地方テレビ局の社長マックスは、拷問や殺人が繰り返される禁断のテレビ番組「ビデオドローム」の存在を知る。恋人と共にビデオドロームにのめりこんでいったマックスは、残虐な映像を見続けるうちに幻覚を見るようになり、、。

 

 

 

 

 

     

      -  VIDEO DROME  -  監督 脚本  デヴィッド・クローネンバーグ

 

 出演 ジェームズ・ウッズ、デボラ・ハリー、ソーニャ・スミッツ 他

 

こちらは1982年制作の カナダ映画 カナダ です(87分)

 

 

 

 

鬼才!奇才? デヴィッド・クローネンバーグ 監督が、最も クローネンバーグしていた頃の作品で、この映画の前が、頭ドッカーンの 「スキャナーズ」、 今作の後に 「デッドゾーン」 そして、メジャー作家となった、「ザ・フライ」 と続くことになる重要な作品です。

 

 

  

 

8mm  小さなケーブルTV局の社長を務める マックス はある日、どこから放送されているともつかない 「ヴィデオドローム」 という海賊番組の存在を知ります。内容は筋書きもなく、ただ拷問や殺人の場面が延々繰り返されるだけのものでしたが、マックスはその生々しさと迫力に驚かされてしまいます。 

 

 

 

 

彼はその映像を自社で使えないかと映像の出所を探す事にしますが、断片的に見た「ビデオドローム」 の影響からか、幻覚を見るようになります。 しかしそれは幻覚をも超える、超現実的なもので、マックスは 「ビデオドローム」 の世界に支配されていくのでありました、、。 

 

 

 

 

主人公マックスを演じるのは ジェームズ・ウッズ その彼のガールフレンドで、ビデオドロームに飲み込まれる女性二ッキーを演じるのが、バンド 「ブロンディー」 の ボーカル担当のデボラ・ハリー というのを、今回知った私でありました 知らなかったです、、。

 

 

 

 

クローネンバーグ自身も語っているようですが、物語自体は正直よく理解出来ません「ビデオドローム」 という存在や、それを製作している人物の目的や意図と目的 等々は 謎のまま、色々と難しい解釈も出来ますが、謎のままが最も刺激的でもありますね。

 

 

 

 

映像というものが、現実の人間に及ぼす影響。 現実世界と映像世界が曖昧になってゆく怖ろしさを、いち早く扱った作品なのかも知れません。 メディア洗脳を比喩した世界観で、ブラウン管信仰。  現実を超現実が凌駕するビデオドロームの世界。 

 

 

 

 

「ブラウン管の画面は網膜に焼きついた心の目」 というセリフも出てきます。  近年のネット依存に重ねて観るとメディアが持つ危険性や中毒性が、人の意識や倫理を崩壊させていくといったテーマを、バイオレントな描写と、まるで ダリ が描いたような シュールレアリスム が融合した映画となっています。 

 

 

 

 

これまでも クローネンバーグ作品の題材によく登場する設定に、周囲と適合できない疎外感 (マイノリティな人物) や、機械との結合、変化と進化、混沌と革命、破壊願望肉体的な変化、 願望と現実の混在、異端の排除、そしてエロとグロへの憧れと、臓器のトロみ感が デヴィッド・リンチ とはまた違った 変態臭 の香りがファンにはたまらないのでありました。

 

 

 

 

本作でもこだわりの変態映像が満載で、息づくビデオテープや、うにょうにょと波打つ血管が浮き出てくるテレビ。 ( 「裸のランチ」のタイプライターを思い出させまする ) 膨れたモニターの唇に顔を埋めるマックス。 

 

 

 

 

お腹の中心部にまるで女性器のように開いた穴にピストルを入れる変態プレイや、ピストルが手と同化する描写。 そして射殺した人間が内側から膨張するシーン。 最後にはテレビが爆破し、中から臓器が飛び出して来る等。 インテリ変態のクローネンバーグワールド全開の世界観でございます。 

 

 

 

 

当時は本作をビデオで観た訳ですが、アナログモニターのブラウン管画面を、ブルーレイで鑑賞するというというのも不思議な体験となりました。 

 

 

 

 

結局 「現実など認識の問題でしかないのだ!」 とでも言われているような、脚本も含めてシュールレアリスムな映像作品でございます。

 

 

 


 

鑑賞後、この映画自体が 「ヴィデオドローム」 なのかも知れないと思う私でありました。そんな訳で、もし興味がありましたら一度ご覧になってみて下さいませ、です。 

 

 

では、また次回ですよ~! パー

 

 

 

 

 

 

 

 

劇中では赤毛だった デボラ・ハリー 気が向いたらお聴きくださいませ 音譜