1976年に製作された「オーメン」シリーズの2作目。 13歳に成長したダミアンの周囲で巻き起こる恐怖を描く。

 

 

 

 

 

 

           -  DAMIEN: OMEN II  - 監督 ドン・テイラー

 

 出演 ウィリアム・ホールデン、リー・グラント、

                                                           ジョナサン・スコット・テイラー 他

 

こちらは1978年制作の アメリカ映画 アメリカ です。(107分)

 

 

 

 

  ロバート夫妻の死後、ダミアンはロバートの弟で実業家のリチャードに養子として迎え入れられた。7年の月日が経ち、ダミアンはリチャードの実子でダミアンと同年のマークとシカゴに近い陸軍学校に通っていた。 ある日、リチャードの伯母で、ロバートがダミアンを殺そうとしていたことを知っていたマリオンが不思議な死を遂げる。 

 

 

 

 

それから、しばらくしてリチャードの経営する博物館の館長ウォレンの友人で、ダミアンにまつわる秘密を知っているジャーナリストのジョーンが死んだ。 陸軍学校におけるダミアンの成績は抜群だった上官のネフ軍曹に忠告され、聖書の黙示録を続み、自分の頭髪の下の666という数字の謎を知ったダミアンは、自分が悪魔の子であることを知りショックを受ける。 

 

 

 

 

こうして、ダミアンの周囲では次々と死亡事故が続き、遂にウォレンは考古学者ブーゲンヘイゲンの遺品からダミアンの正体を知り、リチャードに伝える。 悪魔の子がダミアンと生き写しである証拠のイガエルの壁画を見て、ダミアンを手にかける決心をしたリチャードだったが、博物館で呪いにかかった自分の妻アンに逆に殺され、アンもダミアンのために死んだ。 炎につつまれる博物館には平然と立つダミアンの姿があるのだった、、。

 

 

 

 

前作の「オーメン」から2年後に製作されたシリーズの2作目で、13歳に成長したダミアンの姿が描かれます。 1作目の試写の反応により公開前に既に3部作という構想が決定していた本作では、自身が悪魔の子として誕生した運命を悟り、悪魔として覚醒していくまでの青年期の物語が描かれています。

 

 

 

 

」1作目の「オーメン」を観ている方は沢山いらっしゃると思うのですが、意外と3部作シリーズとしての印象は薄いかも知れません。 そういう私もこの2作目を幼い頃に1、2回はテレビで観た記憶はあり、映像を所々憶えているものの、ストーリーはかなりおぼろげな状態で、その後のダミアンが気に掛かってしまい、つづきを鑑賞してみました。

 

 

 

 

本作は1作目の7年後が舞台になり、ダミアンは13歳に成長しています。 前作のラストでダミアンの正体を知り、彼を殺そうとして亡くなった両親は精神的に病んでいたという扱いになっていて、両親の話はタブーとなりダミアンの正体を知っている者は誰もいません。

 

 

 

 

ダミアン自身すら、まだ自身の出生の謎や悪魔の子という運命の自覚も無く、普通の少年として成長しています。 ただ、感情が制御出来なかった時に、何かの力が発せられるという事を何となく自覚していて、自分でもそれを奇妙に思っているという状態です。

 

 

 

 

同い年の息子が居る叔父に引き取られたダミアンは、陸軍学校に兄弟で入学する事になりますが、そこで彼の教官になった男は悪魔の使者でした。 ダミアンを悪魔として覚醒させる為に誘い、聖書の黙示録を読むよう促します。 そこに記されていた666の数字が自分の身体に刻まれている事を見つけたダミアンは、戸惑いながらも自分の運命を受け入れるのです。 

 

 

 

 

ある年齢に訪れる変化やめざめ、アイデンティティの確立は正に思春期そのもので、それがダミアンにとっては悪魔の子だった!という恐ろしくも逃れられない運命を知る事になりす。 ただ若干、激しく動揺しながらも自分が悪魔の子であるという運命を受け入れるのに大した葛藤もなく早くも感じましたが、それ以前から自分は普通とは違う力を持っている事を自覚していた節もあり、なんとなくの予感はあったのかも知れません。

 

 

 

 

ダミアンが覚醒していくのと並行して、彼が悪魔の子であるという疑いを持つ人物や、叔父に助言をする人間が次々に殺されていきます。 ダミアンの父親に儀式を教え、唯一ダミアンの正体を知るエクソシストの男は父親の事件のすぐ後、新聞で儀式が失敗した事を知り、ダミアンの証拠が存在する遺跡で生き埋めになって死んでいました。

 

 

 

 

ダミアンの父親の死に疑問を持ち、ダミアンに脅威を感じている伯母は悪魔の使いの力で殺され、叔父に注意を促した発掘家の女性はカラスに襲われた弾みでトラックに轢かれて亡くなります。 ダミアンの協力者ポールはライバルを氷の張った湖に落して殺害し社長の座に収まります。 

 

 

 

 

ダミアンの血液検査をした医師は、その血が山犬の血である事を確認しますが、その資料と共にエレベーターの事故で死亡。 ダミアンの正体を掴んだ美術館の館長は列車に挟まれて亡くなります。ダミアンに関わる様々な人間が死んだ事、そして確固たる証拠を見た事で遂に叔父も彼を悪魔の子と確信し、兄と同じ行動に出ようとしますが、、。

 

 

 

 

 

本作でも多くの死人が出ますが、前作同様にそのほとんどはダミアンの意志とは関係ない所で発生するもので、全て事故や突然の病に見えるものばかりです。 ただそれらはダミアンの正体を隠蔽させるものだったり、彼の将来を優位に誘導させる為に行われる事で、運命と悪魔の力の恐ろしさがひしひしと伝わってきます。

 

 

 

 

唯一彼が自分の意志をもって殺すのが兄弟のように育てられたマークで、正体を知ってしまった彼を、仲間として一緒にやろうとダミアンは誘いますが拒否されます。 しかし、意外にもここでダミアンはマークに懇願するのです。 それは彼に少なからず愛情を持っていたからであり、まだ悪魔に成り切れていないからなのかも知れません。 

 

 

 

 

マークの強い意志を確信したダミアンはそこで自らの力によって兄弟であるマークを殺しす。 死んだマークを見て叫ぶダミアンの姿には辛うじて人間的な感情が見えますが同時に悪魔に身を投げた瞬間、悪魔としての運命を受け入れた瞬間でもありました。

 

 

 

 

このような揺れ動くダミアンの心理的ドラマが中心に進む事もあって、前作に比べるとオカルト的で陰湿なホラー感は薄く感じます。 同じ位に人も死に演出も派手にはなっていますが、その多くは屋外の日差しの下という事もあってか恐怖感は少な目です。 ホラー映画に於ける暗闇の効果を実感させられます。

 

 

 

 

前作では犬が悪魔の使者として登場して人間を襲っていましたが、本作ではその姿をカラスに変え、悪魔の存在を不気味なまでに醸し出しています。 時にヒッチコックの「鳥」のように直接人間を襲ったりという残酷な場面があったり、前回の首チョンに匹敵する胴体チョンという派手な見せ場もあったりと殺戮場面の工夫も凝っています。

 

 

 

 

「オーメン」が父親の責任を描いたホラー映画だったのに対し、本作ではタイトル通りにダミアンが主人公となった、ある種思春期の青春映画でもあります。 恋愛はないまでも寄宿学校で他の生徒や教師との生活や、自分のアイデンティティの確立なども描かれダミアン目線で見ると、「ファイト!」っと、ちょっと彼を応援してしまいそうになる程で、まだあどけなさが残りつつも悪魔的な表情を見せるダミアンが魅力的でもあります。

 

 

 

 

ある意味ホラー映画版「愛と青春の旅立ち」を思わせる、ダミアンの立派な悪魔に成る為の成長物語であり、アナキン・スカイウォーカーがダークサイドに落ちてダース・ベイダーになるまでの悲しい始まりの物語とも取れる本作。 見方や視点を変えるとまた違った味わいが出たくる作品ですので、この機会にでもご覧になってみて下さいませ、です。

 

では、また次回ですよ~! パー