パスクァーレとジュゼッペは、貸し馬屋の馬を買い取ることが目標。 靴みがきだけでなく、物資の横流しや女占い師を騙すのを手伝って得た金で、念願の馬を買って乗り回すが、翌日、警官を連れた占い師に見つかり補導される。が、彼女がジュゼッペの兄たちに奪われた額は二人の聞かされていた額を遥かに上回り、彼らは拘置所生活を送る事になる。約束通り、取り調べにも口を割らずにいた二人だったが、やがて、ジュゼッペが拷問を受けていると思い込んだパスクァーレが供述してしまい、二人の間にひびが入ってしまうが、、。

 

 

 

 

 

 

こちらは1946年制作の イタリア映画 イタリア です。 (93分)

 

カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭で最高賞に輝き、アカデミー外国語映画賞も

 

受賞されているイタリア映画界の巨匠で、俳優でもあるイタリア・ネオリアリズムの

 

代表的な映画監督 ヴィットリオ・デ・シーカ の代表作の一本の本作。

 

 

 

 

  戦後間もないイタリア。占領軍のいるローマで パスクアーレ と ジュゼッペ の二

 

人は靴みがきをやりながら家計を助けながらもお金を貯め、貸馬屋の馬を買いとる事

 

を夢見ていました。    ある日、ジュゼッペの兄に占領軍闇物資の毛布を売りに行

 

く仕事を頼まれた二人は、指定された老女の家で毛布を売り、思いがけないお金を報

 

酬としてもらいます。  札束

 

 

 

 

その手に入れたお金で念願の馬を手にした二人でしたが、夢のような時間は儚く終わ

 

り二人は警察に逮捕されてしまいます。 それはジュゼッペの兄と仲間が老女を騙した

 

犯罪に、知らぬ間に加担させられたものでした。 二人は固く口止めさせられる事に

 

なり、子供ばかりが集められた収容施設に入る事になってしまいます。 

 

 

 

 

監房は5人づつに分けられ、パスクアーレとジュゼッペはそれぞれ他の子供が居る、

 

別々の監房に入る事になります。 尋問されても真実を語らない二人でしたが、パス

 

クアーレはジュゼッペが拷問されていると騙され、つい口を割ってしまうのでした。 

 

その真相を知らないジュゼッペはパスクアーレが裏切ったと思い、二人の仲は険悪に

 

なってしまいます。

 

 

 

 

別々の監房に居る為、話が出来ない二人。 同じ監房に居る子供同士のやりとりが互い

 

の思考を盲目にしてゆき、ジュゼッペの房では脱走計画の話が進んでいくのでした。

 

 

 

 

そして遂に、パスクアーレとジュゼッペの裁判が行なわれ、それぞれ2年と1年とい

 

う刑期が言い渡されてしまいます。  そして収容施設で余興の映画上映がされた日、ジ

 

ュゼッペの房で計画されていた脱走計画が実行される事になるのですが、、。

 

 

 

 

といったお話で、終戦後、幼い子供ですら外でお金を稼がなければならないという状

 

況の混乱が、切なくもたくましく描かれています。

 

 

 

 

そもそもジュゼッペの兄の詐欺に巻き込まれてしまった犠牲者の二人ですが、健気に

 

も約束を守り通そうとする姿に心打たれます。 そして、パスクアーレが口を割ってし

 

まったのも、ジュゼッペを殴っているように見せかけて、実は隣の部屋で布袋をムチ

 

打ち、ハッ別の子供に叫び声をアテレコさせる カラオケ という非情で古典的な手法を使

 

った、汚い心理作戦でありました。

 

 

 

 

ジュゼッペを助けようとするパスクアーレの良心が、結果的に二人の信頼関係にひび

 

と、深い溝を作る大きな要因となってしまう事は、兄弟以上の関係性を持った二人を

 

知る観客からすると心が痛む悲劇です。

 

 

 

 

主人公であるパスクアーレとジュゼッペのを演じる二人も見事ですが、この作品に登

 

場している子供達の、いかにも当時の子供という存在感と個性も素晴らしいものでし

 

た。戦争で犠牲になるのは常に弱者であり、その最たるものが幼い子供達。そんな過

 

酷な生活の中ですら、馬を買うという夢を持つ二人。 

 

 

 

 

しかし、貧しく純粋な故にやっと手に入れた馬すらも大人の欲望の為に奪われてしま

 

う無慈悲な現実。 

 

 

 

 

子供が夢見る自由と、生命力の象徴で、時に神の視点のような存在の馬が去っていく

 

ラストと、オープニングの二人の無垢な笑顔の対比に、戦争という行為が持つ多大な

 

影響と無意味さを嫌でも感じさせられる作品です。

 

 

 

 

映画後半で、施設の責任者が不慮の病によって亡くなった子供に寄り添う場面で言

 

う、「明日はもうここに来ません。もっと強い人間でないと、ここの仕事は勤まりま

 

せん。私には無理です、、。」というセリフに微かな良心が垣間見れた気がしました

 

 

 

 

センチメンタルな感情を廃し、徹底的に客観視した作りである分、観客に多くを訴え

 

かけてくる映画となっていますので、機会があればご覧になってみて下さいです 目

 

では、また次回ですよ~!  パー