2011年7月22日、ウトヤ島でノルウェー労働党青年部のサマーキャンプが行われていた。そこでは政治に関心のある数百人の若者たちが思い思いに国の未来について語り合っていた。そんな中、首都オスロの政府庁舎前で爆破テロ事件が発生したとのニュースが飛び込んでくる。妹と一緒に参加していたしゅも、不安を感じながらもオスロから40キロ離れたウトヤ島とは関係ない出来事と考えていた。ところが突然、銃声が鳴り響き、人々がパニックに陥る。カヤも何が起こったのかわからないまま、仲間たちと森へ逃げ込む。やがて鳴り止まない銃声に恐怖を覚えながらも、離ればなれとなった妹を必死で捜し始めるカヤだったが、、。

 

 

 

 

 

こちらは2018年制作の ノルウェー映画  です。 (97分)

 

私が大好きな実話ベースの作品ですが、正直このような事件があった事は知りません

 

でした。 それだけでも、この映画を観た価値があったと思える作品です。

 

 

 

 

  事件の概要ですが、2011年7月22日 午後3時半頃、ノルウェーの首都オス

 

ロの政府庁舎前で車に仕掛けられていた爆弾が爆発します。 この爆弾によって8人の

 

市民が亡くなりました。

 

 

 

 

同日の7月22日 午後5時頃、オスロから40キロ離れたウトヤ島でノルウェー労働

 

党青年部のサマーキャンプが行われていました。 参加者は約700名で10代の若者

 

が多く参加していました。 

 

 

 

 

そこへ警察官の制服を着用し、ボートで島に上陸した男がオスロで起こった爆破テロ

 

捜査を口実に参加者を整列させ、銃を乱射します。  銃  最終的にこの銃撃は約72

 

分程つづき、サマーキャンプに参加してた10~20代の男女の若者たち 69人が死

 

亡しています。 

 

 

 

 

本作はこのウトヤ島で起こった事件を生存者の証言を基に脚色したもので、登場人物

 

等は架空となっています。 映画は物語の主人公となる少女カヤが体験する出来事を

 

主観として、カメラが最初から最後までカヤの行動を追っていくPOVの手法で撮ら

 

れ、事件発生からラストまでの72分をワンカットで撮影されています。  

 

 

 

 

映画のオープニングは実際のオスロ政府庁舎前の爆破テロの映像で始まります。

 

そのテロの数時間後、キャンプで事件を知る参加者達。 カヤもその一人でした。勝手

 

な行動をとる妹をテントに残し、友人と会話をしていた時に破裂音を聞きます。 ドンッ  

 

 

 

 

不安に思っていると、森の方から逃げて来る多くの参加者達。 銃撃だという声を聞

 

き、皆で建物に避難します。 外では銃声が響き、パニック状態になるカヤ達。 建物

 

の中は危険と判断した皆は、森の中へと逃げ身をひそめます。 しかし、妹の安否が気

 

になるカヤは一人テントへと向かいます。 

 

 

 

 

とり残された少年を逃げるように諭し、テントへ戻りますがそこに妹の姿はありませ

 

んでした。 銃声は鳴りつづけ近づいてきます。 妹の安否を気遣いながらカヤも森の中

 

へと入っていくのですが、、。 といったお話です。 

 

 

 

 

劇中、犯人のらしき影は映されますが、ほとんどは銃声の響きだけでその存在を確認

 

する事になり、実際それに巻き込まれた恐怖を同時体験する事になります。

 

 

 

 

実際は一人の犯行でしたが、被害の当事者は犯人の人数も分からず、警官の格好を

 

していたという口伝えの情報もあり、居合わせた人達の精神的状態がいかにパニック

 

だったかがリアルに伝わり、自分だったらどう行動するかを嫌でも考えさせられます

 

犯人の姿が見えず、銃声の音だけが響く現場の描写に音楽は一切使用されておらず、

 

銃声と無音のコントラストの連続が不気味です、銃声は人を殺傷している音だと想像

 

すると、より犯行の恐ろしさと犯人の非情さが増幅します。

 

 

 

 

ただ、映画としては微妙な所もある事は事実で、72分ワンカットをリアルな臨場感

 

と捉えるか、ワンカットという事に縛られた、と否定的に捉えるか、そのどちらの要

 

素も含まれた仕上がりになっています。 姉妹という設定は、人間の極限的状況下で

 

の根源的な良心を描く為には効果的だったと思いますし、共感出来るものでした。 

 

 

 

 

それに比べ、後半の友人男性とのメロドラマ風のやりとりにはかなり違和感があり、

 

緊迫した作品のトーンにブレーキを掛けてしまったようにも感じました。 それあって

 

の次の場面だったのかもしれませんが個人的にはモヤってしまいました。 もやもや

 

そんな良い面と悪い面が混在するワンカット72分。 その技術的な苦労と工夫は十分

 

伝わりますし、ワンカットでしか出せない臨場感の説得力は凄いものがあります。

 

 

 

 

現場が島という事もあり、逃げ場は多く感じますが、後で調べてみたらウトヤ島の広

 

さは東京ドーム2つ程の小さな島だったという事を知り、より恐ろしさが増しました

 

この2つのテロ攻撃を行ったのは32歳のノルウェー人のアンネシュ・ベーリング・

 

ブレイビクという一人の男です。 

 

 

 

 

両テロ事件で亡くなったのは77人、負傷者は99人、深刻な心的外傷者は300人

 

を超えるというものですが、なんと逮捕された彼は、オスロ司法裁判所で、21年の

 

禁固刑 (ノルウェーにおける最高刑) という有限刑になっていて、刑期が満了するそ

 

の日まで、現在も刑務所に収監されています。ドクロ

 

 

 


このような恐ろしいテロ事件に居合わせた人々、そして自身がその立場になったら一

 

体どうするのか? そんな事を疑似体験させてくれる映画です。 もしどのような事が

 

行われていたのか、どのような事件だったのか、興味がありましたらご覧になってみ

 

て下さいませです。  目

 

では、また次回ですよ~!  パー