幼い頃にふと迷い込んだ遊園地のミラーハウスで、自分とそっくりな少女に遭遇した、という恐怖体験がトラウマとして残るアデレード。今は夫と2人の子どもたちと幸せな家庭を築いていた。 夏休みに家族と共に幼少期に住んでいたカリフォルニア州サンタクルーズの家を訪れた彼女は、ある出来事をきっかけにかつての恐怖が甦り、説明のつかない不安に襲われる。 その夜、家の前に自分たちとそっくりな4人家族が現われ、突如アデレードたちに襲いかかってくるのだったが、、。

 

 

 

 

 

 

こちらは2019年制作の アメリカ映画 アメリカ です。 (116分)

 

前作 「ゲット・アウト」 でアカデミー脚本賞を受賞した ジョーダン・ピール監督脚

 

本による2作目のホラー作品です。

 

 

 

 

  大まかなストーリーは 上矢印 をご覧頂くとして、予告等からちょっと期待していた

 

作品でした。 が、残念ながら個人的な期待を超える程のサプライズはありませんで

 

した。

 

 

 

 

本作は自分達そっくりのクローンに家族もろとも乗っ取られるというシンプルで楽し

 

そうなお話ですが、監督の作風でしょうか、かなりまわりくどいホラー風社会風刺劇

 

というスタイルがちょっと日本人の私にはすんなりと入ってこない所が多々ありまし

 

た。

 

 

 


映画が始まって30分、設定や伏線の紹介がつづき、ほぼ何も起こりません。 退屈

 

し始めた頃やっとクローン家族が登場し物語が動き始めますが、停電した室内で多く

 

の事が展開する為、それがほぼほぼ見えない~ビックリマークのでありまして、こちらで想像力を

 

働かせる必要に迫られます。 この画的に暗くて見ずらい苦行が映画の3分の1程を

 

占めるのが結構なストレスです。 

 

 

 

 

同様にストーリーと設定にも観客側のイマジネーションによる補足が必要とされま

 

す。あれって?そこって?これって?と疑問で立ち止まったら振り落とされてしまい

 

ますので注意しなければなりません。 DASH!

 


 

 

特に本作では、物語に重要なモチーフがちょっと分かりずらかったりします。 度々

 

登場する エレミヤ書第11章11節 という旧約聖書の一節や、クローンが大勢で手を繋

 

ぐ Hands Across America (ホームレスの人々への支援基金を集めるための運動)と

 

いうアメリカ人にしか馴染みのないものが多々あり、日本人がサラっと観るにはノイ

 

ズになりちゃんと理解する為には調べる必要があります。そこまでする必要は感じま

 

せんが、、

 

 

 

 

寓話的でファンタジックなお話ですが、ちょこちょこ挟まれるリアリティが利いてい

 

ます。オープニングのウサギ小屋、鏡に映る自分、11という数字、双子、ハサミ、

 

といったものが 光と闇、裏と表 というテーマとリンクしていて細部のこだわりを感じ

 

ました。 

 

 

 

 

反面、エンディングの展開はオープニングである程度の説明がされてしまっている為

 

におおよその予測がついてしまうのが少々残念ではありましたが、映画マニア的な小

 

ネタや、時々挟まれるブラックな笑が良いアクセントになっていて楽しめます。

 

 

 

 

ホラー映画というパッケージを被った本作は、クローンの家族という象徴を通じて、

 

アメリカの多くの貧困層の上に成り立っている一部の富裕層に対するアンチテーゼが

 

込められています。 

 

 

 

 

クローンが言う 「私達はアメリカ人だ!」という言葉は、同じ世界でも生まれた環境

 

によって、既に人生の大半が決まってしまう現在の社会の仕組みの恐ろしさを表して

 

いるようで、その真意には誰でも共感出来るのではないでしょうか?

 

 

 

 

幸せ家族を襲う 「ファニーゲーム」 や 「ストレンジャーズ」 のような侵略ものだと

 

思ったら、「武闘派地下パラサイト一家」 だったというお話でございました。 滝汗

 

 

 

 

キャ~!というタイプのホラーではありませんが、観終わった後にジワ~っと来る寒

 

さ。重いテーマをホラー映画に見立てた本作ではありますが、難しい理屈は置いとい

 

ても楽しめる作品だと思いますので、機会があればご覧になってみて下さいです。 

 

では、また次回ですよ~!  パー