オランダ国境に近い北ドイツ、カリガリ博士は眠り男チェザーレの予言を看板にした見世物をカーニバルに出している。友人アランを連れ、その小屋を覗いたフランシス。友人は調子にのって自分がいつまで生きられるかを眠り男に尋ねるが、答えは“明日の朝まで!”。本当に彼は翌日には殺されており、フランシスは疑惑究明に乗り出すが、、。

 

 

 

 

 

 

こちらは1919制作の ドイツ映画 ドイツ です。 (48分)

 

製作されて100年経つサイレント作品ですが、映画史を語る上では外せない記念碑

 

的な一本で、現在多く氾濫するホラー映画の原点ともいえる本作。 数年ごとに見返

 

したくなるようなクセになる作品でもあります。

 

 

 

 

  ドイツのある村 ベンチに座る老人とフランシス。 「私は亡霊のおかげで家族を

 

捨てざるをえなかった」 と語る老人。 そこへフランシスの婚約者ジェーンがやって来

 

ます。老人に婚約者を指さしたフランシスは 「僕と彼女の体験は、あなたの物語より

 

も恐ろしい」 と告げ、彼の故郷での出来事を話し始めます。

 

 

 

 

彼の回想となり、故郷のハレシュテンバルという町へと物語は移りますが、ここから

 

本作の代名詞ともいえる ドイツ表現主義的手法を用いたセットの中でお話が進みます

 

ドア、柱、壁、煙突、屋根、テント等のほとんどが歪んだ状態で、平衡感覚すら失わ

 

れそうな美術デザインです。  

 

 

 

 

故郷ハレシュテンバルではカーニバルが開かれる事になり、カーニバルの営業許可を

 

もらう為に男が役所へとやって来ます。 黒いハットにマントを身に着けた怪しげなそ

 

の男は、カリガリ博士と名乗り、夢遊病者の見世物を申請します。 その夜、役所で

 

カリガリ博士の対応をした役人が何者かによって殺されているのを発見されます。

 

 

 

 

そんな事件を知らないフランシスは友人のアランとカーニバルへ出かけます。二人は

 

そこである見せ物のテントに入ります。 その中では カリガリ博士 が、夢遊病者チェ

 

ザーレを、25年の眠りから覚めさせる という見せ物を披露していました。

 

 

 

 

カリガリ博士は客前でチェザーレを目覚めさせ、「彼は全てを見通す事が出来ます。

 

将来を占ってもらいなさい」 と客達をあおり、アランはチェザーレに自分の寿命を訊

 

ねます。 アランを見たチェザーレは、「短命だ、夜明けには死ぬ」と告げます。 ショ

 

ックを受けるアランでしたが、本気にはしませんでした。

 

 

 

 

 しかし翌日アランが殺された事をフランシスは告げられ、昨日の出来事を警察へ通報

 

しに訪れ、捜査を依頼します。同時にフランシスはカリガリ博士の自宅を訪れ、チェ

 

ザーレを調べようとしますが、その時、殺人犯人逮捕の知らせが入るのでした、、。

 

 

 

 

物語を回想形式によって展開させるという構成は当時では斬新だった事でしょうし、

 

中盤で誤認ながらも犯人逮捕させるという手法、見張っていたものが!といった仕掛

 

け、モノクロを活かした影の表現や、画面上に現われる文字での表現、

 

 

 

 

そして前述したとうりの、あえてミニマム感漂うシュールな歪んだ美術セット、この

 

セットは美術的な表現でもありますが、映画の物語上、大きな意味をもつ視覚的表現

 

だった事が、後から分かる仕掛けにもなっているという驚きがあり、今日でも様々な

 

作品で見かけられます。

 

 

 

 

正直、ホラー映画として現在観ても怖いか?と聞かれると微妙ではありますが、映画

 

が好きな方がご覧になると、かなり多くの事を発見させられる作品ですし、時代を超

 

越した映画的な文法や表現が既にここに詰まっている事に気付き驚かされます。

 

 

 

 

私がレンタルしたバージョンには、ピアノによる伴奏が入っているものでしたが、こ

 

の演奏もなかなか好みで、場面によってはやや違和感がありましたが、素敵でした。

 

本作にはリストア版もあるようなので、それも見てみたいと思う今日この頃。

 

 

 

 

映画自体がタイムマシンのようで、異次元体験も同時に出来ますので、このシュール

 

なアートとエンタメが混ざり合った映像世界を一度ご覧になってみてはいかがでしょ

 

うか。

 

では、また次回ですよ~!  パー

 

 

 

 

 

 

 

 

これもある種の表現主義? 昔、勝手に作った 高橋幸宏 MV お時間あればです。  音譜