ニュージャージー。女性警察官を20年以上も続けてきたローレルは自分がレズビアンであることはひた隠しにしていた。そんなある日、ステイシーという若い女性と出会い、恋に落ちる。やがてローレルは郊外に一軒家を購入し一緒に暮らし始めるが、突然ローレルが病に倒れ末期ガンと診断される。自分がいなくなってもステイシーが家を売らずに暮らしていけるよう、遺族年金を遺そうとするローレルだったが、異性パートナーには当たり前に認められる権利が、同性同士であることが理由で拒否されてしまう、、。

 

 

 

 

 

 

こちらは2015年制作の アメリカ映画 アメリカ です。(103分)

 

2007年に制作されたドキュメンタリー映画 「Freeheld」  こちらはアカデミー短

 

編ドキュメンタリー賞。 サンダンス映画祭で特別審査員賞を受賞しています。そのド

 

キュメンタリーを元に長編ドラマ化したものが本作になります。

 

 

 

 

  大まかなストーリーは 上矢印 をご覧頂くとして、映画は社会的マイノリティとされ

 

るレズビアン(ゲイ)カップルの二人が、ただただ普通で当然の 「平等な権利と正

 

義」 を求めるというお話です。 チョキ

 

 

 

 

作品の主人公ローレルは勤続23年の女性警官。 職場はほとんどが男性で、同僚も

 

男性、いわゆる男性社会です。 職場でマイノリティな立場にある彼女は、若い頃から

 

自分がゲイである事に悩み、社会生活する上で不利になる同性愛をひた隠しにして生

 

きて来ました。 そんな彼女がステイシーという年下の女性と出会います。 

 

 

 

 

普通の男女の出会いとは違う、強いシンパシーに惹かれたローレルとステイシーは家

 

を買い二人で暮らす事になります。  やっと本当の愛と生活を手にしたと思って

 

いた矢先、ローレルに末期の肺ガンが見つかります。 彼女は自分が死んだ後でもステ

 

イシーがこの家で暮らせるようにと遺族年金の受け取り人にしたいと思いますが、二

 

人の暮らすオーシャン郡では、5人の委員で構成され​​​​​た郡政委員会によって、結婚し

 

たパートナーでないという理由で却下される​​​​​てしまいます。 

 

 

 

 

これを知った同僚のデーン刑事は、直接委員会で直訴を提案し、ローレルも訴えます

 

が却下されます。 この事はニュースとなり、意図しない同性愛者支援団体も巻き込

 

む事態にと発展していく事になっていきます。映画は当然の権利が、同性愛者という

 

だけでないがしろにされる社会の仕組みの不条理さというマクロな視点と、平等と正

 

義を望むだけの二人のミクロな視点の両方から描かれています。

 

 

 

 

主人公の二人が声高に同性愛を訴えるのではなく、ただただ平等な権利を望んでいる

 

という姿勢に好感を持つ作品です。 ローレルを演じるジュリアン・ムーアはいつも

 

ながら巧みです(ご本人を真似た髪型の為か、時々マドンナに見えた私)。ステイシ

 

ーを演じるエレン・ペイジは本作で製作にも携わり、カミングアウトもされている事

 

からも、この映画は特別なものだったでしょうね。(ボーイッシュな所作と衣装、そ

 

しておでこが印象的でした) 

 

 

 

 

本作は二人以外にも、同僚で人情派のデーン刑事の活躍が多く描かれ、彼の第三者の

 

視点によって観客は物語の進行を見る事になります。 これを演じるのが強面マイケ

 

ル・シャノンという所が絶妙な配役です。そして良い意味でも悪い意味でもかき回し

 

てくれる支援団体のリーダーを演じるスティーヴ・カレルが良いアクセントになって

 

いました。

 

 

 

 

他の細かな場面も印象深いものが多く、自分もゲイである事を言いだせないイケメン

 

の同僚刑事や、なんだかんだ文句を言いつつも休暇を分けてあげる毒舌同僚、娘から

 

駄目だしされる委員メンバー、ステイシーを受け入れてくれる修理工場のボス、ラス

 

トの写真等、これでもかの反則技もあります。強いて言えばローレルとステイシーの

 

ドラマをもう少し観たかった部分もありますが、、。( 家をリフォームしたり、新居

 

をレイアウトしてる時ってワクワクするよね~ )

 

 

 

 

ドキュメンタリー作品をあえてドラマ映画にする必要があるのか?という疑問もあり

 

ますが、このような映画になった事で観る機会が出来たり、より多角的で映画的な表

 

現によって伝わるものもあると思います。 エンディングの浜辺のシーン等は映画的

 

表現の典型です。   何よりもそれによって多くの間口が広がり、この実際の物語

 

をより多くの人が観て知る機会が増える事が最も重要な事のように思えます。

 

 

 

 

様々な人が様々な意見をお持ちであろうこの問題ですが、この映画をご覧になって、

 

少しでも考える機会になれば、それがこの作品の存在意義だと思いますので、この機

 

会にでもご覧になってみてはいかがでしょうか?です。  目

 

「俺はしばらく部屋に籠る、誰が外出しようが俺は気付かん」

 

では、また次回ですよ~!  パー

 

 

 

 

 

 

 

実際の本人達を追ったドキュメンタリー映像です。 参考にでもご覧下さい。 虹