妻子の留守中、道に迷った二人の女を家に入れる男。一夜の遊びのつもりのはずが、

 

女たちは居座り続け、その行動は次第に常軌を逸し始める、、。

 

 

 

 

 

 

             -  DEATH GAME - 監督 ピーター・トレイナー 

 

 出演 ソンドラ・ロック、コーリン・キャンプ、シーモア・カッセル 他

 

こちらは1977年制作の アメリカ映画 アメリカ です (89分)

 

 

 

 

 

  映画冒頭、こんなクレジットから映画は始まります。

 

「これは事実に基づき作られた映画です 人は誰しもが災難に巻き込まれる可能性が  

ある事を、この物語は気付かせてくれます」 

 

という一文から始まり、サンフランシスコ 1975年10月10日 という、具体的な日付まで出てくる事から、この物語の元になる実際の事件があったという事を推測させる不気味なオープニングで映画は幕を開けます。

 

 

 

 

映画は以前ご紹介した ミヒャエル・ハネケ監督の 「ファニーゲーム」 が、本作に影響されたのでは?と思える程 似通った部分のある作品で、違いは相手が若い女性という所で、こちらの方が意外性があります。 内容は40歳の誕生日を迎えた夫ジョージ。妻と子供は実家に帰っていました。夜、一人でお留守番している彼の耳にチャイムの音が聞こえます。 

 

 

 

 

ドアを開けるとそこに雨でずぶ濡れの若い女性が二人立っています。 電話を貸してほしいと言う二人に、親切心で 家に招き入れてしまう ジョージ (あちゃ~)  友達に迎えに来るよう電話したと言う二人に、迎えが来るまでと、優しく対応してあげると二人は躊躇なくバスルームへ、、、 遅いな~?と思いジョージが覗いてみると、なんと裸ではしゃぎながらバスタイムを楽しんでいる二人の姿が! 

 

 

 

 

他人の家で何してるんだ!とたしなめるジョージでしたが、若い女性に裸でせまられ ポワ~ン   としてるうちにバスタブの中で3Pに (ちなみに本作の日本サブタイトルは 狂気の3P となっております)  そのまま朝を迎え、ジョージは物音で目を覚まします。 キッチンで朝食を作っていた二人にジョージが加わり三人で食卓を囲みますが、マナーの悪い二人の姿に機嫌を損ねるジョージ。 

 

 

 

 

それを見た二人は「昨晩と態度が違う~」 と言い返されてしまいます。 あまりに酷い二人の行動に警察に電話しようとしますが、「私達は未成年で、貴方に乱暴されたと言えば、家族や仕事を失うわよ」 と、逆におどされてしまいます。境地となったジョージはなんとか二人の機嫌をとり、車で目的地へ送る事を条件に、家から二人を追い出す事に成功します。   

 

 

 

 

二人を別の土地で降ろし、一安心したジョージは、町のホテルから実家の妻に電話をしたりと、のんびりした時間を過ごし家へと戻りますが、何故かあの二人が家に戻っているではありませんか!  驚いた彼が扉をあけた瞬間、催涙スプレーをかけられジョージはロープで椅子に拘束されてしまいます。 

 

 

 

 

そこからは二人の天下です。罵声を浴びせられるは、殴られるは、家のあらゆるものをメチャメチャに壊されてしまいます。 食料が無いと、デリバリーを持ってきた人間を殴り、水槽に押し込めて殺す二人。その上、一方的な裁判を始め、夜明けに死刑を執行すると言い渡します。  

 

 

 

 

もう精魂尽き果てたジョージに、理由を聞く気力も、抵抗する力も、もはやありませんでした。そして夜明け  審判の下される時が来ました。 二人はジョージを押さえつけ、ナタをジョージの首に振り下ろそうとします。 次の瞬間、二人はケラケラと笑い始め、「面白かった?ただの冗談よ」 と言い捨て、何事も無かったように二人は家を出て行きます。

 

 

 

 

二人が去った家の中は、正に嵐が通り過ぎた後のような惨状になっていました。そこに放置されたジョージの心境は?戻った妻や子供に何と言うのでしょうか? 善意で開けたドアと、一瞬の誘惑に負けた事で、ここまでの戒めと屈辱にあわなければいけないのか、、。 そしてそもそも彼女等の目的は何だったのか、、。

 

 

 

 

ジョージの家を出た二人は、明るい日差しの中を、楽しそうに、はしゃぎながら舗道を歩いて行きます。そのバックに流れる 「Good old dad」 という曲 。これはオープニングにも流れますが、タイトルと曲調からして、映画内容を比喩したものに思えます。そんな明るくて不気味な曲が流れる中、突然二人にある事が起こり、映画は唐突に 終りを迎えます。映画史に残る程の虚無感と不条理を感じる不気味なエンディングです。

 

 

 

 

 

最後まで目的も意味も分からぬままですが、映画の冒頭で説明された、誰しもが災難に巻き込まれかねないとはこういう事です。 ま、ジョージには よこしまな気持ちがあったからではありますが、通り魔殺人などは最たるものでしょう、被害者は 何故?という理由を求めますが、加害者には大した意味が無かったりもするという不条理をストレートに描いた作品でもありました。

 

 

 

 

今のところリストア版は無いようで、画質は悪く、悪趣味な色合い、デフォルメされた照明、不気味なカメラワークが今観ると逆に効果的に働いて独特な世界観を生んでいます。謎の少女?二人を演じるのは、当時 クリント・イーストウッドと交際して、彼の作品 「ガントレット」 「ブロンコビリー」等の作品に出演されていた ソンドラ・ロック と、ブルース・リーの 「死亡遊戯」 や 「地獄の黙示録」 でプレイガール役をしていた コーリン・キャンプ という魅惑的な女優さんでございまして、特にソンドラ・ロック のM女ぶりは狂気すら感じる恐ろしさがあります。

 

 

 

 

豹変する女性という変化球の恐怖と、音楽のミスマッチの上手い使い方、そして何と言っても ラストの衝撃と、相反する観終わった後の虚無感は、そこらのホラー映画でも味わえない作品である事は、間違いない映画です。 何の為に、という理由や説明を一切拒否した不条理が本作の一番の魅力という不思議な胸糞映画です。

 

 

 

 

実は本作、2015年に 「ノック・ノック」 というタイトルで、キアヌ・リーヴス 主演でリメイクされているようです。 ただ、あの「ジョン・ウィック」が若い女の子にボコボコにされている姿を見るのは勇気がいりますよね、、。 観たいような観たく無いような、、。 まぁそんなリメイクもされている位インパクトのある作品ですので、もし機会があれば一度ご覧になってみて下さい、です。 

 

 

では、また次回ですよ~! パー