ドイツに暮らす悪ふざけが大好きな初老の男性ヴィンフリートは、ルーマニアのブカレストでコンサルタント会社に勤める娘イネスのもとをサプライズ訪問する 大きな仕事を任され、忙しく働くイネスは、連絡もなくいきなり現われた父を持て余し、ぎくしゃくしたまま数日間をどうにかやり過ごす ようやく帰国してくれたとホッとしたのも束の間、父は変なカツラを被て“トニ・エルドマン”という別人を名乗って再登場 そして、イネスの行く先々に神出鬼没に現われては、バカバカしい悪ふざけを繰り返して彼女の神経を逆なでしてしまうのだったが…。

 

 

 

 

 

 

こちらは2016年制作の ドイツ ドイツ オーストリア  オーストリア国旗の合作映画です(162分)

 

カンヌ映画祭でプレミア上映され、第29回ヨーロッパ映画賞では作品賞、(女性監督

 

の作品としては史上初の快挙 ) 監督賞、脚本賞、男優賞、女優賞の5部門を制し、他

 

に欧州議会ラックス賞も獲得し、さらにアカデミー賞外国語映画賞にはドイツ代表作

 

としてノミネートされたという評価の高い作品であります ちょっと上映時間にビ

 

ビリながらも鑑賞してみました

 

 

 

 

基本 ヒューマンコメディ映画の本作  Movie 映画オープニング 小学校で音楽の教師を

 

している主人公の ヴィンフリート 家に来た宅配便を相手に、変装して相手の反応を見

 

ては楽しむヴィンフリート お寒いジョーク で人を楽しませるのが好きなようです バ

 

ツイチで独身の彼には別に暮らす老いた母と、これまた老いて失明した老犬と同居暮

 

らしをしていました バセットハウンド そんな彼にも一人娘が居ましたが、コンサルタント会社で

 

働く娘のイネスとあまり上手くいっていないません いまだに独身で、たまに会って

 

も 彼女は仕事の電話ばかりしていて、ろくに話すことも出来ずにいました 

 

 

 

 

そんなある日、老犬が亡くなった事を機に、娘の人生を心配したヴィンフリートは、

 

休みをとり 彼女が働くブカレストを訪れることにします  飛行機 DASH!突然の訪問に驚く 

 

イネスでしたが数日をなんとか過ごします 父はドイツに帰る事になり、ホッとしたイ

 

ネスだったのですが、その翌日からイネスの周りに、明らかにカツラと分かるウイッ

 

グを被り、出っ歯の入れ歯  歯  を付けた父親が、トニ・エルドマン という偽名を使っ

 

て イネスが会話している上司や、友人の中に入ってくるようになります 重要なプロ

 

ジェクトの会話等に入って来る父に怒りを爆発させるイネス  ドンッ  

 

 

 

 

そんなイネスに父は言います「イネス、それでもお前は人間か?」 と、その言葉の意

 

味は、常に仕事の為に動き、会社の為に動き回っている姿や、会社が行っている事業 

 

(貧しい国から利権を搾取しようとする事業内容) 印象深いシーンで、高級そうなス

 

ーツを着たイネスが、会社の窓から下を見下ろすと、貧しい庶民の子供が裸足で遊ん

 

でいるのを見る場面です イネスはただ見ているだけで、あえて臭い演出や、メッセー

 

ジを示唆しないのがこの映画全体の特徴です 声を上げて特別に批判をしたりしませ

 

ん ただただ 父の寒い笑いと、それを見つめるイネスの物語なのです 

 

 

 

 

他にもこんなシーンがあります、トニ・エルドマン名で知り合った女性の家にイネス

 

と訪れ、お礼にと父が勝手にピアノを伴奏し始め、イネスが嫌々歌を披露する事にな

 

ります 子供達も居る中、伴奏が始まった曲は ホイットニー・ヒューストンがカバー

 

して有名になった「Greatest Love Of All」 でした 曲は知っていましたが、詞の内容

 

までは知らなかった 私でした この二人の状況、イネスの心情、父からの想い、この映

 

画そのものを象徴するものでした  

 

 

 

 

「子供たちこそが未来だと信じてる 自分の道を歩ませてあげて 自らが持つ美しさを表

 

現できるように 自分自身に誇りを持てるように 子供たちの笑い声が かっての私た

 

ちを思い出させる この世は孤独だから 私は自分だけを頼りにする事を学んだ ずっと

 

前に決めた 誰かの陰で生きては行かないと 失敗しても 成功しても 信じたとおりに

 

生きてきた 何を奪われようと 誇りだけは奪われない 何故なら私の中に 最高の愛が訪

 

れたから 何よりも素晴らしい愛を 私の中に見つけたから 何よりも素晴らしい愛を 

 

手にすることは難しくない自分自身を愛せるようになろう それが何より素晴らしい愛 

 

貴方が夢見ていた場所が 寂しい場所になってしまったら 愛が貴方を力づけてくれる

 

 、、音譜 」 と歌い二人抱き合いハッピーエンドかと思いきや、

 

 

 

 

イネスは歌い終わると そそくさと部屋を後にし、父を残し出て行ってしまいます こ

 

のハリウッド的でない描写が 憎い所です   互いの人生はそんなに簡単に変えられるも

 

のではないのです 映画の後半、イネスはパーティで、突拍子もない行動に出ます 

 

負けじと父は、その上を行きますが、ベビーゴリ ここで少し、この親あってこの子あり と納得

 

してしまうのでありました 最後はおばあさんが亡くなり、実家での葬儀で二人が何

 

気ない事を語り合う場面になります イネスは前の仕事を辞めていますが、同じよう

 

な職種でシンガポールに行くようです 変はわらず世界を飛び回るようです そんなイ

 

ネスを父は受け止めています そうそう変わるものでない事はよくわかっているので

 

しょう 

 

 

 

 

父はイネスに以前聞かれた質問に答えます 「俺にとって生きる意味は何かと、困った

 

ことに、、、皆、成果ばかり重視する 義務に追われてるうちに 人生は終わっちまう 

 

時間は止められない」 「よく思い出すんだよ  自転車の練習をするお前や、バス停に

 

お前を迎えに行ったことを」 「あとで大切さが分かる でもその瞬間は、、、わから

 

ない」 それを聞いたイネスは父のポケットからいつものふざけた入れ歯を取り出し

 

て自分にはめてみせます カメラを持って来ると言って中座した父を待つイネスの、

 

遠くを見つめる表情で幕を閉じます  横顔

 

 

 

 

父の ヴィンフリートは、仕事で人生をすり減らしている彼女を、少女であった頃のイ

 

ネスと変わらず愛している事を伝えたかったんじゃないでしょうか?イネスにとって

 

は迷惑な話ですが、父のとる行動は少女時代にイネスが喜んでくれた行動だったので

 

しょう ピアノで歌う場面も ピアノ② 親子で楽しんだ想い出を再び体験させて、イネスに

 

何かの変化が起きる事を期待しての行動だったような気がします 映画は親子を通し

 

て、先進国と発展途上国 富裕層と貧困層 も同時に描いていますが、それを押しつけが

 

ましくは描いていません 

 

 

 

 

二人の親子にも答えのようなものは出しません ただ、時に羽目を外すのも良いです

 

よ!と言われているような気がした私でありました 鑑賞中、長さを感じませんでし

 

たし、全く知らない俳優さんが出演されているせいか、スッと世界に入っていけまし

 

た うっとうしい家族ってやつも時には良いものかも知れませんね あくまで、時に

 

はですが、、、太陽・希美・希空(ワンワン) そんな 余白 の多い作品で、観る方によって様々に感じられる映画

 

だと思いますので、機会があればご覧になってみて下さいませです ビックリマーク

 

では、また次回ですよ~! バイバイ

 

 

 

 

 

 

 

劇中、親子で奏でる Greatest love of all でございます 父の眼差しが、、、 目