フィンランドのヘルシンキに“かもめ食堂”という小さな食堂をオープンした日本人女性サチエ シンプルな“おにぎり”を看板メニューに、フィンランドの人にも日本食のおいしさを伝えたいと張り切るが、やって来たお客は日本のアニメが好きなおたく青年だけ それでもめげずに淡々と営業を続けるサチエは、やがて訳ありな２人の日本人女性と出会うのだった、、、
こちらは２００５年制作の 日本映画 
です（１０２分）
「めがね」「トイレット」「レンタネコ」の荻上直子 監督作品であります 作家 群よ
うこ が本作の映画の為に執筆したオリジナルストーリーで、フィンランドのヘルシン
キでのオールロケで撮影されています フィンランド といえば アキ・カウリスマキ監
督 を嫌でも思い起こしてしまう私でありまして、オープニング かもめ食堂 が映った
時には、カウリスマキ作品？と見紛う雰囲気は否めませんでした まぁ、ロケ地がフィ
ンランド 
ですし、当然なのですが、映像の色彩も通じるものがあり、多少の リス
ペクト があるのかも知れませんね。
製作、監督、脚本が全て女性というのも、この映画のある種の魅力になっている感じ
もします 嫌味ではなく、女性の目線が非常に利いている作品です 素朴でいてお洒
落な店内、食器や小物、美味しそうな食事と料理場面、メインの３人も個性的な女性
陣 等々かもめ食堂 を開く サチエ （小林聡美）（謎の多い女性ですが、バックグラウ
ンドは ほぼ描かれません 開店資金 等どうしたのか？遺産？お客が来ないのに金銭的
心配もしない上、宣伝を勧められても頑なに拒否する度胸、、、） 指さし旅でフィ
ンランドにやって来た ミドリ （片桐はいり） 「ガッチャマン」 の歌をきっかけに親
しくなり、自宅に泊めてあげる サチエ。 店の手伝いをするようになる ミドリに 「何
故こんな事までしてくれるのか？」と聞かれ「ガッチャマンの歌詞を知っている人に
悪い人は居ない」 という謎の答えを返すサチエ。
親の介護が終わり、たまたまフィンランドをテレビで観て気に入ってやって来たが、
荷物が航空会社のミスで届かず途方に暮れていた マサコ （もたいまさこ） 偶然通り
かかった かもめ食堂に客として訪れ、次第に親しくなり、荷物が見つかるまで彼女も
食堂を手伝うようになります そこでの日々の会話や、初のお客 （日本マニアの青
年） が常連になったり、以前かもめ食堂があった場所で店を開いていた男 （映画 過
去のない男の マルック・ベルトラ）から 美味しいコーヒーの淹れ方 
を教わった
り、主人に逃げられた中年女性と仲良くなったりと、大きな出来事が起きる訳ではな
いけれど、おだやかで、それでいて少しづつ変化のある日々が綴られて行きます 
３人それぞれ 身内の死や、自暴自棄だったりといった事が この かもめ食堂という場
所に関わることによって、心の中の 何か が、ゆっくりと変化してゆくのでありました
誰にでもある願望が、この映画の中に具現化して存在していて、北欧のロケーション
も大きな魅力の一つですが、ある種、大人のファンタジーであり、その心地よい空気
に包まれたい人には魅力的な世界となっています 意図的に店内の照明は優しい自然
光を意識されています。
ただ、そんな映画とはちょっとトーンの違うシーンがあります、劇中の合間に入るサ
チエのプールのシーン 他の場面とは明らかに違っています それは彼女の外の顔とは違
う、内面を反映させたものだからでしょうか？ マサコが度々かける荷物の問い合わ
せ電話の意味他にもどうでもいい疑問として、日本マニアの青年のコーヒー代は永遠
にタダなのか？お客さんのお箸の使い方の上手さ、こだわりの おにぎり 
よりも
シナモンロールの方が美味しそうなのは 
定食屋が繁盛した際、こだわったおにぎり
って何だったんだろか？
寝る前の少林寺の運動、かもめ食堂を睨む意味、マサコにネコを預ける老人最大の謎
がマサコの見つかった荷物の中身 
どう解釈すれば良いのやら、、、認知症で自分が
拾っていた物を詰めていた？神様のお告げ？自分が探していたものが見つかった事の
メタファーとして観客に見せた、、、という所が一番納得いきますが、、、さて 
と、そんな事は気にせず ほんわかとご覧になるのがベストだと思います。劇中に出て
来るセリフで 「美味しいコーヒーは、他人が淹れてくれたコーヒーだよ」 というセリ
フにはドキッとさせられました そういえば最近、美味しいコーヒー飲んで無い気が
それともう一つ、ミドリの うんちく話で、「スナフキン 
とミー 
は異父兄妹だっ
た 
という驚愕の事実でありました」 本当に、知ってるようで知らない事って多い
のでありまする。という訳で、落ち着くカフェに行きたくなったら、コーヒーでも淹
れて この作品をご覧になるのも良いかも知れません ただし、メチャメチャ何か食べ
たくなるリスクはありますが、シナモンロールを用意しておく事を、強くお勧めしま
すです 
では、また次回ですよ～！ 
今も営業しているロケのお店 この映画を観て訪れる日本人観光客が多いようです