静かな田舎町 トジュンは子どものような純粋無垢な心を持った青年 漢方薬店で働く母にとって、トジュンの存在は人生の全てであり、いつも悪友のジンテと遊んでいることで心配の絶えない毎日だった そんなある日、女子高生が無惨に殺される事件が起き、容疑者としてトジュンが逮捕されてしまう 唯一の証拠はトジュンが持っていたゴルフボールが現場で発見されたこと しかし事件解決を急ぐ警察は、強引な取り調べでトジュンの自白を引き出すことに成功する 息子の無実を確信する母だったが、刑事ばかりか弁護士までもが彼女の訴えに耳を貸そうとしない そこでついに、自ら真犯人を探すことを決意し行動を開始する母だったが…。

 

 

 

 

 

 

こちらは2009年制作の 韓国映画 韓国国旗 です(129分)

 

この作品をジャンル分けするのは難しいのですが、一応 サスペンス映画という体をな

 

しています この 一応 というのが厄介で、予告と日本タイトルを見る限りでは 無実

 

の罪を着せられた息子を、献身的な母が無実を証明する為 真犯人を見つけるべく奔走

 

するストーリーに思えます しかし、という所が この作品の大きな魅力でもあるので

 

すが。オープニング ロングショット 枯れた広い草原で 稲、母親が一人踊り出す場面

 

で始まります、当然これは後の物語と繋がって来る事は分かります  ショットが変わ

 

り、お腹を押さえる母親 子供の母を強く印象付ける画でタイトルが出ます 韓国語で 

 

「母親」 であります  赤ちゃん・お座り

 

 

 

 

お話が始まり 暗い中で母親が、漢方の草を裁断しているシーンが映されます 母親は漢

 

方薬の販売と、鍼治療 で生計を立てています この裁断の刃 ナイフ の不気味さが何かを

 

予感させます 細かく紹介していくと長くなるので私が印象深かった部分だけご紹介

 

させて頂きます  知的障害をもつ息子を溺愛する母、それは息子が5歳の時、貧困の

 

あまり心中しようと毒を飲ませた事が原因のようで、息子に負い目を感じ 過剰に世話

 

を焼く事になったようです。とりわけ印象的なのが、息子が立ち小便をしている最中

 

 

 

 

息子 の むすこ を、まじまじと覗き込み 目 持ってきた漢方薬を飲ませます カメラの

 

角度が変わり 液体の薬を飲む息子、その足元から流れて行く尿 母の愛を口から入れ

 

ながら、同時に足元から排泄して流れ出て行くという絶妙な表現 (そう感じたのは私

 

だけでしょうか?)そんな溺愛する息子が、女子高校生殺人の容疑者で逮捕されてし

 

まいます 警察の捜査もずさんな物でした 息子の無実を信じ、母は自ら真相を追う

 

事になります 様々な手を尽くし、母は真犯人とおぼしき人物と対面する事になりま

 

すが、そこで意外な事実を知る事になり、その人物を殺してしまうに至ります 証拠

 

を消す為、その家に火を点けて回ります メラメラ

 

 

 

 

まるで 過去から何から 全てを消し去るように ゆっくりと、、、その後がオープニン

 

グの画に繋がる事になっています (自分が人を殺めてしまった事の重罪感、その呵

 

責であのような行動になった事が理解出来ます フラメンコ ) その数日後、刑事がやって来て 

 

「真犯人が捕まった」と告げられます 。施設を抜け出した患者の衣服に、被害者の血

 

痕 が付いていたのだというのです 血 真犯人といわれる人物に面会します 顔つきか

 

ら明らかに障害者である事はこちらにも分かります。その人物の前で泣き崩れる母親 

 

「泣くなよ」 とその相手に言われるのでした。

 

 

 

 

しかし、彼女の涙は複雑でした、息子が助かったから?彼が刑に服する事を憐れん

 

で? それとも、真犯人を知っているから、、、!? とにかく息子は釈放されました 

 

それを迎えに友達が車でやってきます (誰のお金で買ったのでしょうか、、) 家まで

 

の道すがら、火災のあったという家に立ち寄る息子達、、、再び前のような生活が戻

 

った母と息子 ふと息子から女子高生の遺体遺棄の話が出て困惑する母  その後の

 

ある日、二人はバスステーションに居ます 親孝行ツアーと銘打った (韓国ではメジ

 

ャーなようですが) バス旅行に母親を見送りに来ていた息子 食料を買って、母に渡す

 

息子でしたが 出発しようとする母に 「そうだ」と言って ある物 を手渡すのでした 

 

 

 

 

それは正に 母親が罪を犯した場所に置き忘れ、焼け残った物でした それを見た母の

 

表情、疑問と不安、憶測が頭を駆け巡る中 バスに乗り込んで行きます それを無表情

 

で見送る息子。バスの中では皆がオープニングで母親が踊っていた踊りに興じていま

 

す 母は 「嫌な事を忘れられる」 と言われている ツボ に自分で 鍼 を刺します そこ

 

からのエンディングで、私はやられてしまいました バスの外から捉えた窓に、乗客

 

のシルエットが強い夕日に照らされて映ります 三重交通 高速バス DASH! 夕日

 

 

 

 

振動で揺れる画面  母親も次第に踊り始めます 逆光でどれが母親のシルエットだった

 

か見分けがつかなくなります。 画面は強い逆光と、踊る大勢の、「誰かの母親」 の

 

混乱のシルエットを映しながら幕を閉じます (誰しもが、多かれ少なかれ 何らかの罪

 

を犯している、それが雑踏に溶け込んで混じりあい、区別がつかなくなる) SUNSET SKY  とい

 

う、とても じわじわ~っ と後を引く 恐怖を感じるエンディングです 滝汗

 

 

 

 

かなり 登場人物を省略して紹介してしまいましたが、この映画に登場しているほとん

 

どの人間はエゴで自分の為に都合よく生きている人間ばかりです 主人公親子もです

 

が、この親子と被害者の親子は合わせ鏡のようです 母親は息子の為に一生懸命働き 面

 

倒を看ています、被害者の女子高生も認知症でアル中の祖母の為、身体を犠牲にして

 

面倒を看ています 息子は障害があり記憶が曖昧です 女子高生の祖母は認知症で、

 

この構図に意図を感じてしまう私なのでした 鏡

 

 

 

 

この映画は 人間の業の積み重ねと、頑なな自己の愛と盲目的な暴走についてを描い

 

ているように思えます そこには国民性というものもチラリと見えて来ます 自分さ

 

え良ければ、自分こそが正しい、その為には他人の犠牲や感情など頭にない という感

 

覚が、何処かに根付いている気がしてなりません 韓国 (金ぴかの銅像を建てるような

 

個人の意見ですが)そして  ここからは個人的な、ひねくれた観方なので、真に受け

 

ないで聞いて頂ければ良いのでありますが、、、ウインク

 

 

 

 

今作で 最大の疑問となる所が、はたして 息子 は 精神疾患 なのか!? であります ビックリマーク

 

改めて観返してみると、劇中 精神疾患について触れるセリフはありません  息子の行

 

動や、仕草でこちらがそう思い込んでしまうように仕向けられているのかも知れませ

 

ん。強烈な マザコンの息子と 偏愛 過ぎる母親   もし、そうだと 仮定してみると、ま

 

た違った見方が出来るのです ラストで ある物を母親に渡しますが、これも この親子

 

間でしか理解しえない、大きな物証です コンパクト  (現場に居た人物を息子が告白したのは、

 

母親だけでしたからね)

 

 

 

 

そして、息子は5歳で母親に毒を飲まされた事を、未だに根深く憶えています 事件は

 

偶然に起きた事ですが、それを利用して ある種、母親に復讐したようにもとれるので

 

す ラスト、何気なく渡す事で、自分だけが知っているんだぞ!と母にメッセージを

 

送ったのでは?それを理解し、母親は酷く動揺したのではないか?と、、、心電図  心臓  ドンッ

 

片目を隠す仕草にも  手 目、 二面性 を意味する仕草のように思えてしまうのです 

 

そう観ると、ミスリードさせているのでは? と思えるような場面もあったりするので

 

あります、、、ガーン

 

 

 

 

それにしてもこの監督さん、画面の構図や編集、照明 等、見事な仕事をしておられま

 

す。 但し、この作品だけでしょうが、息子、そして真犯人として間違って捕らわれ

 

る人物、どちらも共通点は (言及はされていませんが) 精神疾患を患っていると思え

 

る人物です。それってどうなんでしょうね、、、ちょっと偏見や国民性があるのか?

 

と勘ぐってしまう私でした。にしても、日本映画も頑張って欲しいものであります

 

しかし林檎 りんご キックは何だったのでしょうか 足の裏 あれいりましたかね はてなマーク

 

 

 

 

話はずれますが、母親を演じる女優さんが 吉行和子さんに、息子がキムタクに見えて

 

しまって仕方ありませんでした それと犠牲者の友達が いとうあさこ と見違えてしま

 

うのでした そして 「バカ」 という言葉でキレる設定が 「トミー&マツ」 を彷彿と

 

してしまった私なのでした   土下座  (余計な事ですいません あくまで個人的な意見

 

でございまする)滅多に観ない 韓国映画 でありましたが、今度は 「殺人の追憶」 で

 

も観てみようと思わせる程のクオリティで一筋縄ではいかない深さを感じる作品であ

 

りました(長文にお付き合いありがとうございました)ご覧になっていらっしゃらな

 

い方はこの機会にでも レンタルしてみてはいかがでしょうかです。 目

 

では、また次回ですよ~! パー