映像化不可能といわれたフランク・ハーバートの大長編SF小説を、鬼才デビッド・リンチの監督・脚本により映画化した作品。


 

 

 

 

 

      -  DUNE  -   監督 脚本 デビッド・リンチ  原作 フランク・ハーバート

 

 出演 カイル・マクラクラン、ユルゲン・プロホノフ、ショーン・ヤング、

                                                                                          スティング 他

 

こちらは1984年制作の アメリカ映画 アメリカ です(137分)

 

 

 

 

  人類が恒星間帝国を築きあげた遥か未来。 人類文明は大王皇帝、恒星間輸送を独占する宇宙協会、惑星領土をもつ大公家連合の三勢力に分裂していた 皇帝シャッダム4世は、従弟にあたる公爵レト・アトレイデスに砂丘(デューン)として知られる砂漠の惑星アラキスを新たな土地として与えた。 

 

 

 

 

アラキスは、不老不死の薬物メランジの唯一の産出星であり、莫大な富をもたらす惑星であった。 しかし皇帝は、アトレイデス家の仇敵ハルコネン家と結びつき、大公家のあいだで人気のあるレトを、なんとか失脚させようと企んでいた、、、

 


 

 

フランク・ハーバートのSF大河小説 「デューン」 の初映像化作品で、1971年から始まった映画化権のゴタゴタの末、73年になってアレハンドロ・ホドロフスキー監督によって映画化が具体的に進行しますが製作費等の都合でこちらも頓挫と、紆余曲折を経た後イタリアの映画プロデューサー ディノ・デ・ラウレンティス によってやっとの映画化。

 

 

 

 

当初は リドリー・スコット 監督が決まっていましたが、なかなか製作が進まない為に監督を降板、そこで名前が挙がったのが 「エレファントマン」 をヒットさせたばかりの デヴィッド・リンチにオファーが回って来たという、今となっては 暴挙と快挙 によって誕生した 大作カルトな 「迷作SF映画」 でございます。  私の好きなドゥニ・ビルヌーブ監督の 「DUNE」 が公開されるという事もあって、過去に観て以来、封印していたこちらのリンチ版「デューン」を観返してみようと思い、レンタルしてみました。 

 

 

 

 

1965年に刊行された原作でありますが、かなりの長編ゆえに入り組んだ内容と壮大な世界観。 原作独自の特殊な用語や登場人物も多く、1本の映画にまとめるにはかなり厳しい内容だとう事は察しがつきます。 (当然、私未読です) 最初に本作を観た記憶では、関係性が難解で、細かなストーリーはほぼ憶えていませんでした。

 

 

 

 

ザックリとした映像のイメージと、砂漠の巨大なサンドワーム。 そして他の作品でも感じるカイル・マクラクラン特有の違和感と、異様な青い目と少しの恋愛要素だけ、、。 で、今回観返してみての感想は、以前より長さは感じませんでしたが、(前は感じてたんですよね) やはり今回もあまり内容は入って来ませんでした。(笑) その理由は、原作を知らなくても感じてしまうダイジェスト感。

 

 

 

 

登場人物が多く、惑星や階級、立場やそれぞれの関係性を理解する前に、お話だけがどんどんと進んでしまうので、原作を知らない私なんかは置いてけぼり状態です。 その為、個々のキャラクターの説明も少なく、誰に感情移入していいやらで、こちらの頭が追いついていかないのです。 まるで 「ハリーポッターシリーズ」 を1本の映画で見せられている感じ (ちょい大袈裟ですが) でしょうか?

 

 

 

 

しか~し! そんな事はどうでも良いのであります。 そんなものは分かり切った事でしてこの壮大なSF叙事詩を カルト系の御大であるあの デヴィッド・リンチ がどう撮っているのか、自身の世界観とは水と油と思えるこのSF超大作と、どう折り合いをつけているのか? (自分で脚本も書いているのですから興味深々です) 

 

 

 

 

その危ういバランスを見るのが本作の最大の見所なのでした。そして時折画面の中に差し込まれている微かなリンチのマーキングを見つけてはニヤリとする私でありました。 ただこれも現在のリンチという監督の作風や嗜好を知っているから楽しめる所であって、当時は正直そこまで楽しめる作品ではなかった事は確かです。

 

 

  

 

そんな大作映画の中にも、確信犯的に如術に趣味しているのが ハルコネン男爵の奇妙な顔の造形。 原作設定にはない?と思うのですが、顔半分に膿が溜っているという気持ちの悪い病的な水泡メイク。 ストーリーに直接関係なくても、それをわざわざ部下に注射器を使って吸いとらせるというグロ場面を挟んできます。 

 

 

 

 

最も ザ・リンチ的な登場人物のクリチャーであるギルドマンは、ゴシック調の水槽に入った生物で、「イレイザーヘッド」 に出て来そうな胎児風のルックスをしています。 その口元はまるで女性器を思わせ、くどい程それをアップで映すのです。画面の向こうでリンチが笑っている顔が容易に想像できます。 その口から光を放ったりするのですが、それが何をやっているのか観ていても謎でした。SFX (最近では死語?) もギリそこまで気にならない程度には収まっています。

 

 

 

 

 

SF的なデザインはなかなか面白い物もあり、身体を立方体のバリアでカバーする格闘の練習機や、砂漠で長時間生きられるスーツ等のガジェットは楽しめます。 ボイス というジェダイが使う技も本作で既に登場していましたね。 

 

 

 

 

ただ巨大なサンドワームに乗って攻撃するというシーンはちょっと間抜けに感じましたが、、。 そして モノローグ が結構多いのがちょっと気になりましたが、長大なストーリーをコンパクトに説明する為には仕方ありませんね。 それでも説明しきれていないであろう事は理解できました。

 

 

 

 

主人公を演じるカイル・マクラクラン以外にも、キレッキレの野生児スティングや、御大のマックス・フォン・シド―、パトリック・スチュワート、ショーン・ヤング (「ブレードランナー」 のみならず、ここでも青い目でヒロインやってました)等、スター以外にも渋めの作品でお見かけするような多役者の方々が多数出演されていました。

 

 

 

 

その中で最も印象に残るのは、カイル・マクラクラン演じる ポウルの妹 アリアちゃん。 幼いのにボイスを使いこなして大王皇帝に指示したりと、可愛いカッコよかったのでありました。 他にも音楽にブライアン・イーノ と TOTO が担当している所も音楽ファンには注目です。  

 

 

 

 

80年代の歪みが生み出した?ちょっと特殊な デヴィッド・リンチによるSF映画。 他とは違う独特な雰囲気を醸し出している異色作品ですので、あくまで興味が湧きましたら一度ご覧になってみて下さいと、具体的な内容をほとんど紹介出来なかった事をお許し下さいませ、です。

 

では、また次回ですよ~! パー