アート・ディーラーとして成功を収めながらも夫との結婚生活は冷え切り、満たされない日々を送るスーザン ある日そんな彼女のもとに、20年前に離婚した元夫エドワードから彼の著作「夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)」が送られてくる 作品が彼女に捧げられていることに困惑しつつも、早速読み始めたスーザン そこに綴られていたのは、車で移動中の家族が暴漢グループの襲撃に遭い、妻と娘が殺され、夫は刑事と共に犯人たちを追い詰めていくという壮絶な復讐の物語だった そのあまりに暴力的な内容と完成度の高さに衝撃を受けながらも、これを彼女に捧げたエドワードの意図をはかりかねるスーザンだったが…。

 

 

 

 

 

 

こちらは2016年制作の アメリカ映画 アメリカ です (116分)

 

2009年に製作された「シングルマン」の監督で、ファッションデザイナーの ト

 

ム・フォードの、これが2作目の映画作品になります 前作は、ゲイの大学教授のラ

 

ブストーリーのお話で、私は大変好きになった映画 (主演のコリン・ファースが良か

 

った) で、大きな期待を持って本作を (一週間レンタルになるのを待ち) 鑑賞した

 

次第でございます。で、映画でありますが 主人公の スーザンを演じるのが 「メッセ

 

ージ」 の エイミー・アダムス 、元旦那のエドワードと、小説の中の主人公 トニー の

 

二役を演じるのが「ナイトクローラー」等でお気に入りの ジェイク・ギレンホール 

 

もうこの二人と、トム・フォードなら観ないでかビックリマーク なのでありました 

 

 

 

 

Movie   映画は多重構造に構成されていまして、主人公のスーザンは、アートギャラリー

 

を経営し、裕福な生活を送っているものの、浮気症の夫とは冷めきっていて、慢性の

 

不眠症 心は満たされない毎日を送っていました  そこへ20年近く前に別れた元夫

 

のエドワードから一冊の本が届きます 本 本のタイトルは ノクターナル・アニマル

 

ズ (夜行性動物) スーザンに捧ぐと書かれてありました 自宅で物語を読み進めてい

 

くスーザン 本の内容は、暴力的な復讐劇でありました 本の中の主人公 トニーは、

 

妻と娘を連れ 深夜に自動車でテキサスを旅行していました 車 DASH! 途中、追い越した

 

車の男達に因縁をつけられ、妻と子供は車で何処かに連れ去られてしまいます トニ

 

ーは辛うじて逃げ延び、歩き通して地元の警察へ駆け込みます ランニング  しかし、妻と娘は

 

奴らに暴行された上、全裸遺体で発見されるのでした、、

 

 

 

 

悲しみに暮れ復讐を誓うトニーに、新たに事件の担当となった刑事ボビーが現われ、

 

二人で捜査する事になります ボビーはトニーに自分は癌で先の無い事を告げ、事件

 

解決の為なら法を無視した、手荒な事も辞さないと言い、それを実行します 一人は

 

ボビーが仕留め残る一人はトニー自らが銃で殺します ドンッ 銃 その際トニーも重症を

 

負っていました 血 トニーは転んでしまった勢いで、持っていた銃が暴発 自らを

 

撃ってしまい、復讐を果たす事は叶いましたが、そのまま自らも息をひきとるのでし

 

た、、、 という内容のものでした 本 

 

 

 

 

 この本を読みながら、スーザンはエドワードとの暮らしを想い出したりします つま

 

り、現在生きている自分の世界、小説の中の世界、そしてエドワードと過ごした過去

 

の世界、これがスーザンの主観で 現在、本、過去、と行ったり来たりします しか

 

し、そんな複雑には構成されていないので理解はしやすいストーリーテリングになっ

 

ています 但し贈られた本を読み進めるうちにスーザンはある事に気付き始めます 

 

これはエドワード自身の心を反映した物語なのではないか?と、二人で過ごした時間

 

で起こった出来事、家族を殺されたのは産まれて来るはずだった二人の子供や、離婚

 

の事を比喩したものでは?と思うようになります 

 

 

 

 

皆さんも小説等を読む時、主人公や登場人物を何となく知人や、有名人に頭の中で置

 

き換えて読んだりする事と思いますが、スーザンは主人公トニーを、エドワードに置

 

き換えて読んでいる為、スーザンの頭の中で進む本の主人公は、観ている私達はエド

 

ワードな訳です その為、小説の中の世界であっても、現在のスーザンが日常見てい

 

るような物が小説世界にも出ていたりします 読み手のスーザンの思い描いている世

 

界ですから、、、 雲

 

 

 

 

エドワードがとった行動は、若い頃、小説家希望だったエドワードに不安を感じ、現

 

在の生活を選んだスーザンへの復讐ととれます 映画の中で思わせぶりに REVEN

 

GE (復讐)と大きく書かれたアート作品もあえて強調した写し方をしていますし、

 

ラストのある行動はそれを裏付ける事にもなるのですが、、、ただ、そんな復讐をす

 

る為に20年という時を隔てて送ってくるものでしょうか? そしてある事に気付く

 

のです これは小説の主人公トニーは、エドワード自身ではなく、スーザンを描いた

 

ものなのではないか はてなマーク という事です  

 

 

 

 

主人公トニーをスーザンに置き換えてみると、様々な事柄が彼女の人生のメタファー

 

となっている事が分かります タイトルも、不眠症で夜寝ない 夜行性動物 スーザンそ

 

のものですし、小説の1ページ目には スーザンに捧ぐ と記されているのです  これ

 

はエドワードからスーザンに対してのメッセージになっていて、まだ君は流されるま

 

まにそこにとどまっているのかい? とでも言うような想いが込められているようにも

 

思えます  それに気づいているのか、いないのか、、、

 

 

 

 

そこからのラストの印象深い場面です 見方によっては淋しい終りにも思えますが、

 

彼女があそこで過ごした時間、その間でこの時間の意味を考えたかも知れませんし、

 

もしかしたら理解したのかも知れません あの最後の表情でこちらが読み解くしかな

 

いのですが、きっとあの後スーザンには変化が起きたのではないでしょうか? 希望的

 

観測でしかありませんが、そうなる為にエドワードは書き、彼女に贈ったと思うから

 

です プレゼント

 

 

 

 

一度は愛していた相手に、わざわざ嫌味な復讐をする為などと考えたくありませんか

 

らね。 但し、あくまで これは私が観て感じた事であって、ご覧になる方それぞれ別

 

の観方が出来る作品でもあります  そうそう書き忘れる所でしたが、本作に出演し

 

ている マイケル・シャノン は 「シェイプ・オブ・ウォーター」 での嫌な役人とは違

 

って、悪を許さぬ 頼りになる警察官を演じていて素敵でありました (本作でアカデミ

 

ー助演男優賞にノミネートされておりました)

 

 

 

 

そしてあの、ローラ・リニ― が エイミー・アダムスの母親役で出演されておりまし

 

て、時の流れとは早いものでございますな~ 何故か、軽いショックがありました、、

 

という訳で、出演者は皆さん素敵な演技をされていますし、美しいヴィジュアルも見

 

物です。 興味が湧きましたらご覧になってみて下さいませです   目

 

では、また次回ですよ~! パー