心を病んで自殺した母のことを綴った小説がベストセラーとなった女流作家デルフィーヌ。しかし次回作が1行も書けず完全なスランプに陥っていた。 そんな中、サイン会で出会った熱狂的ファンだという美女エルとひょんな成り行きから親しくなり、ついには一緒に暮らすまでに。 その一方でエルと親密になっていくのと軌を一にするように、周りで次々と奇妙なことが起こり、神経をすり減らしていくデルフィーヌだったが、、。
こちらは2017年制作の フランス ベルギー
ポーランド
の合作映画です
(100分)
こちらでも何本かご紹介した事のある 「ローズマリーの赤ちゃん」 「戦場のピアニス
ト」 のロマン・ポランスキー 監督 による ミステリー映画 でございます。
以前、ポランスキーは同じように小説家を主人公とした 「ゴーストライター」
という作品があったもので、「また!?」 という感じはありましたが、 今作の
主人公は女性小説家で、スランプ状態にあります。 その前に現われた エル (彼女)
と名乗る女性。
エルに出会った作家の デルフィーヌ は彼女と時間を共有するようになり、徐々に彼
女に信頼を置くようになって行きます。デルフィーヌの彼が出張の間、エルは間借り
して同居する事になりますが、次第にエルはデルフィーヌの身の周りの事を勝手に仕
切るようになり、、。
といったお話です。 同居し始め、エルの服装や髪形がデルフィーヌに似てくるという
描写は、以前観た 「ルーム・メイト」(1992)的な展開?と思い、ありゃりゃ~
と、勝手に勘違いしてしまいましたが、、、良かった そうではなく安心いたしま
した。
映画を観ている最中、ず~っと気になっていたデルフィーヌのパッとしない見た目
( 後で調べたらポランスキーの奥様でした スイマセン監督 ) それに対して エル の
ミステリアスなルックス ( 若い頃のシャーロット・ランプリング似 ) この対比が最
後にちゃんと成立して、ドラマ的に納得させてくれます。 ふむふむ。
最近のミステリー作品に比べ、派手さや斬新さは無く、良く言えば奇をてらっていな
い正面勝負の作品。 世界もデルフィーヌの生活圏を軸にしたミニマムなものです
が、この二人の女性のやりとりが、徐々に不穏になっていく展開はサスペンスフルで
ございます。
特に エル を演じる エヴァ・グリーン の 飴とムチ 演技に頼る所が大きく、彼女の表
情一つで、映画の空気も変化する程の怪しい存在感を発散しています。
原作小説の映画化で、やや後半の展開に遠慮を感じ、映画的に 盛っても よかった気
がしますが、派手さは無いものの 「女性の葛藤のドラマ」 として楽しめる作品だと思
いますので、機会があればご覧になってみて下さいませ、です。
では、また次回ですよ~!