館山城主・里見成義の一人娘・静姫は叔父のもとへと逃避行を続けていた。突如、黒装束の騎馬侍達が前ぶれもなく城に攻め入り、成義以下を皆殺しにしたのだった。城を奪った男・蟇田素藤は、かつて成義の父・義実が征伐した蟇田定包の子であり、その時死んだ筈の素藤と彼の母・毒婦玉梓は悪霊“御霊様”に仕えることによって、不死身の身体をもつ妖怪となって蘇ってきたのである。そして静姫の生き血を“御霊様”に捧げるべく、彼女の行方を血まなこになって探していた、、。

 

 

 

 

 

 

こちらは1983年制作の 日本映画 日本 です。 (136分)

 

江戸後期、曲亭馬琴によって書かれた 南総里見八犬伝 を翻案した鎌田敏夫による

 

新・里見八犬伝 を基に映画化した 深作欣二監督作品でございます。

 

公開後のテレビ放送で、何度かチラ観した作品を、今回DVDで鑑賞してみました。

 

 

 

 

  原作をかなりアレンジした本作の大まかなお話は、その100年前にさかのぼり

 

ます。 当時の君主 蟇田定包は悪政をし、民を苦しめていましたが、里見義実の率いる

 

里見の一軍に攻め滅ぼされます。 定包は首を討ち取られ、玉梓は息子の素藤と赤ん坊

 

だった次男とともに燃え盛る城で焼け死にます。 メラメラ その時、玉梓は 「子々孫々の

 

代まで呪ってやる」 という恐ろしい呪い言葉を残します。 

 

 

 

 

その呪いの為か、間もなく里見家は落城の危機に瀕し、追い詰められた義実は、飼い

 

犬の八房に「敵将の首を討ち取れば娘の伏姫をお前にやる」と戯言を言います  

 

不思議な力を持つ八房は、その言葉通り敵将の首を持ち帰り、里見家は戦さに勝利し

 

ます。 心優しい伏姫は、君主の言葉に嘘があってはいけないと考え、八房とともに城

 

を去ります。 

 

 

 

 

義実は伏姫を取り返そうと、鉄砲隊が八房を撃ちますが、伏姫が八房をかばって命を

 

落としてしまいます。その時、伏姫の体から八つの光の玉が飛び出し、その光の玉を

 

手にした八人の剣士が里見の姫を守るという伝説が生まれます。 

 

 

 

 

それから100年後 玉梓は妖怪となって蘇り、闇の軍団と呼ばれる手下を率いて里見

 

の城を攻め滅ぼします。 里見一族の首は玉梓によって討ち取られますが、静姫だけは

 

密かに逃げ延びていました。 

 

 

 

 

玉梓はすぐに追っ手を放ち、静姫の行方を捜し始めます。御供を追っ手に殺されなが

 

らも一人逃げる静姫の前に、山伏姿の男達が姿を現わします。その男達の手には伝説

 

の光る玉が握られているのでした、、。 キラキラ

 

 

 

 

本作は角川春樹立案の基、角川映画総決算作品として製作された作品で、里見八犬伝

 

をベースにしつつ、冒険活劇、チャンバラ、妖怪、ラブロマンス、ファンタジーとい

 

った、「面白ければ何でもあり」 な要素をふんだんに盛り込んだ作品となっています

 

その為か、「スター・ウォーズ」 「レイダース」 「七人の侍」 等で見かけたような

 

場面が、時々お顔を覗かせるのでしたが、、。 

 

 

 

 

それなりに楽しみながら、時代物を基盤に新しいアレンジで若い世代にも楽しめる作

 

品を作ろうという意気込みを感じる作品です。 ただ、公開当時から既に気になって

 

いた、全体に漂うチープさは、やはり揺ぎ無いものがありました。

 

 

 

 

本作でも模倣されている「スターウォーズ」 から6年後に製作されているものの、か

 

なり視覚効果に見劣りする場面が多々あり、昭和を代表するドライアイスが現役で活

 

躍しております。 

 

 

 

 

10億円という多額な製作費がかけられた作品の要のセットも、いかにもセット感が

 

強く、まるでショッカーが登場してもおかしくないような出来です。 ドクロ 

 

 

 

 

これはひとえに撮影と照明にあまり時間をかけなかったのでは?と思われ、アクショ

 

ン場面に於いても平坦に感じる構図が多く、まるで客席から舞台を観ているような印

 

象を受ける絵面で残念でした。 ひらめき電球

 

 

 

 

深作欣二監督の「粗さが」悪い方に出てしまった所が目立ちます。「仁義なき戦い」

 

等の映画ではその粗さが作品にマッチしていたのですが、微妙な心理描写や、画で伝

 

えるという事にあまり興味がないようにも感じました。 

 

 

 

 

音楽も同様に、若い世代受けを狙ったような、中途半端なロックを使ったり、(この

 

感じどこかで体験したな~と思い出したのが、テレビの「西遊記」1978版。こち

 

らの音楽はカッコ良かった) 安いシンセだったりと、(部分的にスター・ウォーズを

 

拝借していたのには笑えました) 今一つ統一性が無い為、やや鑑賞のノイズになりま

 

した。

 

 

 

 

どうせなら全てロックにするなりの潔さがあれば良かったのに、、。 こういう所に若

 

者と監督との世代ギャップを痛感してしまうのでした。 ロック=若者受け グッハッ

 

この感覚が「無理した年寄り感」を助長しております。

 

 

 

 

メインテーマになっているジョン・オバ二オンの曲の長さでラブシーンを編集してい

 

る為か、やたら顔のアップが延々と映されるというシュールなラブシーンが逆に見物

 

です。 ラブラブ 

 

 

 

 

豪華な出演陣の中でも、主演二人を喰っている怪演の夏木マリ。 いで立ちといい、存

 

在感といい、後の 「千と千尋の神隠し」 の 湯婆婆 にオーバーラップした私でした。

 

 

 

 

志穂美 悦子 と 萩原 流行 のラブシーンのような決闘場面のセットに、思いっきりクリ

 

ムトの 「キス」 まがいの絵が描かれているインパクト。 桜吹雪の尋常じゃない降り

 

方。

 

 

 

京本 政樹はこの当時からメイクが濃かったり、岡田奈々の方がお姫様向きなお顔だっ

 

たり、千葉 真一が本作ではあまりアクション無かったり、オープニングとエンディン

 

グのタイトルバックの画が新興宗教っぽくチープだったりと、、。

 

 

 

 

そんな事、十分承知の上じゃ~いビックリマークと、理解している包容力のある昭和世代には見ど

 

ころ満載な憎めない作品でもあります。 ちょっと情緒不安定な私です。 ニヤニヤ

 

豪華絢爛な闇の軍団の衣装、その反面、進歩していない、かなりぎこちない作り物感

 

があふれるクリチャー達。 これもご愛嬌と楽しむのが本作の醍醐味でございます。

 

 

 

 

初々しい真田広之の顔と太もも。 とにかく「丸」さを感じさせる薬師丸ひろ子のお

 

顔。ラスト、本作の中で最も優れたジョン・オバ二オンのテーマ曲に乗りながら、馬

 

で駆けて行く真田広之と薬師丸ひろ子の乗馬シーンで幕を閉じると、何か面白い映画

 

を観たような気がする不思議?。 これぞテーマ音楽の力を痛感させる THE角川作品

 

です。 ルンルン

 

 

 

 

映画同様、微妙な感想になってしまいましたが、良い所、悪い所もひっくるめて楽し

 

んでしまうのが、この映画の正しい見方かも知れません。 とにかく昭和世代には

 

様々な見所と鑑賞法(ツッコミながらでも)が出来る、憎めない映画である事は間違

 

いない映画ですので、この機会にでもあの時代を懐かしみながらご覧になってみては

 

いかがでしょうか、です。  目

 

では、また次回ですよ~!  パー

 

 

 

 

 

 

 

このテーマ曲を聞くと、良い印象しか蘇らない魔法のような曲でありますね。 音譜