ひとりっ子政策が強行された近未来の管理社会を舞台に、1人の人格を生きることで生き延びてきた7つ子の姉妹を待ち受ける過酷な運命を描くSFサスペンス作品。

 

 

 

 

 

 

           -  WHAT HAPPENED TO MONDAY  -    監督 トミー・ウィルコラ

 

 出演 ノオミ・ラパス、グレン・クローズ、ウィレム・デフォー、

                                                                         マーワン・ケンザリ 他

 

こちらは2017年制作の イギリス イギリス アメリカ アメリカ フランス フランス ベルギー

                         による合作映画です。(123分)

 

 

 

 

  舞台は近未来の2073年 地球資源の枯渇と、遺伝子組み換え作物の影響による多生児の増加によって、強制的な人口抑制が行われるようになった欧州連邦。

そこではひとりっ子政策が施行されており、2人目以降は“児童分配局”に強制連行されて冷凍保存措置がされることになっていました。 そんな中、一卵性の7つ子姉妹が誕生します。 母親は出産の時に亡くなってしまい、唯一の身寄りである祖父が子供達をひきとる事になります。 しかし、このまま法に従えば6人は冷凍保存になってしまうと考えた祖父は彼女らをあわれに思い、秘密裏に全員を育てることを決意します。 

 

 

 

 

それぞれを月曜から日曜までの各曜日の名前を名付けられたセットマン家の7つ子姉妹は、それぞれが自分の名前の曜日だけ外出を許され、7人で1人の人格 カレン・セットマン を演じるよう教育されます。 7人はそれぞれ不平不満を抱えながらも、その日にあった出来事を共通認識する事で児童分配局の目をあざむいく生活を送っていました。それから30年後の2073年、7人で演じるカレンは大手の銀行員として勤めていました。いつものようにカレンとして身支度をして出勤したマンデーでしたが、夜になっても帰ってきません。 

 

 

 

 

彼女に何が起こったのかわからないまま、翌日チューズデーは仕事をこなしながらマンデーの行方を探します。そこに突然、児童分配局の人間が現れ、チューズデーは冷凍保存の子供たちの収容施設に連行されてしまいます。 そこには児童分配局の幹部ニコレット・ケイマンが居ましたケイマンは何故かカレンが7人いることを知っており、秘密裏のケイマンの計画が実行されようとしていたのでした。夜になっても戻らないチューズデーを心配する5人のもとに武装した男達が訪れます。隙をみて男達を撃退する彼女達でしたが、その際にサンデーは殺されてしまうのでした

 

 

 

 

残された4人は自分達が置かれている状況に危機感を感じ、ついに真相の究明をするための行動に打って出るのでした、、。これといった予備知識もなく観始めた本作ですが、オープニングから政府による統治と市民を細かくチェックする描写に、80年代のデストピア映画 「未来世紀ブラジル」 や 「1984」 といった古めかしいSF映画のテイストを感じましたが、物語が進むにつれ徐々に映画はサスペンスとアクション満載のお話へと変貌し、ハラハラドキドキの追いつ追われつのエンターテインメント作品となっていきます。

 

 

 

 

特に本作の主人公が女性という所も大きな魅力で、なかなか激しいアクションはベッソン映画を観ているような女のたくましさを感じさせてくれて爽快です。これを演じるのがノオミ・ラパス嬢で、あの「ミレニアムシリーズ」で主人公のリスベットをワイルドに演じた彼女で納得です。 それにしても本作では7人のカレンを演じているというのが驚きで、単純に7人が一堂に会する場面では、同じ場面を7回は演じなくてはならないと考えると、今誰を演じているのか?この1本で何本分の映画になるのやら?と、想像しただけで頭がパニックになる程の凄まじいバリエーション演技を見せてくれます

 

 

 

 

他にも児童分配局の幹部ニコレットをグレン・クローズが貫禄たっぷりに演じ、権力を握ろうとする悪役に凄みを持たせています。そしてこれまた大物俳優のウィレム・デフォ―が厳格な祖父役で登場。 幼い娘の一人が指を1本失った事で、全員の指を切り落とすという鬼の所業をやってのけます。この場面がある事で、いかにこの世界で7人が一緒に生きるという生活がシビアな事かがリアルに伝わる残酷な場面として表現されています。

 

 

 

 

ラストでは本来のテーマに戻り、女性として子供を授かる事の重みと、母親としての断腸の決断の切なさがひしひしと伝わる余韻の残るエンディングになっています。エンターテインメント作品に徹しながら、すぐそこに訪れようとしている未来への危惧にも、ちゃんと警鐘を鳴らした内容となっていて、見応えのある映画に仕上がっていますので機会があれば一度ご覧になってみて下さいませ、です。

 

では、また次回ですよ~! パー