白い朝。
蒼白の私と余裕の男…
腕の中に私をすっぽり包んで嫌味な程に笑顔を向けた。
『あ、、あの…さっきから。。』
『ん?』
『いやぁ、、耳が…あぁっ。ちょ、やめて…くすぐった。』
新しいおもちゃでも見つけたように、首すじに唇。甘噛みしたり耳元に熱い息を落としたり…その度に身体が反応してしまう。
『んっ…』
硬く強張らせた身体。
完全に遊ばれている。
『ん??…あ…え?』
目を丸くして驚く私。
『ね?』
悪戯に笑った。
『あ、じゃ…何もいたして、、』
『残念ながら…【ナニ】もいたしてないね』
『え!本当に?』
『なぁんにも…喜ばれると複雑だけど、かなり我慢した。俺偉いよな』
ふてくされるように天井を仰いだ。
安堵と共に訪れた【残念】に疑問が湧く。
『酔い過ぎ…飲めない酒飲んで他人の家前で転がってさ。介抱したら自分で服脱いで…結構割としんどかった』
『なん!もーっっ焦った。焦ったけど最悪』
両手で顔を覆った。
『横乳見えてる…エロ。』
『え?』
『いやぁ、良い眺めだと思って…』
『は!ちょっと見ないでよ。。って言うか…それでコチラは…』
見渡すとデザイナーズマンションの一室みたいでそれでいてホテルっぽくはない。
感じる違和感。
『ここ?俺ん家』
『え?家?』
『はい…我が家。』
『って…ここ…』
見覚えのある窓の外。
でも違和感…。
『ん??』
思わず掛けてあったシーツを体に巻きつけて窓に駆け寄る。
門の向こうに見える屋根に既視感半端ない。
よく見れば向かいの家にも記憶がある。
庭先にある緑の茂みには赤い花が2つ3つ見え隠れしている。
『ん?』
『ここ!!うちの隣?』
『みたいだね…』
『え?ちょ…なん…なんで?』
『家の前に落ちてたんだよね』
『何が?』
『ヒト』
『ヒトってつまり私?』
勝ち誇った様に笑って頷いた
『なんで、隣なら…』
『こっちも酔って帰って門の前に転がってるからさぁ…ずっと泣いてるし…なんか帰りたく無さそうだったし。』
見抜かれてる。
『シーツ…返してくれない?パンイチで寒いし…』
ベッドの上で震えるのを見て笑ってしまった。
『ごめんなさい。あなた隣のお坊ちゃん?よね。私多分同じ歳!』
隣りの豪邸に住む人には色んな噂があって、それを裏付けるように門から玄関まで遠い。
普通の住宅である隣りの家のうちと落差が嫌味だった。
『知ってる…。数年前に家族編成あった?』
『あ……うん』
父親の再婚で4年前に母親と姉ができた。
『それまで毎日スーパーの袋下げてたけど見なくなったからさ』
『……そうなんだお役御免になったの…』
『……』
『あ、ご家族がびっくりして困るんじゃない?すぐに帰るから…』
立ち上がろうとした私の腕を掴む。
『…1人だから…』
『え?』
『まだ…ゆっくり帰れば?どうせ俺1人だから』
こんな広い家に1人?驚きながら掴まれた腕を見つめた。
4へ続く