1960年代半ば。酒癖が悪くしがない電気工に甘んじていた若きチェイニーは、婚約者のリンに叱咤されて政界を目指し、やがて下院議員ドナルド・ラムズフェルドのもとで政治のイロハを学び、次第に頭角を現わしていく。その後、政界の要職を歴任し、ついにジョージ・W・ブッシュ政権で副大統領の地位に就く。するとチェイニーは、それまでは形だけの役職に過ぎなかった副大統領というポストを逆用し、ブッシュを巧みに操り、権力を自らの元に集中させることで、アメリカと世界を思い通りに動かし始めるのだったが。

 

 

 

 

 

 

こちらは2018年制作の アメリカ映画 アメリカ です。 (132分)

 

ジョージ・W・ブッシュ政権でアメリカ史上最も権力を持った副大統領と言われ、

 

9・11後のアメリカをイラク戦争へと導いたとされるディック・チェイニーを描いた

 

ドラマです。

 

 

 

 

  政治が中心のお話で、それもアメリカの副大統領​​​​ ディック・チェイニーという、

 

学の無い私には聞いた事もない人物が主人公のかなりハードルの高そうな作品であり

 

ます。しかし、アカデミー賞でかなり話題になり、役作りの為に20キロ近く体重を

 

増やしたという クリスチャン・ベールが主演。その妻に エイミー・アダムス 製作に 

 

ブラッ・ドピットという豪華さもあってレンタルしてみました。 

 

 

 

 

ストーリーはいつものように 上矢印 をご覧いただくとして、かなり素人の方が見ても大

 

まかには理解出来るように作られています。 (細かな部分は最初から無理だと分った

 

上での鑑賞ですが) この監督さんの前作は、こちらでも紹介した「マネー・ショー

 

ト」というサブプライムローンの裏でお金儲けをした投資家のお話で、(こういった

 

話が好きな監督ですね) こちらは全くのチンプンカンプンだった私ですが、本作はデ

 

ィック・チェイニーといういう人物のサクセスストーリーと、その家族がお話のメイ

 

ンになっている事で、この人物を知らないながらもドラマとして観やすくなっていま

 

す。

 

 

 

 

映画中盤、ジョージ・W・ブッシュといった見慣れたお顔が登場し、ディックを副

 

大統領にリクルートします。 ここでのブッシュの お馬鹿キャラ な描かれ方にかなり

 

の悪意がありなかなか笑わせてくれます。  そしてあの9・11が起こり、ドタバタの

 

中ピンチはチャンスとディックは法律を自分達の都合の良いように歪めた解釈をして

 

遂にアフガニスタンに攻撃を仕掛けていくまでになります。 

 

 

 

 

この辺りのブッシュをはじめ、ラムズフェルドや、コンドリーザ・ライス、コリン・

 

パウエル といった私でも見た事がある人物が登場し、当時の政治的混乱がどんなもの

 

だったかを解り易く見せてくれます。 

 

 

 

 

そして、これを演じている役者さん達の絶妙な似ている感。 特にブッシュを演じるサ

 

ム・ロックウェルは顔だけでなく、喋り方や雰囲気までもかなりのものでした。出演

 

シーンは少ないものの、ナオミ・ワッツや、アルフレッド・モリーナ等も出演されて

 

おりました。

 

 

 

 

ちょっとお堅い内容で退屈しそうな作品ですが、それを面白く観客の興味を維持させ

 

るテクニックは、脚本も書いているアダム・マッケイ監督には天才的な才能がありま

 

す。

 

 

 

 

単調になりがちなシーンを細かなカットで繋ぎ、入り組んだ設定や説明にはミニチュ

 

アや、様々な映像でテンポよく説明してくれる丁寧さ。 重くなりそうな場面ではブラ

 

ックなジョークで笑いを入れたり、ここという場面では実際のニュース映像や写真を

 

挟み込む等、サービス精神旺盛です。 

 

 

 

 

その分、やや主人公の物語としては散漫になる所もありますが、入り組んだ話を説明

 

するにはかなり効果的で、面白く観れます。 レストランの注文シーンは秀逸でした。 

 

 

 

 

国を動かす権力を持つ人たちのバカバカしさや滑稽さをブラックユーモアで包みつ

 

つ、それによってもたらされた悲劇の大きさを、グサリと突き付けてくる作品です。

 

家族愛や愛国心の前に、民主主義が破壊していく矛盾がまた恐ろしく、正にブラック

 

コメディな本作は、アメリカ映画のエンターテインメント性のパワーを見せつけられ

 

る作品でもあります。 そうそう、これまたかなりブラックで、洒落たルアーのエン

 

ドロールは最後まで観るのがお薦めですよ!

 

 

 

 

「ワイルド・スピード」 、、そんなものさ!という監督のメッセージに苦笑しますね

 

つい敬遠しがちなテーマの作品ではありますが、かなり興味深い内容となっています

 

ので、機会があればご覧になってみて下さいませ、です。  目

 

では、また次回ですよ~!  パー

 

 

 

 

 

 

 

エンドクレジットのルアー。 様々な形状で獲物を釣るのでありました。 うお座