本日の稽古からは「音付き」である。
曲の力に頼ってはいけない、と言うのは役者としての大切な心構えではあるのだが、実際問題として音が入った方が気持ちやテンションが上がりやすいのもまた事実。
あいにく主人公・藤村隆男役の伊野佑治が高熱でダウンと言うアクシデントはあったものの、今までひそかに暖めていたBGMを芝居に合わせてみるのは、やはり楽しいものであった。
いやあ、なんつっても役者のノリが違いますわ。
BGMは芝居を作る上で、とても大切なファクターであるのは覆いがたい事実だけれど、分けても最大の効果は、見るもの、見せるもの、その双方に与える心理的高揚感ではないだろうか。
演出側としては「このシーンはこんな感じ」と言うのを手っ取り早く伝えるリーサル・ウェポンでもある。
実際、百言って聞かせて考えさせるよりも、一回曲聞かせた方がわかりやすい、と言うこともままあるコトである。
しかしもちろん、すべてがいいコトずくめなわけではない。
あまりに早い段階から曲に合わせた芝居をさせてしまうと、見ている方もそれなりに、やっている方もそれなりに、「出来ている」気になってしまうのである。
芝居は総合芸術である、とはよく聞く言葉ではあるが、その主役はあくまでも「役者の演技」ではなかろうか。
その演技が中途半端な状態で、曲とあいまって「100」を満たすのと、演技だけで「100」まで持って行き、さらに曲を乗せることでもっと上を目指すのとでは、その間に厳然たる差異が生じると考えるのだがいかがであろうか?
そんなわけで今日の稽古は十分、とは行かないまでも、少なくとも無価値ではない結果を得られたと思う。
本番まで正味一週間、さらなる高みへと駆け上がって行きたいものである。