月曜日 木造の建物の事務所に、職員たちが集まってきた 所長の中村、職員の望月、川嶋、杉江、アシスタントの しおり 彼らの仕事は、死者たちから人生の中で印象的な想い出をひとつ選んで貰うこと そして、その想い出を映像化して死者たちに見せ、彼らを幸福な気持ちで天国へ送り出すというものだ そう、ここは天国への入口なのである 今日も、22人の死者たちが施設にやってきた 職員たちは、彼らへの面接を開始する。
こちらは1999年制作の 日本映画 です(118分)
「誰も知らない」 「海街diary」 の 是枝裕和 監督の 2作目の長編映画になります
死んだ人達が あの世 へ行く前に立ち寄るその場所 そこで自分の今まででの人生
をふり返り、一番幸せだった頃の 想い出を そこにいる職員と対面しながら思い出さな
ければなりません そこではその思い出を再現して、死者をその幸せだった 想い
出だけを抱きあの世へ送り出す場所なのでした 面接官は見習いの しおり
を含む4人、一週間という期限で一人7~8人を担当しています
面談で死者は 個々に 想い出を語って行きます 老人から若者まで、様々な死者と向き
合い話を聞いて行くのですが、饒舌な人も居れば、言葉少ない人と十人十色です 子
供時代のある瞬間だったり、女性との「あの」瞬間だったり、思い浮かばない人も
居れば、それ自体に疑問を感じる理屈っぽい死者等 そんな死者に根気よく耳を傾
け 、寄り添う 職員達
是枝監督の中で設定は、かなり異色な ファンタジー 作品になっていますが、演者の撮
影はもう既に 是枝感の自然な空気で撮影されていて、素人さんらしい方達はそのまん
まに撮られている印象があり、変なリアリティがあります 死者役の俳優陣の中では
由利徹さんが女性達の想い出を延々と語る場面が、なんともユーモラスで印象深い演
技 でございます
それにもう一人 印象深かったのが 原ひさ子 おばあちゃん セリフは少ないので
すが、その存在感と佇まいだけで人生を感じさせてしまう凄さ 見事の一言です ただ
映画初出演の 伊勢谷友介 はちょっと自然さを意識?するあまりの 不自然さを感じて
しまう私でありました、、、ARATA 改め 井浦新 の優しいトーンに女性はやられ
る事間違いありません
そして その瞬間が決まるとビデオ撮影が始まるのでありますが、ここが何ともアナロ
グな撮影方法で、昭和感漂うもので それが逆にファンタジーを増幅させる効果をよん
でいます。ここで働く職員にはある秘密があり、映画後半には 映画的 な展開のお話が
待ち構えているのですが、それも含め観客に向けて 「 あなたの今までの人生で、最
も大切な想い出はなんですか? 」 とずっと問いかけられているような気持になりま
す 逆に言えば、そう思える人生を生きていますか? とも問われる映画です
もし、もしも 自分に素敵な想い出がなかったとしても、貴方は 誰かの一生の想い出
の登場人物になっているんですよ だから決して嘆く事はない と静かに励まされるよ
うな温かい気持ちになる作品です どこかで見かけたらご覧になってみてはいかがで
しょうか?
では、また次回ですよ~!