふたつ並んでいるだけのように見えますが、これは1956年に日野自動車が発売したルノー4CVのノックダウン車です。
ワーゲンビートルと同様のRRレイアウトでフォルムも何となく似ていますが、サイズはビートルより小さくそれでいて4ドアという利便性が買われ、日野自動車がルノーと提携して生産した車という事です(後に国産化される)
このクルマの面白い所は「本国版よりも35センチ長い外寸」なのに伸びた部分の殆どが「バンパーの大型化に使われている」点
実は当時の規格で「全長3800ミリ以下のクルマが時速100キロを公称できなかった(オリジナルの4CVは100キロ走行が可能なスペックでした)」ため、急遽バンパーを延長して対処したものだそうです(当時は国内の道路の大半が未舗装で高速道路なんてものもまだ存在していなかったのに)
フロント周りやリアウィンドウなどは生産が進むにつれて順次日本仕様になって行きますが、4CVのフォルムはきちんと保たれています。
ヘッドライトが不自然に黄色いですが、確かこの頃のフランス車はイエローバルブが義務付けられていた筈なのでその流れなのでしょう。
当時の他車に比べて幾分クラシカルなデザインですが嫌味なところがなく、当時の風景によく馴染んでいたのではないでしょうか。
ミニカーはノレヴの1/43スケールでモデルは国産化が進んだ後期型をプロトタイプにしています。
ところでこのルノー4CVですが、鉄道模型絡みでもちょっとした思い出のあるクルマでした。
子供の頃に大枚はたいて購入した鉄道模型本に機芸出版社の「レイアウト全書」というのがあるのですが、その中で「或るレイアウトの1日」と題したレイアウト訪問レポート記事がありました。作中では河村かずふさ氏と山崎喜陽氏がレイアウト内の人物になり切ってあちこちを逍遥するという一種の架空レポートなのですが、その冒頭で二人がレイアウトに乗り入れるのが「TMSのルノー」で、実際にレイアウト内に4CVのミニカーを配置して撮影するという凝り様を見せます。
(機芸出版社「レイアウト全書」170Pより画像引用)
初読の頃は子供の事ゆえ「フランスのクルマを社有車として使うなんてTMSはお金持ちだなあ」とか思っていましたが、その頃は日野からルノーが出ていたなんて知りませんでしたから勘違いも甚だしかったことになります(但し、当時は新車の日野ルノーでも大卒サラリーマンの年収2年分に匹敵するお値段。しかもそれでもクラウンやブルーバードよりも安いのが売りだったそうですから、庶民には高嶺の花だったのには違いありませんが)
この写真に出てくる4CV のミニカーはHOゲージのレイアウトに乗り入れられるサイズだった様ですが、実際にノレヴから1/87の4CVのミニカーが出ていた様です。