目が醒めて…
こんなにも動揺した朝はなかった。
これまでの真面目なだけの人生で一度たりとも味わった事のない背徳感。
『私…なんて事したんだろう?』
そう思ったの。
だって信じられない。
記憶のない芳香に目を開けて
見知らぬ部屋に見知らぬ男の腕の中…
そんな朝を迎えたら
誰だって 着ているものを確かめながら最悪の事を考える。
白いシーツがカーテンの隙間から割り込む朝日に反射して…シーツの一つ一つのシワがまるで波のように見えて眩しく輝いた…
『…ん…おはよう』
低くて甘い声…
振り向いた私の肩に落ちる一筋の髪を掬って…
『初めまして…かな』
そう言って 笑った。
不覚にも…ときめいて
『あ、初めまして…』
つられて笑った
人生で一番衝撃的な今朝の事。
2へ続く