「ルパン三世」の元ネタになったとされているイタリアの犯罪コメディ映画。  スイス銀行から強奪した金の延べ棒をめぐる、1人の教授と謎の美女、6人の男たちの騙し合いと駆け引きを描いた娯楽作品。

 

 

 

 

 

 

                    -  7 UOMINI D'ORO  - 監督 マルコ・ヴィカリオ

 

 出演 ロッサナ・ポデスタ、フィリップ・ルロワ、ガストーネ・モスキン 他

 

こちらは1965年制作の イタリア映画  イタリア です。(95分)

 

 

 

 

  舞台はスイス。 ジュネーブの町を黄色の作業車が連なって走って行きます。

その付近には作業車と同じ目標に向かって走る黒いロールスロイスがいました。  車の後部座席には教授と呼ばれる男アルべールと情婦のジョルジアが乗っています。彼等一味は泥棒で、天才的な頭脳を持つ教授の綿密な計画の元、彼をリーダーとして様々な国籍の男達6人が集められていました。 彼等は銀行にある金塊を盗むためにスイスへとやって来たのでした。 

 

 

 

 

一味が狙らいを定めたのは最新式で万全の備えをもつスイス銀行の大金庫です。 扉は電子装置で開閉、地下には坑道をめぐらし電気写真装置、侵水装置などその防御設備には近代化学の粋がもりこまれているという難攻不落な金庫。 その中に眠っているのは時価数百億円の金の延べ棒でした。

 

 

 

 

一味が狙う銀行の前で作業車は止まり、乗っていたオレンジ色の作業着を着た6人の男が、道路工事を装って道路に穴をあけ始めます。 配置を確認した教授はそのまま向かいにある高級ホテルへジョルジアと向かいます。 教授が入った部屋は銀行の正面の一室で、彼はそこから男達に指示を始めます。情婦のジョルジアは客のふりをして銀行へ行き、貸金庫に発信機を忍ばせて金庫の位置を知らせます。

 

 

 

 

6人の男達は作業を進め、開けた穴から地下へともぐり、配管を伝いなんとか銀行の下へと辿り着きます。 特製ドリルを使って大金庫の底に穴をあけた男たちは、積みあがった金の延べ棒の外側だけを残し、まんまと金をせしめる事に成功。 作業車に積み込むと同時に作業も終了し、来た時同様に去って行きます。

 

 

 

 

計画通りに仕事は完了。七トン、時価五億円の金の延べ棒は“銅”という名目でイタリアへ発送され、仲間とはローマで落ち合う手筈になっていました。情婦のジョルジャが教授に「分け前はどうなるの?」と尋ねると、「私が半分君が半分」と答えます。 ジョルジャが「後の6人は?」と尋ねると、教授は「ゼロだ」と笑いました。6人には偽パスポートが渡されていて、国境で捕まる事になっていました。 

 

 

 

 

これも教授の計画の内だったのです。 しかし、​​​​​ジョルジアはスイス銀行の支配人としめし合せていました。 「教授」を眠らせて横取りを計ったのです。 しかし役者は「教授」の方が一枚上でジョルジアの横取り計画は見事に失敗。 教授が金を独り占め、と思った矢先、あの6人が教授を見つけて追いかけて来ました。 さて金の延べ棒の行方やいかに、、というお話です。

 

 

 

 

1965年の作品ですが、とにかくオープニングの音楽と映像の素敵さで、もう心を持っていかれてしまいます。 特別な説明セリフもなく音楽と編集だけで状況説明がされて、その勢いと流れのまま窃盗団の計画が着々と進んでいく工程をただただ観ているだけで充分楽しめます。 準備や行程、延べ棒を運び出す手順や道具等のガシェットの面白味と、突然訪れる危機を回避していくドキドキの展開。 これらが小気味いい音楽に乗ってコミカルにテンポよく進む気持ちよさはたまりません。 その上、一切の銃器や暴力もない所もまた楽しいのです。 地味に壊した公共物を、ちゃんと直して帰る段取りの良さに何故か好感まで持ってしまった私。

 

 

 

 

そして良い意味で時代を感じさせるテクノロジーのアナログ感。 計画の指揮を執る教授が使うマイクや掲示板、位置を知られる発信機の可愛らしさ等も見所の一つです。見所と言えば情婦ジョルジアの七変化のような様々な衣装とヘアメイクがまた素敵で、無駄とも言える位に衣装をチェンジして、視覚を楽しませてくれるサービスぶりです。映画の3分の2程を銀行の計画が占め、残りをその顛末という時間配分の脚本も巧みです。 

 

 

 

 

もろもろ苦労の末の結末もちゃんとひねってあり、普通拳銃が出て来たリ、暴力が出たり、殺し合いになったりしそうなものですが、最後までユーモラスでポジティブに絞めくくってくれていて、最後には「バック・トゥー・ザ・フューチャー」ばりの次回作へつづくで終わる、という粋なエンディングとなっていて、ラストまで楽しませてくれるサービス精神に脱帽します。  とにかく愉快で楽しい、お洒落な犯罪映画になっていますので、気楽に観れる作品をお探しの方は、この機会にでもご覧になってみて下さいませ、です。

 

では、また次回ですよ~! パー

 

 

 

 

 

 

アルマンド・トロヴァヨーリによるオープニング曲です。 映画の雰囲気を少しでも。 音譜