自らの不倫中に娘を事故で亡くし、妻にも愛想を尽かされ全て失った画家のダビッド。自暴自棄となった彼はある日自殺を試みるが、そこで不思議な扉を発見する。その扉は、娘を失ったあの日に繋がっていた。信じられない思いながらも、ダビッドは扉のあちら側にいる娘を救出することに成功する。ところが、安堵もつかの間ダビッドは不審人物と見なされ襲われてしまい、勢い余ったダビッドは相手を殺してしまう…のだが、なんと相手は“もう１人の自分”だった。果たして、ダビッドが辿る運命とは、、。
こちらは２００９年制作の ドイツ映画 
です。 （１０１分）
こちらでも以前ご紹介した「偽りなき者」「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストー
リー」 等のマッツ・ミケルセン 主演による ＳＦサスペンス映画です。 が、ＳＦ的要
素は 「謎のドア」 の設定のみで、メインはサスペンスフルな人間ドラマでございます
画家の ダビッドは、妻マヤの留守中に隣人で愛人のジアとの情事を楽しんでいま
した。 その後、自宅へ戻っても一人娘 レオニーの姿が見えません。 ダビッドは自宅
のプールに沈んでいるレオニーを見つけます。
慌てて救護しますが、既に息絶え
ていました、、。
５年後、一人娘をダビッドの情事で失った 妻マヤとは別居し、後悔の念に苛まれた
ダビッドはレオニーが亡くなったプールに飛び込み自殺します。
息をひきとる瞬間ダビッドは友人のマックスに救助され、自殺に失敗してしまいます
マックスと酒を飲み別れたダビッドは家の外へ彷徨いように出ていきます。 そこに現
われた一匹の蝶に導かれるようについて行くと、そこには不思議なトンネルがあり、
奥へ進んだ先には光の射すドアが、、。 
そのドアを開けるとそこは、５年前のあの日でした。 自分が愛人の家へ向かう姿を見
つけたダビッドは、自宅のプールへと向かい、沈むレオニーを救出し、娘の命を救う
事に成功します。 
レオニーを寝かしつけたダビッドはそのまま自宅に留まって
いると、情事から戻って来た５年前のダビッドに発見されます。 侵入者と思われた
ダビッドは、自分自身と格闘し、５年前のダビッドを誤って殺してしまいます。 
慌てて５年前のダビッドを庭に埋めたダビッドは、この５年前の世界で本人として生
きていく事を決めます。しかし娘の レオニーは、彼を父親のダビッドとは違うという
事に気づいていました。 その上、この町にはダビッドも知らないある秘密が隠されて
いたのでありました、。
誰でも人生をやりなおしたい 「あの瞬間」 というものがあると思います。 それが現
実に起きてしまったら、あなたはどうしますか？と問われているような作品です。
ＳＦ映画の定番である タイムパラドックス 等の理屈は横に置いといて、（というよ
り パラレルワールドものになるのでしょうか？） といったサスペンスと葛藤の人間ド
ラマがメインの作品であります。 特に子供の生死がかかっている以上、心情的には
ほぼ選択肢の無い状況ですが、その選択肢も本人のエゴなのであります。 
それに伴う責任と危険、ラストでは怒涛の展開の後に訪れる虚無感と、微かな希望が
残されるエンディングが待っています。 うがった見方をすると、ダビッドがプール
で自殺した時に見た世界ともとれますが、それはご覧になる方それぞれで判断して頂
くのが良い作品でございます。
主人公ダビッドを演じるのが マッツ・ミケルセン。 彼が演じる人物は何故かいつも孤
独感が漂って、疎外感のある役が多い気がしますね。 それはあの憂いを含んだ表情
からか、たたずまいからにじみ出るものなのか、、。 幸せそうな表情が似合わない俳
優さんでございまして、それもまた 味 というものでせう.。 
バッチリと役に
ハマっておりました。
ただ、愛人選びのセンスにはかなり引くものがありましたが、、。奥さんも微妙な
気が、、そして自分の死体はもっと深く埋めましょうね。 
ざっと見たストーリーよりも暗めながらも、なかなかドラマとして見応えのある作品
です。
ＳＦ映画味は少な目ですが、子供を思う父親の愛情が描かれておりますので、機会が
あればご覧になってみて下さいませ、です。 
では、また次回ですよ～！ 
