世界戦争によって地上の99.6%が破壊された近未来。 滅亡の危機に瀕した人類は、遺伝子操作を施した感情のない人間の共同体「イコールズ」をつくった。 そこで暮らす人々は保健安全局の監視下に置かれ、愛情や欲望といった感情が生まれると、「発症」したとして隔離施設へ送られ、安楽死させられる運命にあった。 そんな環境下で、感情を「発症」してしまったサイラスとニアは、外の世界への脱出を決意する、、。
こちらは2015年制作の アメリカ映画 です。 (102分)
リドリー・スコット が製作総指揮に名を連ね、今が旬の ニコラス・ホルト と クリス
テン・スチュワート が主演した SF映画 とくれば、観ないという選択肢はございま
せん。ちょっと ダサめ の日本タイトルに惑わされる事なく、レンタルしてみました。
本作、SF映画というジャンルではありますが、基本的には 恋愛映画 の比重が
大きく愛 や 感情 という 人間の人間たる本質 とはなんぞや という事がテーマとし
て描かれています。
世界戦争によって地上で生き延びた人類が選んだのは、争いの基である 感情を最小
限に抑制させ、クリーンで管理された環境で生きるという選択でした。 機械により
毎日チェックされ、通常以上の感情を持つ者は病気 (通称SOS) 扱い。 発症すれ
ば施設に入れられ矯正させられるという世界です。
主人公の サイラスは自分がSOSになった事を自覚しますが、職場の同僚 ニアもSO
Sである事に気付きます。 次第に彼女に興味を抱くサイラスは、ニアに特別なシンパ
シーを感じ、二人は惹かれあっていくのですが、、。
といったお話で、未来の管理社会を描いたSF映画 ( 「THX 1138」 「198
4」 「未来世紀ブラジル」 等 ) にはありがちなテーマです。 それでもこの映画が
他と違う所は、主人公二人の恋愛に焦点が絞られている所が大きく、ニコラス・ホル
ト と クリステン・スチュワート の表面的に恋愛感情を抑えた演技が、非常に上手く
演じ、表現されている事がこの映画を別の作品と違うものにしている大きな要因にな
っています。
同様に、ほぼ実景によるロケーションがとても効果的に働いているのも特徴です。
下手をするとCGよ多様する事で、チープな未来図になってしまう所を、無機質でエ
レガントな建造物でロケーションしている為にリアリティが増し、大きな建造物が二
人の孤独感をより際立たせるのに役立っています。 多くのロケーションが日本だと
いうのも 嬉しかったりします。
そしてこの使い古された設定を、あえて現在に映画化しようとしたのには、これが現
在の社会を揶揄するのに適していたと考えたのかも知れません。 社会 VS マイノリ
ティ、エイズ、LGBT、性差別、格差 といったものが透けて見えるのは私だけでし
ょうか、、?
感情を廃した設定を、音楽と照明を上手く使って表現している所も特徴的です。
少なからず希望を見い出せる ラストにも好感が持てる作品で、映画の 「ガタカ」 に
通じる空気感が漂うスタイリッシュでありながら、初恋 に似たエモーショナル
な映画になっていますので、機会があればご覧になってみて下さいませ、です。
では、また次回ですよ~!