イギリスの名門パブリック・スクール。厳しい校則や威張り散らす上級生たちに嫌気がさした主人公ミックは、仲間のジョニーとウォレス、さらに下級生の美少年やコーヒーショップで働く少女とともに開校500年記念祝典の日に革命を企てる。児戯めいた“ごっこ”の世界が、現実のテロを反映したラディカルな暴力幻想に浸っていく、、。
- IF.... - 監督 リンゼイ・アンダーソン
出演 マルコム・マクダウェル、デヴィット・ウッド、リチャード・ワーウィック
こちらは1968年制作の イギリス映画 です (112分)
第22回カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した作品で、あのマルコム・マクダウェル の映画デビュー作でもあります。
イギリスで500年続く、中流階級のパブリックスクール。 学校の中は完全な階級制で教師達は独裁者のように威張り散らしております。 体罰上等の校風で、生徒を奴隷のように使い、廊下は走れ! ( 日本の真逆で驚きますね ) 髪が長い、切れ!と生徒達を管理下にする事に快感を覚えているような大人達。
その上、特権を悪用して同性愛の相手選びまで楽しんでおります。 生徒の中でも厳しい上下関係があり、えぐいイジメも日常茶飯事。 そんな表向きだけの規律と伝統を重んじる学風に馴染めない ミック、ジョニー、ウォーレンスの3人組。
たまりに貯まった抑圧の怒りを、遂に爆発させる時が来るのでありました、、当時のイギリス社会を、( 現在でもそうかも知れませんが )パブリックスクールという閉鎖された空間に凝縮して表現しており、理解しやすくなっております。
映画は幾つかの章に別れており、「新学期」 「規律と罰」 というように区切られ、見やすいアクセントとなっています。 そして、時折映像がモノクロに変わります。一貫性はありませんが、やや幻想的でシュールな場面に多く使われ不思議な効果を生んでいるのが特徴的です。
劇中、印象的な場面が二つあり、一つは ミックとジョニーが校外へ飛び出し 「盗んだバイクで走り出す~♪」 その開放的な抜けるような映像。 もう一つは真逆なもので、はみ出し3人組が懲罰として、教師達からお尻を鞭打ちされるという場面が、極端に冷めた視点で撮影されたシーンです。
教師による体罰、、、時代の移ろいは早いものでございますな~。 もう一つ文化の違いなのか、驚いたのが大規模な疑似軍事訓練をする所であります。 中高生が揃って軍服を着て、敵味方に分かれての疑似人殺しごっこ。 校内に帰ってからは讃美歌という恐怖の矛盾。 どないやねん! なのでございます。
とにかく本作は、「時計仕掛けのオレンジ」でも見せたマルコム・マクダウェル の反骨的な 目 のインパクトが圧倒的な作品です。 その目が睨みつける先には、 プライドにしがみついているだけの大人達と、その大人の都合による 「規律」 と呼ばれるもの、学生達はそれを 「抑圧」 と呼ぶのでありました。
エンディング、絶妙のタイミングで出る 「if...」 の文字。現実なのか、IF なのか、、。同じイギリスの魔法学校とは違う、独特のパブリックスクールの雰囲気に何故かドキドキする感じ。 機会があればご覧になってみて下さいませです。
では、また次回ですよ~!