売れないミュージシャンのジャックが夢を諦めたその日、世界規模で12秒間の大停電が起きる。その瞬間、交通事故に遭い、意識を失って病院に担ぎ込まれたジャック。彼が目覚めると、そこはなぜか歴史上からビートルズの存在が完全に消えた世界になっていた、、。

 

 

 

 

 

 

こちらは2019年制作の イギリス映画 イギリス です。 (116分)

 

世界一有名なバンド ビートルズ。 ある日、その存在も楽曲も知っているのは自分だけ

 

の世の中になったら? 「あ~ぁオヤジがトム・クルーズだったらな~」 という現実逃

 

避ネタのような事が現実になったら、、、という奇想天外なコメディドラマです。 

 

 

 

 

  物語の主人公は、イギリスの海辺の町サフォークに暮らすシンガー・ソングライ

 

ターの ジャックです。 彼は、幼なじみで親友のエリーにサポートされていましたが全

 

く売れず、音楽で有名になりたいという夢を諦めようとしていました。 そんなある

 

日、世界中で12秒間の謎の大停電が起こり、 ジャックはその拍子にバスにはねられ

 

てしまいます。

 

 

 

 

昏睡状態で入院しますが奇跡的に意識を取り戻したジャックは退院します。 退院祝い

 

で集まったエリーと友人に新しいギターをプレゼントされた彼は、ビートルズの「イ

 

エスタデイ」を歌って聴かせます。 エリー達はその曲に魅了され「いつ作った曲?」

 

 とジャックを称賛します。  皆にからかわれていると思ったジャックですが、リアク

 

ションにただならぬものを感じた彼は自宅へ帰ってパソコンで検索してみますが、虫

 

は出て来てもバンドのビートルズに全くヒットしません。 

 

 

 

 

持っていたレコードを探しても消えている始末。どうやらジャック以外の人間にビー

 

トルズを知る人が居ない世界になっていると気付いた彼は、記憶のなかのビートルズ

 

の曲を書き起こし、自分の曲として演奏しようと思いつきます。 

 

ジャックの曲が徐々に地元で話題になり、ローカルテレビ局の取材で演奏を披露しま

 

す。 そのTVをたまたま見ていた エド・シーラン から直接ジャックに連絡が来て、

 

小さいライブの前座として出演を依頼されます。 それをきっかけにジャックはソロ

 
のシンガーとして成功への階段を登り始める事になるのですが、、。 というお話です
 
 
 
 
最初このストーリーを聞いた私は、B級映画の危険な臭いを感じましたが、これを監
 
督したのが 「トレイン・スポッティング」 「スラムドッグ$ミリオネア」 のダニー・
 
ボイル (当たり外れはありますが) 脚本が 「アバウト・タイム」 「ラブ・アクチュ
 
アリー」 の監督 リチャード・カーティスと、どちらへ転ぶかドキドキしながら鑑賞し
 
た次第です。
 
 
 
 
意外にも(失礼)とても楽しく観せて頂きましたよ、はい。 監督、脚本のお二人の良
 
い所が出た作品で、 売れないミュージシャンのジャックがビートルズの曲によって
 
徐々にブレイクしていくサクセスストーリーと、そのジャックを支えてきたエリーと
 
の甘いラブストーリーが良い塩梅にブレンドされておりました。 ドキドキ そこに絡めら
 
れるビートルズの名曲の数々、、、もう間違いありません。
 
 
 
 
ビートルズの存在を確かめる為にまずやる事がGoogle検索だったり、メジャーな曲で
 
も歌詞がうろ覚えで必死に思い出そうとする歌詞あるあるがあったりと、観客もジャ
 
ックの目線になって楽しめます。 「抱きしめたい」 の原曲に近づけようと、あれこ
 
れレコーディングを工夫したり、「レット・イット・ビー」 を初披露する相手が両親
 
で、曲の偉大さに見合わない反応にキレ気味になったり、ビートルズの曲の間に自分
 
の作った曲を挟むも全くうけなくてへこむといった場面にはつい笑ってしまいます。
 
ジャックがブレイクするきっかけになる重要なキャラとして エド・シーランが登場し
 
ますが少しのゲスト出演かと思ったら、意外にガッツリと出ているのにも驚いてし
 
まいました。(最初は COLDPLAY の クリス・マーティンの予定だったようですが断
 
られたそうです)
 
 
 
 
そのエド・シーラン本人に負けじと、ジャックを演じるヒメーシュ・パテルも自身で
 
演奏、歌唱していますが、これまたお上手で原曲のカバーとしてもちゃんと聞ける凄
 
さです。個人的には「HELP」演奏の魂の叫びとアレンジが好きでした。
 
私自身もさほどビートルズには詳しくないのですが、逆にそんな人ほど彼等の曲と歌
 
詞を改めて聴く良い機会にもなっています。 反面、ジャックがアルバムを出すとなっ
 
た時ベタな有名曲ばかりで、もっと小出しにすればいいのに~!と思った方も多くい
 
らっしゃるのではないでしょうか? 
 
 
 
 
アルバムタイトルの会議でジャックが出した「ホワイトアルバム」 の案が、「ホワイ
 
ト過ぎるから」 という理由で却下になったり、現代的な歌詞に変更させられる場面に
 
時代を感じました。
 
劇中パソコンでビートルズを検索した後、オアシスを検索するも、その影響からかオ
 
アシスも消えていたという件がありますが、そうなるとエリーがジャックに惹かれた
 
きっかけの曲って?とか、ビートルズが居なかったたらオアシスだけでなくその後の
 
多くのミュージシャンも居ないよね~と変な所がちょっと気に掛かってしまいました
 
よ。 
 
 
 
 
それに当のジャックとエリーの関係もかなりファンタジックで甘甘であります。 これ
 
もひとえに脚本のリチャード・カーティスの作家性のなせる業。 しかし、それ以外の
 
ストーリーが素敵なものですから、その辺を気にするのは野暮ってもんです ビックリマーク はい。
 
あ、他にも残されたギャビン良い奴過ぎ問題とハリーポッターどうする問題、そして
 
後半で登場する 「あのお方」 問題もありました。 気になって調べたら、なんと ロバ
 
ート・カーライル が演じていたと知り、またビックリした私でありました。
 
 
 

個人的に映画が最高潮を迎えるのがエンドクレジットでして、それまで散々劇中でビ
 
ートルズの楽曲に触れてはいましたが、どれもジャックによるいわゆるカバーだった
 
のですが、遂にエンドクレジットでビートルズ自身が演奏する楽曲が流れます。 
 
まぁその素敵なことといったら、最後に本物を流すこの演出は、確信犯のもはや反則
 
技なのでした。
 
このビートルズ愛に溢れた物語に、適度に洗練されたダニー・ボイルのキレた編集と
 
撮影が融和され、良い意味で誰もが楽しめる作品に仕上がっています。
 
 
 
 
そうそう、ブルーレイにはちょっとアレンジを加えた別バージョンのエンディングも
 
あったりしますので、レンタルした方はご覧になってみると面白いかも知れませんよ
 
ビートルズをあまり知らない人でも楽しめて、笑い、音楽、恋愛、ドキドキと、色々
 
な要素が混じった正に、ザ・イギリスメイドのエンターテインメント映画 となってお
 
りますので、この機会にでも一度ご覧になってみて下さいませ、です。  目
 
では、また次回ですよ~!  パー
 
 
 
 

 

 

ヒメーシュ・パテルが歌うイエスタデイです。 何故こうも涙腺にくるのでしょうかね? 音譜