クリスマスの夜、突然発生した雪の竜巻に飲み込まれ、ドロシーは魔法の国に迷い込む。故郷に帰るためには、エメラルド・シティに住むという魔法使いウィズに会わなくてはならない。ドロシーは道中で出会ったカカシ、ブリキ男、ライオンと一緒に不思議な旅をすることに、、。

 

 

 

 

 

 

こちらは1978年制作の アメリカ映画 アメリカ です。 (134分)

 

1900年の児童文学 「オズの魔法使い」 を1974年にアフリカ系アメリカ人出演

 

者によってブロードウェイミュージカル化した作品 「ザ・ウィズ」 を映画化した本作

 

 

 

 

レコードレーベルのモータウンが制作に関わった事もあってか、主人公のドロシーを

 

ダイアナ・ロスが演じ、後に本作の目玉?となった、ソロ活動前の マイケル・ジャク

 

ソンが案山子役で出演しています。 

 

 

 

 

この作品で音楽監督をしているクインシー・ジョーンズ (劇中カメオ出演されてお

 

り、金ピカタキシードでエルトン・ジョンのようなピアノを弾いていました) とマイ

 

ケルが出会うきっかけになった記念的作品でもあり、この出会いによってマイケルの

 

初ソロアルバム 「オフ・ザ・ウォール」 「スリラー」 「BAD」 とコンビ作を制作

 

する事になります。  

 

 

 

 

  映画のおおまかな設定は「オズの魔法使い」をそのままなぞっています。 

 

ドロシーはトルネードに襲われて気を失い、愛犬のトトとともに魔法の国オズへ運ば

 

れてしまいます。 そこで出会った北の良い魔女はドロシーに銀の靴を与え、「黄色

 

のレンガ道をたどってエメラルド・シティに行き、魔法使いのウィザードに頼めば帰

 

れるだろう」と ドロシーに助言します。 

 

 

 

 

旅の途中でドロシーは (知恵が欲しい) 知恵がない案山子、(心が欲しい) 心を持

 

たないブリキ男、(勇気が欲しい) 臆病なライオンと出会い、それぞれの願いを叶え

 

てもらう為に4人と一匹は、エメラルド・シティを目指し絆を深めながら旅をともに

 

するというお話です。 虹

 

 

 

 

映画「オズの魔法使い」と大きく異なる部分は、出演者が全てアフリカ系アメリカ人

 

によって演じられている事、舞台がカンザスの田舎からニューヨークに変更されてい

 

る事、主人公ドロシーが少女から、24歳の大人の女性に変更されています。 

 

 

 

 

クインシー・ジョーンズが音楽監督をしている事もあり、楽曲はかなりソウルフルで

 

乗りやすい曲が多く楽しめます。中でも旅のテーマ曲ともいえる「Ease on Down 

 

the Road」は聴いているだけでハッピーな気分になる位の名曲です。 ルンルン

 

 

 

 

楽曲に負けじとセットもかなり豪華に作られている所も見物で、舞台のニューヨーク

 

をデフォルメした大掛かりなセットやダンス。 ニューヨークの実景を魔法の国オズに

 

見立てた場面等、視覚的にも見所満載です。 

 

 

 

 

そんな見所の沢山ある映画「ザ・ウイズ」ですが、少々残念な所もあります。 それは

 

主人公ドロシーを演じるダイアナ・ロスの微妙な年齢設定です。 元々ドロシーは10

 

代という設定でしが、映画化に興味を持ったダイアナ・ロスから強いプッシュがあっ

 

た事でドロシーは彼女に決定。 

 

 

 

 

その為か映画化の際にドロシーの年齢は24歳に変更されます。 それを演じるダイア

 

ナ・ロスは当時33歳、これがそもそも映画のストーリーに合致しなくなってしまい

 

ました。 成人を過ぎた女性がオズの国に迷い込み、「家へ帰りたい」と奮闘する姿

 

はかなり滑稽ですし、それを上回るダイアナ・ロスの年齢で少女のような演技やリア

 

クションを見せられると、こちらが照れてしまいます

 

 

 

 

そのギャップを常に感じながら鑑賞するものですから、このドロシーという無邪気な

 

キャラに同情や感情移入をする事が出来るはずもなく、残念ながら魅力を感じられま

 

せんでした。

 

 

 

 

もう一つはミュージカル映画でありながら、ミュージカル場面に躍動感が感じられな

 

い事です。 この大きな原因は撮影にあるように思いました。 壮大な人数と舞台で繰

 

り広げられるダンスシーンを客観的な視点と俯瞰で撮影されているカットが多く、主

 

人公達の感情に寄り添ったエモーショナルな撮影がなされていないのです。 

 

 

 

 

時折主人公目線で見えるショットは魅力的で素敵なのですが、多くは主人公達の動き

 

を、ただ眺めているような冷めた視点を感じるようなものが多くありました。 真顔 

 

 

 

 

これを監督されているのが大好きなシドニー・ルメット。「十二人の怒れる男」「オ

 

リエント急行殺人事件」「セルピコ」といった名匠ですが、ミュージカルとの相性は

 

悪かったようです。 もやもや

 

 

 

 

そんな中にあっても光っているのがマイケル・ジャクソンの歌とダンスです。映画の

 

中で彼がダンスを始めると視線はマイケルに釘付けになり、他はどうでもいいから彼

 

のパフォーマンスをもっと見たくなってしまう程、既にこの時点であのマイケル・ジ

 

ャクソンとして完成している凄さと、スターという存在を感じさせます。 流れ星  

 

何故か懐かしの「キャプテンEO」 をまた観たくなった私でした。

 

 

 

 

子供が観るにはダーク過ぎて、大人が観るにはやや幼稚な感がするこの映画って、

 

何処がストライクゾーンの年齢なのかは謎ですが、それも良しといたしませう。

 

 

 

 

「ザ・ウィズ」という異色コンセプトのミュージカルを、より異色な映画にした本作

 

は、色々な意味でも見所が満載した一種のカルト的映画でもあります。 

 

 

 

 

見ようによっては、ニューヨークという町がカオスなオズの国のようにも見えてくる

 

作品で、ブリキ男、ライオンとなかなか魅力的なキャラクターも多数登場します。 個

 

人的にはバイクで追いかけて来るゴリラ軍団がお気に入りでしたが、、。   

 

 

 

そんな訳で、豪華絢爛な異色ミュージカルに仕上がった本作。 マイケル・ジャクソン

 

を見るだけでも価値はあると思いますので、機会があればご覧になってみて下さいま

 

せです。

 

では、またですよ~!  パー

 

 

 

 

 

 

 

「虹の彼方に」 は登場しませんが、この曲を聞くとワクワクする魔力があります。 音譜