エヴァとザックの兄妹は、両親と森の奥でひっそりと暮らしている。 実は兄妹には瞬間移動の超能力があり、その力を畏れる父ダニエルの意向で、外界から遮断された世界に秘匿されていたのだ。 母のエリザベスは病弱で、ダニエルはそれが子供達の反自然的な能力に対しての神からの罰だと信じ込み、能力を使うことを固く禁じていた。 しかしある日、兄妹は父の目を盗み超能力を使って家を抜け出す、、。

 

 

 

 

 

 

こちらは2015年制作の アメリカ映画 アメリカ です。 (91分)

 

「君の名前で僕を呼んで」 で注目を集めた ティモシー・シャラメのブレイク前の作品

 

です。ジャケットに SFスリラーとあり、掘り出し物の期待を込めてレンタルして

 

みました。

 

 

 

 

演劇  深い森に囲まれた僻地にアーミッシュのような生活をする家族が暮らしていまし

 

た。その一帯は高い塀に囲まれ、外の世界へ出る事は禁じられていました。 この不思

 

議な空間が、いつの時代のものなのか知らされないまま、お話は進みます。  

 

 

 

 

父と母、兄のザック、妹のエヴァ の4人家族の淡々とした生活が美しい映像で描かれ

 

ます。 この兄妹には特殊な能力が備わっていました。その能力は壁を抜け、短距離

 

をテレポートで移動できるというものでしたが、この能力に脅威を感じている封建的

 

な父からは、それを使う事を禁じられていました。 

 

 

 

 

ある日、母が痙攣を起こし倒れます。 その日から度々痙攣を起こすようになり、父の

 

介護も虚しく亡くなってしまいます。 母が亡くなったその夜、禁じられていた能力

 

を使って外に出ていたエヴァ。 それを知った父は激高し、ザックをクローゼットに

 

閉じ込め、エヴァを気絶させた上、舟に乗せ川へと流してしまいます。 

 

 

 

 

しばらくの間クローゼットに閉じ込められていたザックを解放した父は、エヴァは母

 

親と一緒に墓に入ったと偽ります。 父を責め、現実を受け入れられないザックと父

 

との亀裂は、修復出来ない程になってしまいます。 

 

 

 

 

一方、何日も舟で流されたエヴァは、何処かの川岸にたどり着き外の世界の住人に助

 

けられ病院のベットで目を覚ますのでした、、。

 

 

 

 

今作がデビュー作の アンドリュー・ドロス・パレルモ監督は元々映画の撮影が本業

 

で、その為、本作は美しく淡々とした映像で描かれていますが、やや難解でもありま

 

す。それは理解を越えた難解さというよりも、この映画のテーマがどこにあるのかが

 

分かりづらいというのが正直な所です。  

 

 

 

 

高い壁に囲まれた世界で暮らす兄妹が、封建的な狭い世界から自分達の能力を使い、

 

自由な世界へと脱却していくという物語ではありますが、今ひとつ私としてしっくり

 

こない所が多くある作品でした。キリスト教 や アメリカという国の比喩であると思え

 

る所もあるのですが、それでもやはりどこか ぼやけて しまっているようにも感じてし

 

まいました。 

 

 

 

 

この世界をそのままストレートに描く事も可能だったでしょうし、なまじっかテレポ

 

ートというSF的な特殊能力を持たせた事で、( この能力の設定が曖昧で、部屋から

 

出る時は使いますが、戻る時には使えないのか、家に入る時はドアから帰って来ます

 

 

 

 

このような説明の曖昧さが、ドラマ部分にもみられます。) 根幹をややこしく、見え

 

づらくしてしまった感があります。 特殊能力というのも、新しい人類の象徴としての

 

ものなのか、、はてなマーク

 

 

 

 

自給自足生活を描くゆったりとしたテンポと、エヴァの外世界との対比もしっくり

 

きませんでした。 兄妹の世界を自然の中でまったりと描がいても良かったでしょう

 

し、テンポアップすれば、気になった二人のその後も描けたのではなかったか?とも

 

思ってしまったのでした。 ( ストーリー自体には関係ありませんが、テレポートす

 

る瞬間のホ ッ! という効果音はちょっとクセになりましたが。) DASH!

 

 

 

 

作品としては、どっちつかずの出来となってしまった感がありますが、( あくまで私

 

にはですが ) ティモシー・シャラメ を堪能したい方には楽しめる作品だと思います

 

ので、興味のある方は一度ご覧になってみて下さいませ、です。  目

 

では、また次回ですよ~!  パー