酒に溺れて失敗ばかりのグロリアは、恋人にも愛想をつかされ、同棲していたニューヨークのマンションを追い出されてしまう 失業中の身で行き場もなく、渋々ながらも故郷の田舎町に引き返す するとそこで幼なじみのオスカーと偶然再会し、彼が営むバーで働かせてもらうグロリア そんな中、韓国のソウルに突如巨大な怪獣が出現し、世界中が固唾を飲んで見守る衝撃の事態が発生する ところが、そのニュースを見ていたグロリアは、あるとんでもないことに気づいてしまう なんとその怪獣が、グロリアと同じ仕草をしていたのだった 驚愕の事実に混乱しながらも、怪獣にいろんなポーズをさせて面白がるグロリアだったが…。
こちらは２０１６年制作の カナダ 
スペイン 
の合作映画です （１１０分）
「プラダを着た悪魔」 「レ・ミゼラブル」 「マイ・インターン」 の アン・ハサウェ
イ が製作総指揮も兼ねている 怪作 
映画でございます
彼女のイメージ、プラス 日本のＤＶＤジャケットで、おバカ系のコメディ作品だと思
って鑑賞したのですが、、、かなり映画のトーンが 紆余曲折して、ほぼスタートライ
ンに戻って来たような印象になるような 
ちょっと風変わりな （ま、設定からして
そうですが） 作品でした。
ライターとして、田舎からニューヨークへとやって来た グロリアでしたが、失業
したりの日々 そんな彼女に嫌気がさした彼氏の ティムに、部屋を出て行くように言
われてしまい嫌々 田舎へと戻るグロリア そこで幼馴染のオスカーと出会い、彼が経
営するバーでアルバイトをさせてもらうことになります 
ある日、電話の着信音で起こされたグロリアは遠く韓国ソウルに巨大なモンスターが
現れ、街を荒らしているというニュースを聞かされます。
寝ぼけ眼でモンスターのニュースを見ていると、ある異変に気付きます 
テレビの
中のモンスターはグロリアが元彼に電話をかけていた時の仕草をそのまま再現してい
たのでした。 元彼に電話を掛けた 午前8時 に例の公園の広場に入るとグロリアとモ
ンスターはシンクロしてしまうのでした 
衝撃の事実を知ったグロリアはオスカー達にこのことを伝え、実際に公園の広場でモ
ンスターとのシンクロを実践して見せましたが、転んで気を失うグロリア 
その
後のニュースで自分が暴れたせいで、大勢の人の命を奪ったことに気付いて罪悪感に
襲われます
その上、幼馴染みのオスカーまでもその現象が起きる事が分かるのでありました （彼
は何故かロボットの姿！） 
事の大きさに気付いたグロリアはお酒を断つ決心をす
るのでした
彼女の新生活をサポートするオスカーでしたが、彼の友人のジョエルと親しくなった
事を知ったオスカーは、グロリア達に嫉妬し始め、その憂さを晴らすため、例の公園で
ソウル市民を威嚇する行動に出ます 
それを知ったグロリアは体を張ってオスカーを制止しますが、オスカーは暴れること
をやめる代わりに、グロリアを田舎の小さなバーの店主である自分のもとに縛ろうと
します 
そんなグロリアのもとへ元彼のティムがやって来て、一緒にニューヨー
クへ帰ろうと復縁を持ち掛けます それを聞いて更に自虐的な行動に走るオスカー
それを止める為に、遂にグロリアはある行動に出る事にするのでした 
実際のところ、このモンスター映画の最大のモンスターは怪獣ではなく、グロリアの
周りにいる支配的な男性たちです 人生をやり直そうとする彼女にまとわりついてく
る男ども 本作で最もユニークなのは、そんな攻撃的な男性による女性への厄介なコ
ントロールの問題が軸となっていることです 
オスカーは故郷に戻ってきたグロリアに食や物資を提供し面倒を見てくれ、一見 善人
のように振る舞いますが、一方で彼女に対して嫉妬や羨望を隠し持ち、次第に高圧的
で支配的な側面を露わにして来ます また、元カレであるティムは完璧な男性のよう
に見えますが、彼もまたサディスティックで利己的な男であり、彼女をしばしば詮索
してはジャッジする面を持っています
彼女を心配しているようでありながら心理的に抑圧する二人は、どちらもそれぞれ有
害な男らしさを表しているような人物です もう一人の男 ジョエルは静かで心優しい
男性のようにも見えますが、自分の目の前でグロリアに危害を加えているオスカーに
対して介入しようともしません
他の映画なら、ジョエルのようなキャラクターは、グロリアを守ってヒーローになる
ような位置です しかし、彼はただ傍観しているだけの人物です 
そんな男達 （パワハラ、セクハラ、ＤＶ野郎） と闘って、女性として成長するという
のが本作の内容でありました 怪獣が現われ、戦う場所の名称が 「ソウル」 という
所も意味があるのか？と考えますが、本当は東京にしたかった、というような事も言
っているようですから、私の考え過ぎだったかも知れません、、、色々と深読みする
と考えさせられる映画でもありますが、ちょっとバランスが不格好にも感じられる所
もあります 
コメディ映画、モンスター映画、恋愛映画、ジュブナイル映画、サイコ映画、という
要素が微妙にアンバランスに構成されている作品でかろうじて アン・ハサウェイ の魅
力で保っている感がありますが、あまりお目にかかれないアプローチ感のある映画で
ありました
そして、何故か監督本人のインタビューで、松本人志の監督作 「大日本人」 からの影
響を認めているのでありました 
これ本当でございます
彼女の好きな方は勿論、ちょっと興味が出た方は、ご覧になってみて下さいです 
では、また次回ですよ～！ 
