鉄蔵と娘のお栄は左七の家の居候になっている 鉄蔵は、貧しい百姓の生まれだが、幼時、御用鏡磨師、中島伊勢の養子となった 巧みに絵を描くので、絵師の弟子となるが、尻が落ちつかず、幾人もの師から破門された 一方、左七は侍の生まれたが、読本作家になりたいと志し、下駄屋の養子に入り込んだ 左七の女房お百は、亭主が黄表紙本などを読むのを心よく思っておらず、さらに、朝から晩まで絵を描いている居候の父娘に我慢がならない そんなある日、鉄蔵ほお直という女に出会った。鉄蔵は一目でお直にのめり込み、彼女を描くことで、つき当っている壁を破ろうとするが、、、

 

 

 

 

 

 

再びアメブロで公開停止になっていた過去記事を訂正しての再アップ版です ドンッ

 

 

こちらは1981年制作の 日本映画 日本 です (119分)

 

矢代静一の戯曲を 新藤 兼人監督が映画化した作品で、以前ご紹介した 「絞殺」 の次

 

に手掛けた本作  以前も数回鑑賞していたのですが、再見したくなりお取り寄せしま

 

した 

 

Movie  もともと本作を観て 葛飾北斎 という人物に興味をもつようになった経緯もあ

 

り、何度か観てはいたのですが、今回鑑賞して 映画自体に、あれ、こうだっけ? とい

 

う何とも言えない 感傷 となりました あせる

 

 

 

 

あくまで戯曲の映画化の為、北斎の人生を大ざっぱに辿るこの物語 しかし、脚本は

 

新藤監督自身が担当 そのわりには、、、という感じが  葛飾北斎 という人物には

 

あまりにも面白すぎるエピソードが多く 生涯に3万点を超える作品を発表 しかし

 

浮世絵師としてのペンネームを30回以上改名したり、転居を93回も繰り返したり

 

(片付けをしない為、散らかったらお引越し) 旅をしての 冨嶽三十六景に代表され

 

る 風景画、人物画、読本の挿絵、北斎漫画などの絵本、版画のみならず毛筆での表

 

現、春画 酔っ払い も多数あり、他にも大道芸のようなパフォーマンスを行ったりします

 

が、常に貧乏 (金銭に無頓着だったようです) 当時では珍しく身長は180cmで享

 

年90歳 というご長寿 映画にするにはもってこいの人物であります  カチンコ

 

 

 

 

劇中では本名の 鉄蔵(てつぞう) の呼び名で 娘のお栄 (後から知ったのです

 

が、北斎は子供が6人おり、お栄は三女でありました) との生活が綴られていきます 

 

友人の 曲亭 馬琴 (代表作は 南総里見八犬伝) との親交や、十返舎 一九、式亭三

 

馬、喜多川 歌麿 といった同時代を生きた文化人等も登場し、なかなか興味深いのです

 

がかなりの省略となっています まだ ぱっとしない 鉄蔵の前に お直という謎の女性

 

が現われた事により、鉄蔵の創作人生に影響を与えられていく事になります  

 

 

 

 

この お直 という人物は創作でありましょうが、本作でのポイントとなる重要なキャラ

 

クターになっていて、なんとも妖艶な色気でこの映画をエロティックな作品に導いて

 

おります キスマーク 

 

それと正反対な人物として 鉄蔵の娘お栄がいます 改めて観ると、このお栄が主人公

 

では?と思う程魅力的に描かれています。

 

 

 

 

少年のような ぶっきらぼうな言動の反面、鉄蔵を気遣うやさしさを持ち合わせるお栄 

 

彼女あっての鉄蔵でありました (実際、後期の北斎の画を手伝ったり、葛飾応為の

 

名で作品も残しております)   映画は様々な北斎のエピソードをダイジェスト的にな

 

ぞりますが、誰もが興味深い部分、絵師として開花していく所や、貧乏から名声を得

 

るまで、冨嶽三十六景を仕上げる過程といった部分はサラリと流し、お直という女性

 

に惹かれる北斎や、馬琴との友情といった部分にスポットが多く当てられています

 

 

 

 

 

その原因は原作にあるのかは分かりませんが、この作品の興味は 冨嶽三十六景を生み

 

出した北斎ではなく、春画 「きのえのこまつ」 の中の木版画の一枚 「蛸と海女」 

 

を描いた北斎であり、お栄との生活 ごはん 馬琴との関係なのでありました 

 

映画後半 三分の一は80歳を越えてからの生活が描かれます。 

 

意外にも名声を手にしているにもかかわらず、お栄と人形製作の内職をしている北斎 

 

そこに本作で最も大きな見せ場である、お直 に瓜二つの女をモデルに 「蛸と海女」 

 

を描く場面が登場します とてもシュールでエロティックな名場面ですが、欲を言え

 

ば蛸にヌメリ感がない事 ゆでだこ あれば余計に卑猥になったと思う私でありました 

 

 

 

 

もう一つは時代的に致し方ない事ですが、老けメイクの出来がかなり悪い事 

 

あそこまでなら撮影方法を工夫するかアップを避けた方が良かった気がしますし、特

 

種メイクまでいかないメイクでも、演者の演技力を考えれば十分だったと思いました 

 

そして、それを上回る老人に扮する演技が、、、ドリフのパロディでもしているかの

 

ようなデフォルメされた老人像です あの年齢でもしっかりと喋れるご老人もいるで

 

しょうに、本意は監督のみぞ知るです 

 

その上、70歳になったお栄が馬琴の前で裸になる場面では、顔は老けメイク裸は

 

ピチピチのお肌という異様さ オッパイ ピンク 

 

 

 

 

これはあくまで馬琴のイメージなのだ ビックリマーク とこちらで勝手に解釈しなければならない事

 

になるのでした 当時の女優さんは作品によっては、ちゃんと裸になっておりました 

 

良い脱ぎっぷりでございます 虹  それに比べて最近は、女優に問題があるのか、

 

そこまでする程の作品が無いのか、、、ガーン 残念でありすな~ あせる

 

北斎を 緒形拳、お栄を 田中裕子、馬琴を 西田敏行、お直を 樋口可南子が演じ 他に

 

も 乙羽信子、フランキー堺、宍戸錠、大村崑、愛川欽也、殿山泰司、初井言榮 と豪華

 

です キラキラ

 

 

 

 

天我をして五年の命を保たしめば 真正の画工となるを得べし 天があと5年の間、

 

命保つことを私に許されたなら、必ずやまさに本物といえる画工になり得たであろ

 

う) と言い残しこの世を去って行った北斎  1999年には、アメリカ合衆国の雑誌

 

である 「ライフ」の 「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」

 

で、日本人として唯一 86位にランクインしている この破天荒な人生に興味がありま

 

したら、ご覧になってみて下さいませです  目

 

では、また次回ですよ~! パー

 

 

 

 

 

 

 

 

劇中で再現される春画の「蛸と海女」の完成画です 北斎の多才ぶりがうかがえます

 

 

 

予告が見つからなかったので、こちらでご勘弁をです  aya

 

 

 

北斎の作品を楽しく見せてくれる動画であります 宜しければご覧下さいませ  音譜