クォン専務とチェ副社長 男の戦い | **arcano**・・・秘密ブログ

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韓流、華流ドラマその後二次小説、日本人が書く韓流ドラマ風小説など。オリジナルも少々。
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クォン専務シリーズはこちらからどうぞ。


専務室の窓際でネクタイを緩めながら深い溜息を吐いた。
いつもこの時刻は好きな時間だったが最近はどういう訳か色褪せて見えていた。
今日1日頭上に君臨した太陽も仕事を終えそびえるビルの間に間に沈み行き、泥んだ空が闇を連れてやってくる。

『なんだ?溜息…随分と深かったが悩みでも?』

ノックもせずにドアを僅かに開き兄は笑った

『兄さん…いや、、別に…』

どういう訳かハヌリの正体を知ってからこの兄と目を合わせる事が難しかった。何を隠している訳でもないし後ろめたく思う事もないにも関わらず、何処か心の中で蟠りが溶けなかった。

『…そうか…ならいい……ちょっといいか?』

『…あぁ、勿論…どうぞ』

大企業の副社長であり社長の実の相続者。そして専務である自分の兄という肩書を一身に背負った男は中央に置かれたソファに腰掛けた。 

『……』

『どうした?……改まって…何か飲む?』

『いや、いいんだ。ちょっと…報告があって…』


『報告??兄さんが言いにくそうにしてるって事はあまり良い話じゃないのかな…』

『…ん、、まぁ少なくとも俺にとっては良い話だ…お前の許可さえ貰えれば』

胸がざわめき始める。
その予感は出来れば的中して欲しくはない。

『許可…ってなんの…』

十中八九分かっていながらその言葉は唇から溢れた

『…ハヌリを…幸せにしたい…』

瞬間的に息を呑んだ。

『………っ。。。あぁ、良いんじゃないか?別に俺に許可なんて…取らなくても』

グラスにミネラルウォーターを注ぎながら微かに指先が震えている。

『そうか?』

『彼女…姉…さんとは最近会わないな…元気にしてるのか?』

『ああ、、彼女は元々高所恐怖症なんだ…だが少しでも弟の近くにいたくて無理にこのフロアに勤務していたからな…やはり足が竦むらしい…無理もない。飛行機事故の記憶がまだあるんだからな。今はほぼ秘書室にいるよ。傍にいたらこっちの身が持たない…つい手を出したくなるからな』

兄は徐に立ち上がると大きな窓から眼下に広がるビルの群れを眺めた。

『………』

『本当に…実の姉なのか?』

『え?』

『あ、いや…何となく。。騙されてるって事はないのかと…』

『ハヌリに?はは…それは難しいだろ?ほんの僅かな間演じるのも無理だったんだ…彼女は嘘をつけない…』

『兄さんは本当に…幸せか?彼女を幸せにしたいって言うがだったら彼女は兄さんを幸せにできるのか?』

『……さぁどうかな…どう思う?』

『どう思うかって…』

ガラスに映る弟の狼狽に兄は笑った

『……だったらお前が確かめろよ』

『え?』

『彼女は嘘をつけないが本心を語らない人間だ。お前達姉弟はよく似てる…』

『なにがだ?』
兄の言葉に苛立ちを覚えた。

『本心を隠す所がだよ…』

『本心?』

『お前は今何に苛ついたんだ?【姉弟】という言葉にいたく反応したが…そうだろう?ハヌリを姉と認めたくないんだ本心は』

『なんでそうなる。兄さん…勘繰りすぎだ。俺は兄さんが幸せならそれでいい…ただ、、あんなに華やかな女性達と浮名を流してきた兄さんが急に1人の女性を幸せにしたいだなんて…もしかしたら幼心を擽られて懐かしい郷愁の念が見せてる妄想じゃないのかと…』

『……だったら心配ない…俺は昔から彼女しか求めてない。探し求めていた宝物が手に入ったら、他のイミテーションなんか不要じゃないか?』

自信ありげに笑顔を向けた。

『………そう…か。なら良い。幸せに』


『時期を見ていずれ発表する』

『……分かった』

立ち上がると去り際に肩を叩く

『それまでに心の整理はしといてくれ』




兄は意味深な言葉を投げ片手を上げて部屋を後にした。

『なんだ?心の整理って…それにこの痛み…』

胸に小さな針が刺さったように痛む。寂しさと同時に起きる痛みが息苦しさを誘発する。

『………』

いつかのエレベーターで、彼女と乗り合わせた日を思い出した。
高所恐怖症だからと眺望はまだしも専務である自分にも背を向けた。肩を震わせる姿は余りにか弱く見え、そして美しかった。
あの時、どうしようもなく抱きしめてしまいたい衝動に駆られたのは何故だろうか。
彼女に向けて、傷付く言葉を投げつける自分にも嫌気がさしていた。
足が竦んでも弟の近くにいたいという健気さに胸が疼いた。

『姉と…認めたく…ない?まさか…』

核心にはまだ触れたくない。

そうすれば自分が恐ろしい程暴走するだろう。

真実を知る前の度重なる暴言に傷付いた彼女の瞳を思い出すたびに自己嫌悪に陥る理由が其処に存在する。

『……』

眼前の摩天楼は何も答えず深海の様に冷たくただただ無機質な美しさを見せつけるばかりだった。












Kアイドルのマスクって大体オサレの一部みたいだけど、乾燥から守ったりって事だよね。

うちの長男はこれが良かったみたい。