今日の現場は上福岡。
福岡といっても九州ではない。
東武東上線のちょうどまんなか辺に、「上福岡」という駅があるのである。
仕事自体はだらだらぐずぐず、時間とストレスを等価交換しているようなものだったが、幸運の女神はたくまぬ者に微笑むのである。
現場から上福岡駅に向かう道すがら、ふと目に止まった所謂「町の模型屋さん」。
「オモチャやさん」でも、「GKショップ」でもない、見るからに純粋な、掛け値なしの「模型屋さん」である。
最近首都圏ではとんと見なくなってしまった、ホルマリンにつけて保存したくなるような店。
湧き上がる好奇心の命じるまま、踏み込んだ僕を、彼女たちは待っていた。

一体どのくらいの間、君たちはそこにいたんだ?
と僕は言う。
もちろん心の中で。声に出してそれを言ってしまえるほど、僕にはまだ勇気と度胸の持ち合わせがない。

ずっとさ。
と彼は言った。

ずっと待っていたのよ、あなたがくるのを。
と彼女は言った。

やれやれ、仕方ないな、と僕は思う。

待たせたね、それじゃあ、行こうか。

僕はそっと彼女を抱き上げ、彼の手を取った。

彼女の名前はコスモゼロ。
宇宙戦艦ヤマトの指揮機として勇名を馳せた。
そして彼の名はアルカディア号、当時は訳あってキャプテンハーロック号と名乗っていた。
どちらもお目にかかることすら困難な、幻のキットである。
よおーし、よおおおーし、完成させるぞ、コリコリで!
…でも俺、GW前に買ったヤマトも、袋すら開けてないんだよねえ…。