シャーウッドの森からタイタニック号まで舞台は目まぐるしく変わり、人物もアガメムノン王から巨大な海坊主、悪魔、はては造物主まで登場するテリー・ギリアム監督のファンタジー作品。製作総指揮と主題歌をザ・ビートルズのジョージ・ハリスンが手がけている

 

 

 

 

 

 

          -  TIME BANDITS  - 監督 テリー・ギリアム

 

 出演 クレイグ・ワーノック、シェリー・デュヴァル、ショーン・コネリー 他

 

こちらは1981年制作の イギリス映画 イギリス です。(116分)

 

 

 

 

  イギリスのとある地方の住宅街。 歴史と科学を愛する11歳の少年ケヴィンは、厳格なだけで子供の成長に無関心な両親のもとで暮らしていました。 ある晩、彼の部屋のクローゼットから、馬に乗った騎士が飛び出してきて、そのまま壁の奥に消えていきました。 翌晩、その写真を撮ろうと、インスタントカメラとを持って待ち構えていると、今度は6人の小人たちが現れたではありませんか。 

 

 

 

 

小人たちは不遜な態度で部屋を荒らしケヴィンに「タイムホールはどこだ?」と訊ねます。ケヴィンが困惑していると、激しい光を放つ巨大な顔が「地図を返すのだ」と告げながら迫ってきました。 小人たちが、昨夜騎士が駆け抜けていった方向の壁を押すと、壁が動いて真っ暗な穴が現れました。 ケヴィンは訳もわからず、小人たちとともに逃げることになってしまいました。 

 

 

 

 

穴の行き先は1796年のイタリアでした。 小人たちのリーダー・ランドールは「俺たちは時空を股に掛ける強盗団だ」とケヴィンに語ります。 巨大な顔の正体は「創造主」で、小人たちは彼に従事していたのですが、安月給に嫌気が差し、創造主の地図を奪って逃げてきたと言います。 

 

 

 

 

世界の創造はわずか7日の突貫工事だったため、時空間のところどころに「タイムホール」と呼ばれる穴が空いていて、地図にはタイムホールの場所がすべて記されていました。 それを通じてあらゆる時代を自由に移動できる事で、小人たちはそれぞれの時代にある財宝を盗んでまわろうとしていたのです。

 

 

 

 

小人たちは進軍中のナポレオン・ボナパルトの前に芸人のふりをして近づき、晩餐に招かれることに成功。 ナポレオンが酔いつぶれたところを見計らって、金杯や絵画を盗みタイムホールを使いまんまと逃走に成功。 タイムホールは次に中世イングランドのシャーウッドの森に通じていました。 そこでは逆に。出会ったロビン・フッド一味にナポレオンから奪った宝を横取りされてしまいました。 

 

 

 

 

この様子を、地図を奪おうと画策する悪魔が監視していました。 悪魔は森に火事を発生させ、ケヴィンと小人たちをはぐれさせケヴィンは一人で古代ギリシア・ミケーネの砂漠に放り出され、ミケーネの王・アガメムノンの戦いを偶然手助けした事で気に入られ、彼の養子に迎えられます。 その宴の席に再び小人が現われ、財宝と共にまたタイムホールの旅に同行させられてしまいます。

 

 

 

 

悪魔は再び彼等に罠を仕掛けておびき寄せ、遂に一行は悪魔の棲む暗黒城へと導かれてしまうのでした、、。 というお話です。創造主から盗んだ地図で盗賊をする6人の小人に巻き込まれてしまったケヴィンの時空を旅する物語。 テリー・ギリアムの初期の作品ですが、彼のファンタジーと旅という作家性が本作で既に確立されたような密度の濃い映像が詰まった映画になっています。

 

 

 

 

ケヴィンがタイムトラベルする時代はナポレオン、ロビンフット、古代ギリシア、タイタニックにまで乗船して、伝説時代という、よりファンタジックな世界へと突入  野獣の船に捕まったと思ったら、なんとその船は巨人の帽子だったりと、摩訶不思議な世界が展開し物語はどんどんシュールで奇妙なものになっていきます。 この世界観を表現するのにぴったりとはまっているアナログな特殊撮影がキッチュで良い味を醸し出していて、CGには出せない独特の奇妙さが今となっては新鮮に映ります。

 

 

 

 

ただ、子供も観れる作品を意識してか?ケヴィン以上に小人が物語をリードしている所が大きく、その為かなりお話がゆるいものになっていて緊張感がほぼゼロです。 それもあってか映像の素敵さのわりに退屈に感じてしまうところも結構あります。 中盤から登場する地図を狙う悪魔もかなりゆるめで、その為、地図をめぐっての攻防に緊迫感がない事でドラマ性はかなり薄味なものになってしまっています。

 

 

 

 

が!ギリアム監督作品に最初からそこは望んでいないという偏った私のようなファンは多いのではないでしょうか? こんなハチャメチャな世界観の映画を撮れる作家はやはりテリー・ギリアムしかいないのであります。 褒めてるのか貶してるのか分かりませんが、幼稚さと毒の両方を過剰に詰め込んだゆるい悪夢のファンタジー作品でございます。

 

 

 

 

唯一ドラマ的で心を動かされる場面にはショーン・コネリーが登場していて、流石スターと唸らされてしまいました。 あのシュールなエンディングからのウインクはたまりません 他にもイアン・ホルムやシェリー・デュヴァル、「スター・ウォーズ」でR2-D2を演じていたケニー・ベイカーが堂々の演技を見せてくれていたりします。まぁ、ギリアムのギリアムによるギリアム映画でありまして、他では観れない独特な世界観をこの機会に是非ご覧いただければと思います、はい。

 

では、また次回ですよ~! パー

 

 

 

 

 
 

 

 

本作でプロデューサーも兼ねているジョージ・ハリスンによるテーマ曲です。 音譜