そう言って流風は席を外した。
『あ、とりあえずこの薬草と…後は…あ、まだ冬が続きますので薬湯がよく出るんです。煎じ薬を調薬せねばならないので…コレも良いですか?』
『何でも持っていけば良い』
『はぁ……あの。私は秋月殿について理解出来ぬことがあるんですが…聞いても?』
『つまらぬ事なら答えぬが』
『いえ…彩彩より聞いたのですが春花殿は何度も秋月殿に連れ去られたのにいつも無傷で帰ってきたと…何故連れ去りながら帰したのか理解できない部分です。朴は直ぐに殺していましたから。
本当に悪党なら連れ去った女をそう簡単に解放するのは不可解で…実は今、精神的な感情がもたらす健康への影響を研究しているんで…この機会に』
『春花が…』
『え?』
『妹が帰りたがったからだ』
『いや、でも…帰りたいと言ったから帰したって…せっかくというのはおかしな言い方ですが、せっかく連れ去ったのにむざむざ帰すなんて…』
『仕方がない…春花の願いは全て聞き届けたい…例えこの手から離れてしまってもそれが可愛い妹の願いなら聞き届けるのが兄の役目であろう?』
『……その時秋月どのは体調に変化などは?』
李漁は懐から出した何やら小さな紙に小型の筆で筆記し始めた。
『体調?いちいち覚えてはおらぬが…ああ、しかし気が乱れ正常な判断が出来ていたかは分からぬその辺りのことは葉顔に聞け』
『もしかして……恋煩い…とかいうやつでは?』
『何だそれは…』
『では一体どうやって気の乱れを戻したのです?かなり心身の疲労がある筈です、倦怠感も併せて起きると…母の店に来る客が言っていました。何か特別な処方かなにか千月洞にあったのですか?』
『さあ、だが気が乱れた時は妹を見に行った。』
『え?見に…どちらへ?』
『春花がいる場所ならどこでも?』
悪びれもせず当然の事とばかりに答えた。
余りに当たり前に答えるので李漁は拍子抜けした。
『いや…鳳鳴山荘で彩彩が春花殿の部屋に秋月がいたやも知れぬと話していた事があった。まさかよもや敵陣に単身で豪胆な事はせぬだろうと思ってはいましたが…鳳鳴山荘は警備も厳しいはず…夜警もしっかりしている。なのに…』
『夜警?この上官秋月にそんなものは通用すると思うか?』
『せぬでしょうな…しかし、それにしても…』
『なんだ?』
『大胆不敵というか何というか…』
『妹に会いたい時に会いに行く。何が悪いのか理解できぬが…まあだが、頭の硬い蕭白にはできぬ芸当かも知れぬな…』
『で…傷一つなく…?』
『傷とはなんだ?』
『それは…その…傷と言えば…その…若い男女が2人で時を過ごすというと…一種の世間で言う…』
何とも歯切れの悪い李漁
『ああ、なんだそれは陰と陽の交わりについてか?』
『そ、そんな明け透けな』
『春花に傷は付けぬ…妹が望まぬ事は望まぬ時にはするつもりはない。戯れはするが…』
『た、戯れ…戯れとは…戯れとは一体…』
『李漁殿は…うぶなのか?風彩彩は大変だな』
『い、いや…はぁ』
『自ら聞いておきながら頬を赤らめるとは』
理解できぬと秋月こそ首を傾げた。
『おいおい!そろそろ話は良いか?あっちで女子達に叱られて逃げてきた。早く来てくれ』
あちらで妻達に失言し居た堪れず逃げてきた流風は2人を呼びにくる。
呼びに来た流風と李漁と共に戻れば女達は風彩彩と李漁の結婚話をしていた。
余り派手にせず身内だけでという彩彩に冷凝が何やら説得していたが彩彩自体はその気はなさそうでされど結婚を間近に控えた花嫁らしく幸せに輝いている。
『蕭白盟主からもきちんとするようにと言われましたが、でも…盟主を差し置いて私達ばかりが…』
蕭白の名が出た瞬間に嫌な予感がする秋月。そのすぐ直後にやはり春花は口にした。
『ね、蕭白は元気なの?』
『ええ…身体はね。でもまだ…』
『……ああ、まだ…な彩彩』
冷凝と風彩彩の意味ありげな目配せに春花も何やら察知し目を伏せた。
秋月は瞬間的に割って入る。春花の心に蕭白の記憶を蘇らせたくはなかった。
『アレから何年も経つのにまだ春花を忘れてないのか?しつこい男だな鳳鳴山荘の若盟主様は』
『上官秋月!』
冷凝は声の主を睨むが秋月は全く気にも留めずに春花の隣に座り、他人に知られぬよう密やかに蕭白の現状に居た堪れない春花の手を取る。
春花は皆の手前秋月の行動に焦りながらやはり彩彩達に気付かれぬように秋月に目を向けた。
秋月は春花に微笑み、重ねた手を握る。
すると春花の心のざわつきが止まり沁みるように安心感に包まれた。
『白盟主は…初めて愛するという感情を知って、それを喪失する痛みも知ったの…簡単ではないでしょう』
風彩彩が答えた。
『失恋に効く薬はある』
秋月に続き戻ってきた秦流風が口にする。
並んでやってきた李漁は驚いた
『そんな薬が?医聖の書にはそんなものはなかったが…いやしかし恋煩いに効く薬はあるのは先程聞いた』
秋月は李漁を睨むと咳払いをする。
『いや、今感情が人体にもたらす健康への影響について調べているので…』
余計な事を言わぬ様に咄嗟に誤魔化した李漁を尻目に冷凝は冷めた目で見つめた。
『へぇ、で?失恋には何が効くのだ?流風』
『さ、さぁ…私は経験がない故余り知らぬが秋月殿は詳しい様だ。何が効くのだったか?』
秋月はその流風の無茶振りもものともせず答えた
『失恋に効く薬は…新しい女子だ…そうであろう?流風よ。しかし李漁殿はまだまだ若いなそんな事も知らぬとは』
秋月は李漁に無知への嘲笑を見せ李漁は男同士の協定を破られた気がして不機嫌になった。
『流石上官秋月ね?さぞかし何度もその薬を試したのね?新しい女子という薬?』
春花は即座に嫌味を放つがそれをものともせず秋月は笑った
『私には必要ない。失恋の経験がないからな…女子は春花しか知らなくて良い』
『!!!』
春花はからかわれて唇を尖らせる。
『歯の浮く言葉を軽々と…そうやって人々を惑わせたんだな?流石は魔教の長だっただけはある』
冷凝の嫌味も動じることも無い。
空気を和ませるように流風は扇子で風を起こした。
『ま、まあまあ、しかし実際そう思い至って私の父が色んな良家の子女をと進言するもみな断るのだ…沢山の姿絵や釣書をもってしても白盟主の心は動かぬ様子』
『運命の人に出会えたら蕭白も変わるわきっと』
春花と秋月は示し合わずして目を合わせ笑った。
それを目にし秦流風は溜息をついた。
『ね、雪解けの森を抜けたら素晴らしい花畑があったでしょう?』
『ああ、美しかった…まるで世界が変わった様に桃源郷かと見まごうた』
冷凝は感嘆した
『あの花畑は傅楼が游絲さんの為に作った花畑よ』
『あれが噂に聞く…本当に素晴らしい花畑だった』
『私…皆にどうしても聞いて欲しいことがあるの。
傅楼と奥さんの游絲さんが亡くなった時、正道って一体何なのか何をもって正義なのか理解できなくなった。だってそうでしょう?長生果は私達が作った偽物だった。それを知っているのにみんな黙って傅楼を誘き寄せた。それは卑怯じゃないの?って…正義の名の下に魔教の人を殺しても良い。じゃあその魔教の者の家族は?魔教だから夫や父が殺されても仕方ないの?正道って誰かを裁ける程の何かなのって思ったわ…彩彩さんには理解できないでしょう?きっと…貴女は蕭白の思想にとてもよく似ているから』
風彩彩は一拍の呼吸の後に答えた。
『……実を言うとあの時…私も考えました。傅楼は確かに悪党ですが元は正道の者。人を背中から討つような卑怯な男ではありませんでした。ただ愛する人の為に妻の為に長生果を求めた…長生果を求めた者達の中で唯一己の為の欲ではなかった…』
『ああ、私も…あの時の父の姿を見て…残念に思ったものだ。何が正道だと…今だから言うが不甲斐ない気持ちだった。何が掌門だと情けなくもなった…』
『冷凝さん…』
『みんなは何故私が白ではなく秋月兄様と共にいるのか疑問に思ってるのよね?』
秘密裏に繋がった秋月の手を強く握る
『どんな事があっても私を一番に想ってくれたの兄上は』
『それは…白盟主は仕方のない事です。責任がありますから』
『盟主だから盟主としての責任の為に愛の証として大事な宝をくれた女性を裏切って良い?
愛の証のお陰で奥儀を身につける事ができたのにその女性を、上官恵を裏切って悲しませた蕭原は正道の義に反しないの?』
『………』
誰も何も答える事はできなかった。
『それはただの傲慢よ』
『……しかし…白盟主は…』
冷凝の言葉を遮るように春花は話を続ける。
『どんな理由があれ、自分は人を殺めすぎた。この手は血で染まっている。死をもって罪の償いにする事は後悔していない。と傅楼が私に言った…游絲を頼むと。游絲が生きてさえいてくれれば私は喜んで死ぬと言っていた』
死を覚悟した傅楼の姿を思い出し、春花の目に涙が浮かぶ
『游絲さんは傅楼の死の後、愛する夫がいない世界で生き続ける意味はないと長生果を捨てた…あれを見ても誰も何も感じなかったの?』
愛で結ばれた傅楼と游絲は春花にとって手本となる夫婦像である。互いを思い合い寄り添い常に身を案じる2人。
『みんな…あの夫婦を騙した事に胸は痛まなかった?傅楼には私…本当は真実を伝えていた。あれは偽物だと。でも傅楼は正道の人よ。鳳鳴山荘の荘主が嘘をつく筈ないと、彼は白を信じたの…藁を掴もうとした溺れる者をあなた達はどうしたの?』
悲しい結末を思い出し、春花の頬を伝う涙は床にはらはらと落ちていく
『…春花……泣くなそなたが泣くと胸が痛む』
秋月は春花を抱き寄せその背を慰めるように撫でた。
『私…あの時に多分白を許せなくなってた…愛とは許し。沢山ぶつかり合ってその都度許し合って育むものよ。でも、越えられない価値観の相違はどうしようもない…だって互いに歩み寄れないもの…兄上は私を騙すけど。沢山利用もされたのにそれでもこの人を信じたいと思ったのは…いつだって私のために生きていたからよ…武林のため、鳳鳴山荘の皆の為じゃなくて私を愛して欲しかった…』
『それは…白盟主には難しい事だ。だが、春花殿の意見はもっともだ。あの夫婦については今も後味悪く記憶に残っている…事情を知りながら手助けもせず我関せずと生きた父に対して同じ男として情けなかった』
『春花さんの言っている意味は…とてもよく分かります…私達が彼らを死なせてしまった…その罪は決して軽くはないわ』
李漁は夫妻の死に激しく後悔に苛まれた風彩彩の肩に手を置いた。
『帰りに花畑をゆっくり見ていって。そして傅楼、游絲さん達の事を思い出してあげて欲しいの…正義とは何なのか…』
『そうだな…我々も子を持つ母や父となった。誤りは正していかねばならないだろう』
『そうだな……』
清流と雪蘭は仰向けで天井を仰ぎ手足をばたつかせている。
『この子らがまっすぐと生きる様に私達も襟を正して生きねばならんな』
皆は子供達を見つめる。その内雪蘭が泣き始めた。
『それにしても雪蘭は誰に似ているのだ?この美しさ』
『どう考えても私だろう?泣き顔まで美しい。我が妹は泣き顔は人には見せられぬからな』
かつて、蕭白との仲を邪魔ばかりする秋月に醜いから泣くなと言われた事を思い出し春花は秋月に怒りの視線を向けた。
秋月はそれもまた愛しくなる。
『また!意地の悪い言い方!大体我が妹って嘘だし…兄上は私の邪魔ばかりして』
『お前が蕭白にばかりかまけるからだろう?最終的にこの兄を信じたいと思うのにそこに行き着くまで全く信じようともせず嫌悪ばかりだった。これくらい良いではないか』
『……そうだけど、結局信じたじゃない。兄上はあんまりにも人を欺きすぎるのよ』
『春花はすぐに人を信じすぎる。あの顧晩の策略に嵌りおって…からかうくらい可愛いものだ』
『一番信じたい人が信用ならないって…どれだけ葛藤したかわからないでしょ?』
『だが結局は信じたいのだろう?なら最初から兄だけを信じればよかったのだ』
『んんん…』
唇を噛み締め悔しがる春花
笑う秋月
『内輪揉めか?2人にしか分からぬ話をしないでくれ… 単純に春花殿を蕭白に取られたくない男心だ多少の事には目を瞑ればよいではないか。しかしうちの息子は誰が見ても父親似だろ?このままでいくと雪蘭と清流はもしかして幼馴染になるやも知れぬな。』
『いや、どう見ても母親似だろう。秦流風に似ていたらこんなに聡明な面立ちはしていない』
秋月の言葉に吹き出したのは冷凝だった。
『今日、本当は蕭白盟主も誘ってみたんだ。当然正道と魔教で争った仲だ、蟠りもあるが今はもうそんな時代ではない。水に流す事も未来の子達には必要だと…』
『私はまだ早いと言ったんだが…結局盟主は忙しくて時間がとれず…これ、蕭白盟主からの祝いだ』
冷凝は蕭白より預かった包みを春花と秋月の前に置いた。
『………』
秋月は無言で包みを見つめる。
『………』
『あ、ありがとう…喜んで頂戴いたします』
春花の笑顔に凍りついた空気は和んだ。
『…上官秋月。私や彩彩はやはりまだお主を許せぬ部分もある。だがしかし誰にどんなきっかけを与えられてもそれに乗じたのは父達だ。
いつ何時も義を重んじるという掟を父達は我欲にそれを押し込めたのだ。
一時は恨みもしたが、それは間違っている。
誠の正道とはかけ離れてしまった父達の自業自得。それを思えば、無実の傅楼夫妻を死に追いやった事も含めて…魔教のせいばかりではないと思っている』
『…冷さん』
『私も…そう思います。秋月殿。あなたが父を罪人にしたと憎みもしましたがどんな理由があれ動きの封じられた医聖に掌打を与えて結果的に死に至らしめたのは父の罪ですから…私はその罪を人々を救う事で贖罪したいと思います。医聖の弟子である李漁殿がその道を私に示してくれた。』
『いえ。私は…』
『今じゃなくてもいつか…』
『ん?』
『固く凍った氷も春になっていつか解け出す日がくるわ。ゆっくりで良い。蕭白の心がいつか…和らぐ日がくればその時に…誰かが傍にいて白と共に生きてくれたらと願ってる』
『そうですね。蕭白盟主はまだまだお忙しい。西に東に飛び回っているからもう少し後でも良いでしょう』
かつて想いを寄せた蕭白から、潔く身を引いた風彩彩は呟いた。
『さ、もうこんな時間だ。ゆっくりしすぎたな。急ぎ家路につこう』
『春花どの…ありがとう…お陰で胸の支えが下りたよ…私と彩彩は道場で武芸を教えている。子が増えれば武芸を学びに鳳鳴山荘へ来てくれ』
『分かったわ…冷凝さん、風彩彩さんありがとう。みんなも…また遊びにきてね』
春花の言葉に皆は頷き別れた。
帰り際、傅楼游絲夫妻の花畑で4人は立ち止まる。
『…しかし、驚きました…あの上官秋月があんなに…まるで春花殿しか目に入っていない様子で…』
『今思えば奴はいつでもそうであった…春花殿の兄に扮した時も、結婚式の時も傅楼の罪状の際も…いつでもあやつは春花殿しか目に入っていなかったのだ』
『それにしても、明け透けとものを言う…』
『明け透けも何も秋月という男の精神はもしかすると赤子のようなものかもしれぬ』
『え?どういう意味で?』
『母親も父親も知らず愛というものも知らなかったのだ…春花殿の明るさや屈託のなさ、温もりに触れた…どんな気持ちだと思うか?冷凝』
『初めて知る【何か】その不確かなものを確かめたい探究心も生まれるであろう。だとするとやはり春花殿しか目に入らぬだろうな…今日の様子も頷ける』
『白盟主には蕭原様もいたし私達がいる。けれど秋月には誰も…いなかったのね。』
『少し前に従妹の葉顔と話す機会があってな、その時に言っていた。誰も信じぬ尊主が初めから春花殿にだけ心を開いていたと…酷く驚いたそうだ。何せ秋月からすれば裏切り者の花小蕾だ。なのに目覚めたら別人だったと…まるで魂が入れ替わったようだと言っていたがそれでも得体の知れぬ者でも構わぬほど惹かれたのは何かしら導きがあったのやも知れぬな』
流風は花畑の遠くに霞む邸の主とその妻を思った。
『確かに春花さんは何処かこの江湖らしくない考え方や行動力だと思っていましたが…成る程魂が入れ替わった…無いとは言えませんね』
『春花殿は春花殿だ。』
冷凝は頷いた。
『赤子の様に愛に無垢だからこその残酷さ、受けてきた心の傷からの闇…かように複雑な男よ秋月という男は』
『でも、春花さんがいるから再び悪に向かう事もないでしょう。生まれついたあの場所しか生きる所が無かった秋月も今はこの桃源郷が生きる場所になったのですから』
爽やかな風が駆け抜ける。
『春花…』
『なあに?兄上』
『そなたの願いは何でも叶えたい。何が望みなのだ?』
『分からない?』
『分からぬ…そなたは心を隠すのが得意だ』
『胸を開いて取り出してみれば?』
『胸を……』
春花に腕を伸ばす秋月
『ちょ、変な事しようとしてないわよね?今触ろうとしたでしょ?』
『胸を開いてみようかと』
『ち、違う!それは衣を脱がそうとしてるじゃない!』
『あ!またからかった!良い加減にしてよ雪蘭を連れて出ていくわよ』
『許さぬ!どうせいく先はあの煩い流風達のいる鳳鳴山荘だろう?』
『そこしか知らないもの』
『蕭白のいる場所に行かせるわけないだろう?』
秋月は春花を睨む
春花は激しい独占欲と嫉妬心で怒る秋月を見つめた。
秋月が怒りのあまりに思わず握った拳を春花は優しく包むと自らの胸に当てた。
『あなたが生きてくれる事。それが私の望みよ…贅沢を言うならずっと一緒に』
激しく燃え上がっていた怒りは嘘の様に掻き消され秋月は心に灯る灯火に気付いた。
抱き寄せその胸に抱く。
『春花は私の…暗闇の中に灯った光だな』
『兄上もね』
『一生…共に生きたい』
『幸せに?』
『幸せにする』
氷谷の洞窟の様に日の光も届かぬ秋月の心に春花という光は輝きそして闇から救い出した。
それぞれが持つ互いの氷蚕珠が如く2人の魂は呼応する。
遥か未来から手繰り寄せた春花という宝を秋月は強く抱きしめた。
はい!おっわりましたー。
私の激しい秋月への母性愛物語。
お気付きの方いるかな。
その後2の流風達が訪ねた時の話です。
次はちょっと…女同士の話で締めくくりたいと思います。では!