バイオリンを習っている少年サーシャは、近所の悪ガキたちにいじめられているところをローラーで整地作業をしていた青年セルゲイに助けられる。これをきっかけに親しくなったサーシャとセルゲイは、階級や年齢の差を超えて心を通わせていくが、。

 

 

 

 

 

 

こちらは1960年制作の ソビエト連邦  映画です (46分)

 

惑星ソラリス」 「鏡」 の アンドレイ・タルコフスキー監督の処女作で、当時28

 

歳だった映画大学での卒業制作として作られたものが本作となります。

 

 

 

 

 

 

  7歳の少年サーシャは家を出ていつものようにバイオリンの授業へ向かいますが

 

近所の悪ガキ達にいじめられてしまいます。 それを見ていた労働者の青年セルゲイ

 

に助けられたサーシャは、バイオリンの授業を終えてセルゲイの元へとやって来ます

 

道路の舗装工事のローラーに乗せてもらったり、バイオリンを聞かせたりと楽しい時

 

間を過ごす二人。 明日には別の現場に移動してしまうと聞いたサーシャは、セルゲ

 

イの仕事が終わった後に映画へ行く約束を交わしますが、、。 というお話です。

 

 

 

 

 

 

7歳のサーシャと労働者の青年のただの半日を描いた本作は、後のタルコフスキーに

 

はない素朴さと温かさに溢れた作品で、ソビエト時代の人々の日常も垣間見えます。

 

鮮やかでいて柔らかな色彩で撮られた映像は美しく、既に監督の代名詞となっている

 

水や鏡というモチーフによる光の演出がどこか物語の儚さを醸し出しています。

 

「ローラーとバイオリン」 というタイトルが示すように、労働者と富裕層の互いの身

 

分を表すアイテムによって心を通わす場面は印象深く、道路工事のローラーに乗せて

 

もらったサーシャの得意げな表情と、彼が弾くバイオリンの音色を聴くセルゲイの夢

 

見るような表情は、互いの違う世界を共有した喜びに満ちているようで、心が温かく

 

なります。

 

 

 

 

 

 

バイオリン教室の待合室で、同い年位の少女とのリンゴの可愛らしい駆け引き場面に

 

キュンとした私でありました。 りんご

 

映画の最後は、サーシャとセルゲイの夢の時間が現実に阻まれるという、ほろ苦い

 

終焉を迎える事になりますが、それでもサーシャの夢がつづくというエンディングに

 

は微かな希望が見えて、儚い物語ながら、どこかほっこりする所も感じる後味を残し

 

ます。

 

 

 

 

 

 

7歳のサーシャの美しく儚い夢のような時間、小さな小さなお話ですが、子供から見

 

た大人って、社会って、世界って、が詰まった物語です。 巨匠となる前の可愛らし

 

い小品で、タルコフスキーの若い感性とヒューマニズムも堪能出来る作品ですので

 

機会があればご覧になってみて下さいませ、です。  目

 

では、また次回ですよ~!  パー