「世界の中心で、愛をさけぶ」「今度は愛妻家」の行定勲監督が、本多孝好のベストセラー小説を映画化した日中合作の恋愛ミステリー

 

 

 

 

 

    

      -  真夜中の五分前  -  監督 行定勲  原作 本多孝好

 

 出演 三浦春馬、リウ・シーシー、チャン・シャオチュアン 他

 

こちらは2014年制作の 日本 日本 中国 中国 の合作映画です。(129分)

 

 

 

 

  時計修理工のリョウは、ひょんなことからルオランという美しい女性と出会う。彼女には女優をしているルオランという一卵性双生児の妹がいた。今、ルーメイにはレオンという婚約者がいて、その婚約祝いには是非ともルオラが思いもつかないようなプレゼントを贈りたい・・それで出会ったばかりのリョウにプレゼント選びを手伝ってもらうことに。唐突で奇妙な出会いではあったが、リョウは美しいルオランと知り合えたことに胸を躍らせる。

 

 

 

 

しかし親しくなるにつれて、リョウはルオランが抱える心の闇に気づいていく。ルオランは自分の人生の片割れでもあるようなルーメイを深く愛しているのだが、「同じものを好きになってしまう」というこの双子姉妹の性(さが)から、ルオランもレオンを愛してしまっており、そのことでルーメイに対する激しい嫉妬を抱えていた。

 

 

 

 

そんなルオランを優しく受け止めてやるリョウ、二人の関係はやがてゆっくりと恋人へと発展していく。 しかし、姉妹で出掛けた旅行先で事故に遭い、ルオランは亡くなりルーメイは生き残るのだったが、、。

 

 

 

 

なんともゆっくりと時間が過ぎる映画でした。 予告を先に観て鑑賞を決めた作品だった為、てっきりミステリー重視の映画かと思った私が悪かったのか、予告がミスリードしたのか、、。 主人公のリョウという青年がルオランという女性に出会った事から始まるラブストーリーとしてお話は進んでいくのですが、彼女には双子の妹ルーメイがいました。

 

 

 

 

ある日、姉妹で出掛けた旅行で事故に遭い、ルオランは亡くなりルーメイは生き残ります。 その一年後、恋人のレオンはルーメイが実はルオランではないか?と疑問を抱くようになるというミステリー的な展開があるストーリーではあるのですが、原作小説も映画も、その結末は明らかにしないままで物語は終わっています。 一応、姉妹の感情を追えば生き残ったのがどちらかは推測出来るお話ではあるのですが、あえて明白にはしないエンディングとなっています。  

 

 

 

 

これはあくまで映画のみを観た私個人の感想になってしまいますが、物語の中でどちらが生き残ったのかという事は、この映画の中ではさほど意味を成さない事のように思えました。 (ストーリーとしては重要なのですがね、、)

 

 

 

 

映像的な異世界を感じる色と魔法、ゆっくりと進む時間、少ない言葉、原作にはない上海を舞台にして、言語すら非日常の空間に設定した事で、登場人物達一人一人の心のゆらぎをより強く感じられる繊細で詩的な作品へと昇華させているように思えます。

 

 

 

 

戻れない時間、過ぎ去っててしまう現在を比喩するように、主人公を時間を象徴する時計の修理人という人物に設定した事によって人生の儚さをより強く感じてしまいます。ただ、物語や人物の動き、セリフ等がかなりまったりとした時間で描かれている反面、主人公であるリョウの人物像やバックグラウンドがほぼ描かれていない為、感情移入がしにくいという難点もあります。 何故上海に居て時計修理工をしているのかも謎のままでした、、。 

 

 

 

 

本作で初めて三浦春馬という役者さんの映画を鑑賞した私ですが、ほとんどのセリフを中国語でこなし、ルオランとルーメイという2人の女性の狭間で揺れ動き、惹かれていく無垢なリョウという青年を巧みに演じていました。 あえて抑えた演技からにじみ出る人間性は、彼の持つ純粋さから生まれるもので、演技では出せない誠実さが、映像同様に映画を濁りのない澄んだ作品へと導いています。作品は生きつづけるのであります。

 

 

 

 

彼同様、本作で二役を演じている中国の女優さんのリウ・シーシーも嫌味のない美しさで好演されていますし、唯一ワイルド系の役柄レオンを演じる台湾の俳優さんチャン・シャオチュアンも素敵でありました。

 

 

 

 

ドキドキするようなサスペンス感はありませんが、心を癒されるような時間と空気感を体感できる映画となっていますので、機会があれば一度ご覧になってみて下さい。

 

では、また次回ですよ~! パー

 

 

 

 

 

 

本作のメイキング映像です。 興味があればご覧下さい。 キラキラ