フランスのマルセイユを舞台に、それぞれの事情を抱えて刑務所の面会室へと向かう3人の男女の心の軌跡を追ったヒューマンドラマ。初恋の男性が警察に暴行した罪で逮捕されてしまった少女ロール、多額の報酬と引き替えに自分にそっくりな受刑者と入れ替わるという依頼を受けた青年ステファン、息子が殺された真相を知るためにアルジェリアからやって来た母親ゾラ。ある土曜日の朝、3人はそれぞれの思いを胸に刑務所の面会室を訪れる。
こちらは2009年制作の フランス映画 です(120分)
弱冠 28歳の女性 レア フェネール監督の長編デビュー作です
主人公3人がそれぞれの思いで訪れる、ある土曜日の刑務所での面会室に至るまでの
3人のドラマが交錯して行く 過程と、その瞬間を描いた群像劇になっています
サッカー少女 ロール は、風変わりな少年アレクサンドルと恋に落ちる ある日、
アレクサンドルが逮捕されてしまうが、未成年のロールは面会ができず、想いを募ら
せてゆく、、、 偶然に知り合った病院スタッフのアントワンに付き添いを頼み、会
う事は出来たものの、過酷な現実を前にロールは困惑し、ある決断をしに面会へ向か
うのでした、、、
不器用な ステファン は仕事も恋人との関係もうまくいっていない ある日、暴漢に襲
われた恋人を助けてくれた ピエール と知り合う 彼はステファンの顔を見るなり異様
なほど驚き瓜二つの受刑者と「入れ替わる」という奇妙な依頼を持ちかけてくる。多
額の報酬に心は揺らぐが、その代償はあまりにも大きい、迷いの中 遂に 面会へと向か
うのです、、、
アルジェリアに住む ゾラ に、フランスで暮らす息子が殺されたという訃報が届く 彼
女は死の真相を探るために、偶然を装い加害者の姉セリーヌと接触し交流を深めてゆ
く ある日、誰も弟の面会に訪れないと嘆くセリーヌに、自分が会いに行くことを提案
する。そしてゾラは母親として知ることのなかった、息子の人生を知る為、面会へと
向かうのでありました、、、
フランスのマルセイユの街で起きる ロール、ステファン、ゾラ、それぞれの物語、
それが最後 刑務所の面会室で、面会時間30分 という凝縮された時間を過ごす事にな
ります 10代の恋と妊娠、30代の人生と将来、50代の息子の死と真実 そ
れぞれのお話だけでも 1本の映画になる位、密度の濃いストーリーになっている為 、
劇中の誰かに共感出来ると思います
面会室 という 外と中の世界 がぶつかり合う空間を巧みに利用して、人間同士の
そぎ落とされた 関係と緊張 が、スリリングに見事に映像に焼き付けられています
個人的には、ステファン に 入れ替わりの話を持ち掛ける ピエール という男の、裏の
仕事に興味津々の私でありました その上、ダンディズム漂うキャラでもあった
りして才能のある若い監督さんが、又 新たな ヌーベルバーグ を起こしてくれるのを
期待したいものであります
人は 他者 と関わる事で、初めて 愛 というものが生まれるのだ という事をつくづく感
じてしまう私でありました そこには、男性も女性も関係ないのでありました
機会があればご覧になってみて下さいませです
では、また次回ですよ~!