彗星衝突という地球の危機を察知した落ちこぼれの天文学者と教え子が、世界中にその事実を伝えようと奔走する姿を描いたコメディドラマ。

 

 

 

 

 

 

             -  DON'T LOOK UP  -   監督 脚本 アダム・マッケイ

 

出演 レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・ローレンス、メリル・ストリープ

 

こちらは2021年制作の アメリカ映画 アメリカ です。 (138分)

 

 

 

 

  ミシガン州立大学の天文学博士課程に在籍するケイト・ディビアスキーは、すばる望遠鏡での観測により、木星軌道の内側、太陽から 4.6 au の距離にあるこれまで知られていなかった彗星を発見した。

 

 

 

 

彼女の教授であるランドール・ミンディ博士は、この彗星は約6ヶ月後に地球に衝突し、惑星全体の絶滅を引き起こすのに十分な大きさであると計算し、NASAもこれを確認した。NASAの惑星防衛調整室長の案内で、ディビアスキーとミンディはホワイトハウスに調査結果を提出するが、ジェニー・オルレアン大統領とその息子で首席補佐官のジェイソンは無関心であった。

 

 

 

 

オグルソープはディビアスキーとミンディが朝のトークショーで行うメディアへのニュースをリークするように促する。司会のジャック・ブレマーとブリー・エヴァンティーがこの話題を軽々しく扱うと、ディビアスキーは冷静さを失い、脅迫についてわめき、ネット上で広く嘲笑を浴びることになる。

 

 

 

 

ディビアスキーのボーイフレンドは公に彼女を非難し、ミンディは彼のルックスのために公共の承認を受ける。彗星の脅威に関する実際のニュースはほとんど世間の注目を浴びず、天文学の素養のないオルレアンの有力資金提供者であるNASA長官によって否定される。

 

 

 

 

最高裁判事候補のセックス・スキャンダルに巻き込まれたオルレアンは、彗星の脅威を確認し、核兵器を使って彗星を攻撃し迂回させる計画を発表し、注目をそらし支持率を向上させる。

 

 

 

 

作戦は成功するが、ハイテク企業BASHの億万長者で、もう一人の有力資金提供者であるピーター・イッシャーウェル が、彗星に数兆円相当のレアアースが含まれていることを突き止め、オルレアンは突然中止を宣言するのだったが、、。

 

 

 

 

やっと観る事が出来たこちらの作品、第94回アカデミー賞で受賞は逃したものの、作品、脚本、編集、作曲の4部門にノミネートされたディカプリオ主演作という事でそりゃ観ちゃいますよね。 

 

 

 

 

他にもジェニファー・ローレンスに、メリル・ストリープ、ケイト・ブランシェットにジョナ・ヒル、歌手のアリアナ・グランデにマーク・ライランス、極めつけはティモシー・シャラメまで出演していて、一体何本映画が撮れるの!という豪華な顔ぶれ

 

 

 

 

監督は「バイス」や「マネー・ショート華麗なる大逆転」を撮ったアダム・マッケイという監督で、一応話題になり両方とも観てはいたものの、その内容は知らない政治家と金融業界の実話ベースのお話という事で学の無い私にはチンプンカンプンでした

 

 

 

 

しかし今作は巨大な彗星が地球に衝突するというシンプルなもので、パニック映画好きにはお馴染みのテーマ。彗星を発見した大学生と教授はその危機的状況を世間に知らしめようと動き出すのですが、政府は選挙を優先させたりマスコミはまともに取り上げなかったりと散々な目にあう姿を皮肉まみれのブラックジョークで描かれます

 

 

 

 

それまでの作品があまり馴染みのない内容だったのに対して、今作では誰もが理解しやすいお話だったという事もあって、2時間半という長尺の映画だったにも関わらず時間を気にする事もなく最後まで楽しく観ることが出来た映画でした。

 

 

 

 

地球が絶滅するかもしれない!と訴える教授達の意思とは裏腹に選挙とスキャンダルで頭が一杯の大統領と政府関係者、頼ったマスコミも危機感なくワイドショーの一つのネタとしか扱わないという状況に焦りを募らせていく二人と一緒にイライラ

 

 

 

 

半年後地球に彗星がぶつかるという危機的状況が、馬鹿な政治家や実業家の都合によって左右されてしまうという、もしかしたら起こりえるような様々なアクシデントに振り回される国民の姿をとことんブラックで皮肉なコメディ味で描かれています。

 

 

 

 

ディカプリオとジェニファーの切れっぷりをはじめ、支持率を意識するメリル・ストリープのお馬鹿大統領の勇姿、どこかで見た事あるようなケイト・ブランシェットのTVキャスター感、いかにもIT会社のCEOといった振る舞いのマーク・ライランス、一人アルマゲドンのロン・パールマンには笑ってしまいました。

 

 

 

 

豪華な俳優陣の演技が素晴らしいのは勿論ですが、SF映画に欠かせないCGの出来栄えやスケール感もなかなかの出来栄えで、後半のスペクタクル場面の壮大さの中に映り込むCGで描かれた小さなアイテムによる笑いにも抜かりがありません。

 

 

 

 

これまでの作品同様、多くの情報量を短いショットで繋ぎ、数々の小ネタが挟まれるのも特徴で、彗星衝突までの残りをダイエットアプリでカウントダウンしたり、キレた顔をSNS加工でいじられたり、人類への警鐘が人気歌手の破局ネタよりアクセスが無いという、今時ならあり得そうで笑えないネタが満載です。

 

 

 

 

いよいよ人類存亡を賭けた彗星爆破が実行された瞬間、思わぬハプニングによって爆破失敗が確実視されると、責任のあるCEOと大統領がトイレに行くと言い残して次々と姿を消す場面には呆れるを越えて笑ってしまいました。

 

 

 

 

そして後半からはそれまでの人間同士のすったもんだドラマから一転し、一気にディザスター的黙示録な展開に変貌して人間の浅はかさを笑い飛ばすような終焉を迎え、爽快さと悲哀が入り混じるエンディングに打ちのめされてしまいました。

 

 

 

 

そのエンディングからの2万年後のビックリ展開と、エンドロール後の地球最後の人類がコイツかい!からの「いいねとチャンネル登録を~」の一言に、全人類がもう笑うしかない状況に陥る素晴らしき映画でござります。

 

 

 

 

本当にこんな世界だったら嫌だという皮肉な部分と、最後くらいは家族や仲間と穏やかに過ごしたいと願う、どちらも両極端で人間的な部分を体験させてくれる見事な面白エンターテインメント作品になっていますので、機会がありましたらご覧になってみて下さいませ、です。

 

では、また次回ですよ~!