アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグの小説 「オートバイ」を、「アフリカの女王」などの名撮影監督ジャック・カーディフが映像化した作品。

 

 

 

 

 

 

    -  THE GIRL ON A MOTORCYCLE  -    監督 撮影 ジャック・カーディフ

 

 出演 マリアンヌ・フェイスフル、アラン・ドロン、ロジャー・マットン 他

 

こちらは1968年制作の イギリス イギリス フランス フランス の合作映画です。(91分)

 

 

 

 

  朝、小鳥のさえずりは聞えているが、まだ完全には明けきっていない。軽い寝息をたてている夫レイモンの傍を離れると、レベッカは黒皮のレーサー服に裸身をすべりこませ、部屋を出た。

 

 

 

 

裏庭の車庫から、ディオニソスと名づけた1200CCのオートバイを引きだすと、ハイデルベルクへ向けて出発した。ハイデルベルクには、恋人ダニエルがいる。四ヵ月前、レベッカはレイモンとの婚約旅行のスキーの宿でダニエルをみた。

 

 

 

 

ダニエルは、レベッカの父が経営する本屋に、しばしばあらわれる大学の教師だったその夜、レイモンはレベッカの部屋に入ってきたが、寝入ったふりをしていた彼女に軽い口づけをしただけで立去って行った。

 

 

 

 

そしてしばらくして、バルコニーから一人の男が入ってきた。レベッカはその男にだかれた。彼女は、その男がダニエルであることを知っていた。旅行から帰ってから、ダニエルは再びオートバイを駆って来た。

 

 

 

 

父親の許可を得、レベッカを連れだすと、田舎のホテルの一室で彼女を抱いた。その帰り彼女はオートバイの乗り方をダニエルに教わった。その時から、彼女はオートバイに魅せられた。数日後、レベッカはレイモンと結婚した。

 

 

 

 

その時、ダニエルはディオニソス号を彼女におくった。彼女は、そのディオニソスを駆って今、ダニエルに会いに行こうとしている。彼女は想像する。数分後にダニエルに抱かれている自分を。 だがその瞬間、、。

 

 

 

 

「あの胸にもういちど」 という日本語タイトルからして甘い恋愛映画を連想させますが、こちらの作品はかなりアートでサイケなブッ飛びこじらせ映画になっておりました。

 

 

 

 

路上を疾走するタイトルバックにアクション映画にでも使われそうな颯爽としたテーマ曲に乗って始まる「ロスト・ハイウェイ」風のオープニングから異彩を放っている本作。

 

 

 

 

結婚してまだ3週間しか経っていない新婚のレベッカは、夫が横で眠るベッドの中で忘れられない恋人ダニエルとのシュールな夢を見ます。

 

 

 

 

いきなり登場するサイケな映像とサーカスでダニエルに鞭打たれる裸の自分という夢

 

 

 

 

夢から覚めた彼女はダニエル貰ったオートバイに跨り、朝もやの中スイスの自宅から彼の住むドイツのハイデルベルクへと向かう旅に出かけます。

 

 

 

 

映画は「THE GIRL ON A MOTORCYCLE」という原題の通り、レベッカのバイク旅を中心に、彼女のモノローグと過去の回想、そして妄想が独特な映像で綴られてます。

 

 

 


本作の魅力は何といってもレベッカを演じるマリアンヌ・フェイスフルから発せられるコケティッシュな空気感とそのルックス。 

 

 

 

 

裸にレザーのバイクスーツというスタイルは、峰不二子のモデルにもなったという美しさ。

 

 

 

 

SF映画にでも出て来そうなヘルメットからなびく長い髪が女性らしさを強調します。

 

 

 

 

監督がカメラマンという事もあってか、女体、レザー、バイクへのフェティッ目線がマニアにはたまりません。

 

 

 

 

個人的にはレベッカに並走して木々の中を走るバイクとも緑とも認識出来ない映像が、一番印象に残りました。

 

 

 

 

その不倫相手ダニエルを演じるのがアラン・ドロン。 レベッカでなくとも惹かれますよね

 

 

 

 

この当時30代前半の彼もお色気ムンムン劇中ではこのようなお姿も披露されてます

 

 

 

 

ダニエルにバイクの運転を習うキュンキュンシーンもお気に入りです。

 

 

 

 

旅の途中でレベッカが妄想するラブシーンではその激しさからサイケな映像処理も

 

 

 

 

時代を感じる アソコ の隠し方はアキラ100%が継承していますね

 

 

 

 

「僕はもう誰も愛さない」 と宣言されているレベッカの愛の行方に光はありません

 

 

 

 

ハイデルベルクに近づくごとに標識の数字が減っていくカウントダウンの恋心

 

 

 

 

映像の派手さや物語の薄さという表面的な部分でついついキワモノ映画に思われがちですが、ある種の女性心理を映像化した優れた作品ではないでしょうか。

 

 

 

 

靄のかかった風景から徐々に現実的な景色へと変化していく旅と心理の映像表現

 

 

 

 

性と自由を象徴したようなバイクとレザースーツ 過去へと過ぎ去っていく風景たち

 

 

 

 

理屈はともかく映像の中を走るレベッカの疾走感、それだけで気分爽快になる体感型の映画です。

 

 

 

 

その分ラストのワンショットが少々残念に思えました。 フロントガラスまでの細かな描写が変に印象深く残ってしまいそれまでの空気感が、あの足で損なわれたように思えます

 

 

 

 

それを差し引いても余りある映画的な面白さと心地良さが味わえる作品です。

 

 

 

 

いつもながらちょっと変わった映画が好きな方にはかなり楽しめる作品だと思いますので、機会がありましたら是非ご覧になってみて下さいませ、です。

 

では、また次回ですよ~! パー