バレリーナを目指すスージーはアメリカからドイツのバレエ学校に留学するが、到着早々、奇妙な出来事が次々と起こる。 さらに、天井から大量のうじ虫が落ちてきたり盲目のピアニストが盲導犬に噛み殺されたりと不可解な事件が続発。 やがて、この学校に隠された恐ろしい秘密が明らかになり、、。
こちらは1977年制作の イタリア映画 です。 (99分)
なんと!リメイク版を鑑賞して間もなく、T〇UTAYAさんの発掘良品コーナーに
登場した、4Kリストア版 の オリジナル 「サスペリア」。 意地悪なタイミングのリ
リースです。4Kといわれても自宅のモニターは 4K対応ではないのですが、まぁ綺
麗に見えるならいいや という事で、早速レンタルした私でした。
かな~りの昔、テレビで鑑賞はしていましたが、漠然としたイメージが残ってい
るのみで、ある種 初見の作品を観るような感覚で鑑賞できました。
本作に強い思い入れがないのが良かったのか、リメイクを先に観ていたのが良かった
のか、改めて観た本作のインパクトに驚いた私であります。 オープニングから不穏
な音楽がビンビンと流れ、アメリカからドイツの空港に到着した主人公の スージー
( 眉毛が印象的で、きゃしゃな体型はヒロインにうってつけです)の不安を煽ります
バレエの修行でドイツに訪れるわけですが、スージーが踊る場面はほぼなしの映画
空港の外は大雨。 ずぶ濡れになりながらタクシーを拾うもガン無視。 のっけか
ら これでもかのヒロインいじめであります。
タクシーで到着したバレエ学校の建物は真っ赤 もうそこから異様な空気がプンプ
ンです。 室内の内装もアールデコを基本としながらも、壁がこれまた真っ赤だった
り、独特のセンスの壁紙だったりと、チープでゴージャスな 摩訶不思議な異空間。
照明も 赤 青 緑 と、原色が画面を彩ります。 それを煽るように流れる Goblin
の楽曲も秀逸です。
現在見ると 正直ホラーに於ける 怖さ や グロさ というものはあまり感じないものの、
逆に言えば綺麗な殺され方。 嫌~な閉塞感で息苦しくなります。 プラス照明とセ
ットの極彩色で目もやられてくる本作。
ストーリーはともかく、この異様な空間で繰り広げられるオカルト世界を構築する事
自体がダリオ・アルジェント監督の目的なんだと、薄々こちらも感づいてくるのでし
た。
様々に散りばめられている意味深なショットや小道具、設定、これらが後から、何か
しらのネタばらしの効果があるのだろうと記憶していたものが、そのまま触れられる事なく
「あれ何だったんだ?」 と、完全にスル―されるものも少なくありません。
そういった意味でも、この映画は 「お化け屋敷」 に迷い込んだ、悪夢のような作品
で、ラストでは、一気に怒涛のごとき展開が巻き起こっての幕引きとなります。
で、いったい何だったんだろう?という疑問を振り払うように、Goblin の曲が鳴り響
くのでした。
4Kリストア版の登場で、この作品の異常さが、より際立って観る事ができます。
原色で彩られたセットと照明の独特な映像世界は、まぎれもなくカルト映画そのもの
で、ホラーの枠を越えた美しい 迷作 を再確認いたしました。
以前ご覧になった方も、まだご覧になっていない方も、この機会に綺麗になった映像
で鑑賞してみてはいかがでしょうか です。
では、また次回ですよ~!